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超人ウルトラベースボール 【ちょうじんうるとらべーすぼーる】 ジャンル スポーツ(野球) 対応機種 ファミリーコンピュータ 発売元 カルチャーブレーン 発売日 1989年10月27日 プレイ人数 1人~2人 定価 6,500円 レーティング 【VC】CERO A(全年齢対象) 配信 バーチャルコンソール【Wii U】2016年10月26日/524円プロジェクトEGG 2019年6月11日/550円 判定 なし ポイント ファミコン球界の「平成の怪物」はNPBより先んじていたもはやスポーツゲームというよりアクションゲーム?普通の野球ではあり得ないハチャメチャ暴走野球ができる必殺技が一部使いにくかったり先バレが隠せないシステムが残念 概要 内容 評価点 問題点 総評 その後の展開 余談 概要 『飛龍の拳シリーズ』や『スーパーチャイニーズシリーズ』で御馴染みのカルチャーブレーン初の野球ゲーム。 文字通り「超人」による様々な必殺技が飛び交うというウルトラでトンデモな野球ゲーム。 野球ゲームブームもいよいよ終焉という不遇な時代の中で異彩を放った。 内容 野球ゲームなので、基本的には野球のルールに準じている。 実在するセ・パ12球団をモデルとするチームの他に「ウルトラリーグ」というものがあり、これが本作の目玉でこのリーグのチームは必殺技を使うことができる。 『究極ハリキリスタジアム』や同年発売の続編『究極ハリキリスタジアム平成元年版』にも必殺技があったが、それが更に常識外れのトンデモなものになっている。 当然と言えば当然だが、ウルトラリーグのチームと、セ・パ12球団モデルのチームで戦えばまるで相手にならないワンサイドゲームになる。 また選手の名前はもじられている。 必殺技は「ウルトラポイント」を消費して使うことができる。 ポイント自体は固定で試合中に回復はしない。 + 本作の目玉、ウルトラリーグのチーム グローリーズ(GL) プロ野球OB日本人の連合チーム センターズ(CE) 当時のセ・リーグのオールスター パシフィスツ(PA) 当時のパ・リーグのオールスター アメリカンズ(AM) プロ野球OB助っ人外国人の連合チーム スポーツスターズ(SP) 野球以外のスポーツ選手のチーム。 ロッキーのような架空の選手や、ジャッキー・チェンのような本来スポーツ選手でないのも多少混じっている。 ヒーローズ(HE) アニメや特撮キャラのチーム。 ウルトラポイントが最も多いので実質的に最強チーム。 ウルトラポイントは「ヒーローズ」が150、「グローリーズ」が120で、他は100。 + ピッチング技 ライトニングボール マックス250km/hオーバーの超スピードボール。 ファイアーボール ライトニングボールほどではないが超スピードボールで相手のバットをへし折る。スピードで劣る代わりにボール自身が燃えている。 分身魔球 横に揺れるように分裂する変化球。 ニンジャボール 変則的にブレながら分裂する変化球。 スネークボール 左右に大きくヘビ状にうねる変化球。 アクセルボール ボタン上下でスピードを上げ下げできる。 ストップボール 投げたボールを途中で一度止めることができる。 消える魔球 投げたボールが途中で消える。 アイアンボール スローボールながらも非常に重く、必殺バッティングでなければ打てず(打ってもへし折られる)打っても飛びにくい。 ミラクルボール 上記9種類の中から1つがランダムで発動する。 + バッティング技 いずれもセットしてからバットを振る格好で、振るごとに消費される。 ハイパー打法 グルグル高速回転しながら打つ。 長打力は最強で当てればまずホームランだが、クセが強く打ちにくい。 爆発打法 地面に落ちると爆弾のように爆発して爆風に巻き込まれた相手の野手は動けなくなる。 合わせて長打力も大幅アップする。 バントすると、目の前の地面で着弾して爆発する(安全な状態で相手投手に取られる)ので、何の意味もない。 ミサイル打法 打つと打球が低空で飛び、それに触れた野手はボールとともに、外野フェンス一杯まで引きずられぶつかって動けなくなる。(そのままホームランすることもある) これもバントするとすぐ打球が落ちてしまい何の意味もない。 流星打法 打つと必ずバットが折れてボールの回りを回転しながら飛んで行く。 そのボールに野手が振れると、捕球できず動けなくなってしまう。 フジヤマ打法 打つとボールの影がグルングルン回転しながら飛ぶので、野手はキャッチのポイントを定めにくい。 ただし、普通に直接捕球できる。 影法師打法 打つとボールの影が大量に出るので、これも野手はキャッチのポイントを定めにくい。 ただし、普通に直接捕球できる。 大地震打法 打ったボールが地面に落ちると同時に長時間地震が起きる。 地震の間は相手の野手は誰も動けないので、その間自軍は走り放題。 ただ、フライになった場合普通に捕球できるので、地面に落ちる前に捕球されては何の意味もない。 また、バントなら確実に地面に落ちるが、その場合ほんの一瞬グラッとしてすぐ止まるので、何の意味もない。 スピン打法 打ったボールが不規則な回転ゴロになり、外野フェンスにぶつかるまで捕球できない。 バントすると無効。 イレギュラー打法 打ったボールが地面に弾むたびにイレギュラーバウンドしてジグザクに蛇行するので、捕球しにくい。 ミラクル打法 上記9種類の中から1つがランダムで発動する。 + 守備技 スーパーチャージャー 使った野手の守備時の足が極端に早くなる。 スーパースライド 横っ飛びの強力バージョンで長い距離のダイビングキャッチ。 ロケットジャンプ とんでもなく高いジャンプでホームラン性の打球をキャッチできる。 ハイパースロー 超速球の送球。 ミラクルキャッチ 本来取れない必殺打法による打球を捕球できる。 + 超人的な必殺技の実演動画 評価点 必殺技が豊富で、しかもそのほとんどがド派手なものばかりで常識外のプレーができるので盛り上がった試合になる。 両軍使いまくれば何十点という大乱打戦になる。 見ているだけでも非常に派手で面白く、超人らしいネタも盛り込まれている。 剛球系の「ライトニングボール」「ファイアーボール」「アイアンボール」がデッドボールになると、打者が爆発する。なのに次の瞬間には、しれっと平気な顔で塁に出ている。さすが超人… リーグ戦がかなり本格的で、リーグ表もなかなか細かくできている。 単に長くて多い試合を戦うだけでなく、試合のない移動日などもあり無条件でピッチャーのスタミナが回復するのもリアル。 打率、本塁打、勝利、セーブなど各種成績が記録されている。 セーブの付き方なども非常に細かい所まで現実のプロ野球が再現されている(もちろん野球そのものは現実を思いっきり逸脱しているが)。 球場も6種類と豊富で、しかもそれぞれ広さ以外にも特徴があり、固有の演出がある。 スコアボードを直撃すると「バコン!」と割れたり、場外ホームランが海に落ちると波紋が出たりと、細かい演出まで凝っている。 ウルトラリーグの選手も野球だけにとどまらない幅広い選手が揃えられており、ネタ要素も満載。 ノーマルでも最高球速200km/hなど、飛びぬけており、それまでの160km/h前後が最高だった常識では味わえない爽快感。 問題点 必殺技の中には使いにくいものやまるで使えないものがある。 例えば「スネークボール」や「分身魔球」はバットを出さなければ大体デッドボールになるので、自損行為な技になりがち。更にロクにストライクにならない。 「ライトニングボール」「ミラクルボール」もそのグルグル回りながら大外に大きく振るモーションのせいでボールやデッドボールになりやすい。 「ハイパー打法」「ミラクル打法」もグルグル高速回転しながら打つというクセが強すぎて使いこなすには相当慣れが必要。 あまり特徴を活かせない必殺技もある。 例えばストップボールは「途中で任意に一度ストップできるので意図的にタイミングを外せる」アクセルボールは「スピードを自在にコントロールしてタイミングを外す」というものだが、打者は必殺技を使わない限り、バットを出せば必ずきりきり舞いして空振りしてしまうので、あまり特徴が生かせていない。 必殺バッティングの方でも影法師打法やフジヤマ打法は、そのド真中に陣取っておけばまず捕球できる(一応CPUは素直に引っかかってくれるが)。 必殺技を出す場合、必ずアイコンが表示されてしまうので打者にバレバレ。 スネークボールならわざと手を出さないことでデッドボール狙いが容易に判断できる。 最大4種類なら、十字ボタンとの複合などでも良かったのではないか? 守備技が非常に使いにくい。 特に「ロケットジャンプ」や「スーパースライド」などは、相当慣れていないと使いこなせない。 ヘタに使っても見当外れなプレーになり単にポイントのムダ使い+大珍プレーになりかねない。 しかもこの守備技は消費が大きい。 リーグ戦のCPUチーム同士の消化試合に時間がかかる。 フル観戦せず内部的に試合をする場合でも1試合を消化するのに数分かかってしまう。 また放っておくと、自分がプレイするはずのチームの試合も勝手にオートで始まってしまう。 ピッチャーは4種類の技が装備できるが、野手はバッティングと守備1つずつしか装備できない。 ファミスタ同様10点差でコールドとなるのだが、ホームランの場合、そのホームインの途中でコールドが発生してしまう。 例えば後攻のチームが8-0の状態で満塁ホームランを打てば12-0でコールド成立となるのが正しい流れだが、ゲームでは2人がホームインして10-0の時点でそれが成立して打ち切られてしまい、残りの2人がホームインできない。 これはサヨナラの場合でも同じことで例えば1点差で負けから満塁ホームランを打つと、逆転となる2人目の時点で打ち切られてあとの2人がホームインできない。 総評 野球ゲームブームが終焉間近ということも災いして売上げも知名度も今一つ上がらなかったが必殺技がガンガン飛び出しまくる、そんな野球は型破りで非常に斬新なもので見た目の面白さでは文句なしのレベル。 ただし必殺技の大部分は強力でも、コツを掴まなければデッドボール乱発になるような自損行為になることも多いので、かなりやり慣れてはじめてフルに使いこなしての対戦ができる。 また、持ち味である必殺技の中には使えなさが目立つものもあれば、それを抜きにしても使う場合確実に先バレする点はさすがに致命的欠陥。 ゲームの完成度としては今一つだが、野球ゲームブームが終焉に近い不遇な時期で人気を獲得した「暴走した野球」という発想は見事といえる。 その後の展開 1991年7月12日にスーパーファミコンで続編『スーパーウルトラベースボール』が発売される。 この頃には野球ゲームブームもすっかり今や昔で、あまり話題にもならなかった。 その後1995年まで続編は出たものの、最終的に覇権を握れないままだった。 2014年に3DS用DL配信ソフトとして『超人ウルトラベースボール アクションカードバトル』がリリースされ(名目上)シリーズ復活となるが、タイトル通りアクション要素のないカードバトルだった。2016年発売の3DS用DL配信ソフト『超人ベースボールスタジアム -エキサイティングアクション版-』で旧来のアクション要素が復帰したことで、往年の超人ベースボールも本当の意味での復活を果たした。2017年にはストーリモードも加わった続編、『超人ベースボールスタジアム -熱血ストーリー版-』も同じく3DS用DL配信ソフトとしててリリースされた。 余談 後にテレカ付きの限定版も発売された。 この限定盤はパッケージ及びラベルシール、タイトルロゴも通常版とは異なっており(ゲーム内容は通常版と同じ)以降の続編はこちらのタイトルロゴをベースとしている。 見た目の派手さでは、他の野球ゲームの追随を許さずやはりそのインパクトは大きかったようで、『ファミリーコンピュータMAGAZINE(通称「ファミマガ」)』の「1989年度ファミマガゲーム大賞」スポーツゲーム部門では『究極ハリキリスタジアム 平成元年版』や『新・燃えろ!!プロ野球』(*1)といった定番シリーズの続編を抑えて『ファミスタ 89 開幕版!!』に次ぐ2位を獲得した。 北米NES版である『Baseball Simulator 1.000』も日本版発売の翌年に発売された。発売元はカルチャーブレーンの米国法人であるCULTURE BRAIN USA。
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メタルギアソリッド3 スネークイーター 概要 ストーリー バーチャスミッション(貞淑な任務) スネークイーター作戦 評価点 ゲームデザイン システム変更について 時代考証について CQCと格闘について その他 サバイバルビュアー シナリオ・演出 おまけ要素 賛否両論点 問題点 総評 メタルギアソリッド3 サブシスタンス 概要(サブシスタンス) 収録内容 廉価版について 余談 その後の展開 メタルギアソリッド3 スネークイーター 【めたるぎあそりっどすりー すねーくいーたー】 ジャンル タクティカル・エスピオナージ・アクション 対応機種 プレイステーション2 メディア DVD-ROM 1枚 開発元 コナミコンピュータエンタテインメントジャパン 発売元 コナミ 発売日 2004年12月16日 定価 7,329円限定版 12,800円 プレイ人数 1人 レーティング CERO 18歳以上対象(*1) コンテンツアイコン 恋愛、セクシャル、暴力、犯罪 判定 良作 ポイント 主人公はソリッドとは別人のネイキッド・スネークジャングルを舞台にシリーズの原点を描く物語食料確保や怪我の治療などサバイバル要素が追加現在でもファンから非常に高い人気を誇る傑作 メタルギアシリーズ 第二次世界大戦終結後、 世界は東西に二分された。 冷戦と呼ばれる時代の幕開けである。 概要 MSX用にリリースされた『メタルギア』(MG)から続くステルスアクションゲームの金字塔、メタルギアシリーズ。 本作はプラットフォームを次世代機に移して展開される『メタルギアソリッド』(MGS)シリーズの第3作である。 テーマは「SCENE(時代)」で、『MGS』『メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティ』(MGS2)で描かれたそれぞれのテーマは、時代によって変わりゆくものであることを示している。 舞台は『MG』よりも過去の、東西冷戦時代の真っただ中である1964年。 監督の小島秀夫氏は発売前のインタビューにて、「太平洋戦争での原爆投下や東西冷戦、ケネディ大統領暗殺事件後のアメリカの迷走と、米ソ間の核兵器保有競争、それによる諜報活動の活発化が『MGS3』の本流」と述べた。 主人公はお馴染みの「スネーク」だが、今までの「ソリッド・スネーク」とは別人の、「ネイキッド・スネーク」なる人物である。 この違いはクライマックスで明らかにされ、同時に本作から『MGS2』までの時系列的なシリーズ中の事件の契機となる出来事が描写される。 ストーリー 本作はチュートリアルを兼ねた前日譚的な出来事である「バーチャスミッション」、及びその後の「スネークイーター作戦」の二部構成となっている。 バーチャスミッション(貞淑な任務) 1962年。13日間に及んだ「キューバ危機」は、アメリカとソ連のある密約によって終結する。それは米国に亡命していたソ連の兵器開発者、ソコロフのソ連返還というものだった。 しかしその後、ソコロフがソ連において ”悪魔の兵器” の開発を行っているとの情報を得た米国は、ソコロフを再び亡命させる計画を立てる。折しもその時、SASの設立に携わった英国人将校、ゼロ少佐は、”戦士と諜報員の能力を兼ね備えた兵士による隠密部隊” 「FOX」の構想を提案していた。 1964年8月24日、ソ連領ツェリノヤルスク。特殊部隊「FOX」の正式な部隊編成を賭けて与えられた初の実戦任務「バーチャスミッション」の内容は、ソコロフの再亡命の支援だった。 FOXのエージェント、ネイキッド・スネークはソ連へ単独降下する。彼は、ゼロ少佐と共にSAS設立に尽力した特殊部隊の母、伝説の女戦士ザ・ボスの教えを受けた兵士であった。 予定通りにソコロフと合流したスネークは、敵と遭遇しながらも何とか追跡を振り切り、作戦の完遂は時間の問題かと思われた。 しかし、今作戦のサポート要員として参加していたザ・ボスとの通信が不自然に途絶したところから、事態は予期せぬ方向へ動き始める。 スネークイーター作戦 ソコロフ回収に失敗したばかりか、ザ・ボスと、かつて彼女が率いた「コブラ部隊」の生き残り4名がソ連へ亡命するという、最悪の結果に終わったバーチャスミッション。 さらに、ソ連においても予想外の事態が起こっていた。ザ・ボスが亡命の手土産として持ちこんだ小型核弾頭をGRU(ロシア連邦軍参謀本部情報総局)の武断派・ヴォルギン大佐が、あろうことかソ連国内で発射してしまったのだ。ザ・ボスの亡命受け入れはヴォルギンの独断によるものであり、その存在を知らないソ連中枢部は第二戦備態勢を発令、米国への報復準備を整える。 再び米ソ間全面核戦争の危機が迫る中、フルシチョフ書記長は密かにホットラインを通じて米国のジョンソン大統領と会談し、「米国の潔白の証明」即ち「米国の手によるザ・ボスの殺害」を要求する。 バーチャスミッション失敗から1週間後の8月30日、ザ・ボスの亡命を幇助したとして国家反逆罪に問われ軟禁されているFOXのスタッフに新たな指令が下った。ソコロフの奪還、彼が開発していた新兵器「シャゴホッド」の破壊、そして、ザ・ボスの抹殺…。 タイムリミットは7日間。10年間生死を共にした師を殺すという非情な任務を背負い、ネイキッド・スネークは一人再びソ連の地を踏んだ。蛇(コブラ部隊)を喰らう者、「スネークイーター作戦」の開始である…。 評価点 ゲームデザイン これまでの『MGS』シリーズではゲームの舞台は人工の建造物が基本だった。一方、本作の舞台は「森林、山岳地帯などの自然環境」での行動の割合が高くなっている(*2)。 PS2最高レベルのグラフィック描写により、草むらでホフク体勢をとった時の草木の揺れや、野生動物の動きを美しく再現している。環境音もよく出来ており、これまでとは一味違う「野戦」の空気が作りだされている。屋内でも汚れや傷といった、随所に生活感や古臭さを感じさせる表現が多い。 骨折・火傷などの応急処置や毒虫への対処を行う「キュアー」と、野生動物を食料として捕獲する「キャプチャー」に加え、雨などの気候の変化、ブービートラップなど、自然の中での作戦遂行を表現する描写が随所に盛り込まれている。 システム変更について ゲームシステムは「21世紀最高のシステム」と絶賛された『MGS2』をベースに、更なる改良が図られている。 基本視点は変わらず俯瞰カメラだが、広大な野外を舞台にするため、右スティックでカメラ視点を上下左右にずらせるようにしてプレイヤーの視認範囲を拡大する工夫がなされている。 スネークの挙動がもっさりした、リアルな動きに。 主観視点で銃を構えた際にはどんな武器でもある程度の手ぶれが発生する。精密照準だけでなく、腰だめ撃ちも可能となっている。 本作で初めてショットガンと軽機関銃が使用可能になった。手榴弾には広範囲を焼き払う事が出来る白燐手榴弾と目くらまし、行動封じに使えるスモークグレネードが追加。 突撃銃はセミ・フルオート・三点バーストの切り替えが可能に。狙撃銃のスコープは固定倍率式に変更、二段階のズーム距離を選択する形になった。 従来作では、無力化されていない敵兵がいる状態で爆発が起こると即座に危険フェイズになってしまったが、今作では警戒フェイズになるのみ(*3)。 一部の銃器に装着できるサプレッサー(消音機)は耐久力制となり、気軽に使用できなくなった。着脱が可能となったため、状況に応じて使い分ける必要がある。 武器選択メニューは『MGS』と同じく、L字型に戻った。 スタミナゲージは大幅な仕様変更が行われた。本作ではスネークにもスタミナが設定されており、長時間食料を摂取しないと徐々に減少していく(*4)。 スタミナが下がると瀕死時のライフ回復速度が低下し、主観視点で銃を構えた際の手ぶれが大きくなる。また、スタミナゲージが1/4以下になると腹の音が大きく鳴るようになり、敵に気取られる場合もある。 今作では前作までと異なり、レーション(食料)を食べてもライフは回復せず、回復するのはスタミナゲージのみ。ライフはスタミナの量や現在の状況に応じて自動回復するようになっており、即座にベストコンディションに持っていける訳ではない。直接ライフを回復させるアイテムも存在するが、数が少ないため濫用はできない。 火炎武器の登場により、焼死の概念が加わっている。 また、ドラム缶での爆殺や高所からの落下死などスネークの武器が直接の死因とならない殺害はキル数にカウントされなくなった。一部戦闘後に死なないボス敵をライフキルした場合もカウントされない。 「仮死薬」と「蘇生薬」が登場。仮死薬を飲めばスネークは仮死状態となり、敵兵をやり過ごす事が出来る。 ただし、そのまま放っておくと本当に死んでしまうので、時間内に奥歯に仕込まれた蘇生薬を噛み砕いて復活する必要がある。ザ・ボス以外のボスには一度のみ有効。(*5) フィールドの拡大に伴い、敵兵の視覚・聴覚が全体的に強化された。敵兵の位置や視界を表示するレーダーが廃止されたため、これまで以上に双眼鏡を用いた偵察や、ステルス技術が求められる。 本作では敵拠点に「武器庫」と「食糧庫」が配置されている。これはTNTで破壊可能で、壊して一旦そのエリアを離れてから戻ってくると、そのエリアの敵兵が弱体化している(*6)というコミカルな要素も加わった。 ストーリー中に強制的に危険フェイズになる場面がなくなったため、(完全な意味で)ノーアラートクリアができるようになった。ボス戦ではないが強制で敵兵との戦闘状態に入るシーン自体はあるため、あくまでシステム面だけでの変更ではある。 時代考証について 1960年代のソビエト連邦を舞台とする作品であることから、歴代の『MGS』シリーズで使用された「未来の」システムや装備品などは廃されたり、再設定が行われている。 「個人用の高性能光学装備」や「史実では構想・試験段階であった新装備(*7)」は「東側の軍事技術のたまもの」「機密事項として表に出なかった」として描かれている(*8)。こうした便利な電子機器にはバッテリーの概念が追加され、連続使用に制限がかかるようになった。 『MG2』からお馴染みだった動体反応レーダーは廃止。コントローラの振動で敵反応を知らせる「生体反応装置」や音波で人などの位置を探知する「アクティブ・ソナー」などの代用品はあるが、これらも当然ながらバッテリー式。 武器はAKライフルやスコーピオン短機関銃、RPGなどの東側銃器が主流となっている。一方でコルト・ガバメントやM16の試作モデルなどの西側武器も変わらず登場するが、これらは西側諸国から鹵獲してきた研究用物資だと説明されている。 装備品のチョイスも時代を感じさせるものとなっている。また今作の銃器にはレーザーサイトが搭載のものが少なく、銃本体のアイアンサイトで照準を行う必要がある。この作り込みもリアル。 CQCと格闘について ザ・ボスが考案し、ネイキッド・スネークと協力して考案した格闘術「CQC(*9)」が本作から導入された。この特殊なアクションは「『MGS3』と言えばCQC」と言わんばかりの高い評判を得、以後のシリーズにも続けて導入されている。 CQCは素手、もしくは拳銃などの「片手で扱え、左手にCQCナイフを持つことのできる武器」を装備している場合に実行可能。 ○ボタンとスティックの組み合わせで、敵を投げ飛ばしたり、後ろ手に拘束することができる。拘束した場合はそのまま地面に叩きつける、ナイフを突き付けて尋問する、首を締めて気絶させる、喉首を掻っ切る、盾にするといった多彩なアクションに派生させられる。 ゲーム中、CQCは無音(*10)で実行可能。敵を地面に叩きつけても間近にいる敵兵に気づかれない。熟練者ともなると「すれ違いざまに敵を転倒させて敵陣を突破する」華麗なスーパープレイも可能。 シナリオ中でも、CQCは「スネークとボスだけが行える特殊技術」として2人の強さ・絆を示す重要な要素として用いられている。 前作同様、金的も可能だが、少々出しにくくなった上、直投げが万能すぎるため、せいぜい変装時ぐらいしか使われない。 その他 本作では初めてナイフが使用可能となった。切り払いの他、突き攻撃を出すと一撃で敵を倒せる。オンライン対戦では麻酔銃と突きのコンボが猛威を振るった。 前作はスネーク・雷電共にスニーキングスーツを着ていたが、今作では野戦服ということもあり、敵兵が普段の地面でも足音に反応しやすくなった(*11)。 真後ろを走り抜ける等しなければあまり気にする必要はないが、カムフラ率を低下させずに忍び歩きで移動するストーキングか、スピリット迷彩を着る事で完全に感知されなくなる。注意が他に向いている時も反応しない。 有名なバグ技としてグレネードを構えながら移動すると足音が感知されなくなるというものもある。サブシスタンスや『MGS HD』でも修正されていない。 前作では敵に発見されても無線連絡をされる前に排除すればアラートとしてカウントされなかったが、今作では少しのラグの後、危険フェイズに移行する。そういう意味ではシビアになった。 どの難易度でも2マップ以上離れるとアイテムボックスが復活するようになったため、高難易度で弾薬が足りなくて詰むといったことが起こりにくくなっている。 前作までは気絶は持続時間が短く、一時凌ぎにしかならなかったが、睡眠とほぼ同じ時間持続するようになったため、CQC直投げの便利さも相まって有用な無力化手段となっている。 これまでの作品でお馴染みのダンボールでの偽装は潜入フェイズであれば、ある程度動いても怪しまれるだけで、すぐには発覚しないため、敵に体当りして怯ませてからCQCに連携が可能。 ただし、ジャングルのような明らかに不自然な場所では通用せず、被っているところを見られただけで即危険フェイズとなる。 『MGS2』から登場したホールドアップは健在。敵に気づかれずに接近して銃を急所に向けることで、アイテムを奪う事が出来る。ドッグタグは無くなった。 ノーマル以下では立ち去るところを見られなければ解除されないが、ハード以上では銃を構えていないと数秒で解除されてしまう。 倒れた状態(気絶ではない)からホールドアップすればうつ伏せのまま無力化可能。この状態でも威嚇射撃をすることでアイテムを奪える。若干判定がシビアなので、拘束→倒し→ホールドアップが無難。 危険フェイズ時でも、敵兵は伏せのみでホールドアップできるようになった。 伏せホールドアップにすれば、マップを切り替える、危険フェイズになる、敵兵に起こされる、ローリングで接触(危険フェイズ時)などしない限り解除されない。 ローリング(飛び込み前転)は更に使いやすくなった。小さい段差を飛び越える、高所から素早く降りる、階段や登り坂など移動の遅くなる場所を速く移動する、ショートカットなど様々な利用ができる。 移動速度が走りよりも速いうえにカムフラージュ率は歩き時と同じ、動作中は無敵、非常に広い当たり判定など至れり尽くせり。それゆえかシリーズが下るごとに弱体化してしまった。 潜水時は主観視点に切り替わり、方向転換などの操作性が向上している。また、ほとんどの武器は水中でも扱うことができる。 終盤まで貫徹されたステルスミッション 他の『MG』『MGS』では終盤はイベントや大型兵器との戦いが大半を占め、スニーキングがなおざりにされていたが今作は負傷したEVAを連れて追ってくる敵をやり過ごして脱出地点に向かうシーンが挿入されており、最後まで緊張感のあるステルスミッションをプレイできる。 レーダーの廃止・スタミナの概念・消耗品の増加・敵兵の能力などの大幅なバランス変更により、これまでよりもゲームの難易度はかなり上昇している。 過去作をやりこんだユーザーも順応に手こずり、一時期は前作プレイヤーの間でも「初プレイは難度ノーマル以下で」と推奨されていた。 しかし、スネーク側にはCQCによって近接アクションが強化されたほか、銃器類の火力強化や数々の仕様変更によってバランスは保たれている。 もちろん、難易度選択によって初心者から上級者まで幅広く対応。特に最低難易度ベリーイージーでは強力な救済装備が使用可能。 + 救済装備EZGUN 弾数無限、レーザポインターと消音機能付きの麻酔銃。 ズームして狙うことも可能で、さらには難易度VERY EASYの仕様により麻酔武器の弾を当てると命中部位にかかわらず敵兵を一発で眠らせることができる。これだけでもかなり強力。 装備中はカムフラージュ率80%が最低保障となり、スタミナ回復機能付き。 迂闊な行動がなければほぼ敵兵に発見されることがなくなり、スタミナ常時回復により食糧の確保を考える必要がないのでスムーズにゲームが進む。 条件を満たせば他の難易度でも初期装備として使用可能。ただし、SPアイテムなので、クリア時の評価に関わる。 サバイバルビュアー これまでスタートボタンにはただのポーズ機能しか割り当てられていなかったが、本作では「サバイバルビュアー」というメニュー画面が開かれるようになった。装備品の決定、カモフラージュ選択、食事、治療はこの画面で行う。 + サバイバルビュアーの紹介 装備「EQUIP」 今作ではアイテム携帯の方法が見直された。一度に持てる装備(*12)の量も武器・アイテム共に最大8個までとなっており、残りはバックパックに収納するようになった。 後述のキュアー・キャプチャーシステムのためにアイテム総数が莫大となったため、煩雑さを回避するためであろう。今作以降の作品でも採用されている。 今作では武器・アイテムなどの装備品に重量が設定され、重装備だとスタミナ減少が速くなってしまう。また、移動速度にも影響する。状況に応じて適宜所持品を選択する必要がある。 擬装「CAMOUFLAGE」 今作ではカムフラージュ率なるパラメータが追加されている。いわば「周辺(=背景)との同化率」とでもいうべき数値であり、スネークの服装や体勢によって数値が増減する。数値が高いほど周辺と同化している=敵に発見されにくいということである。 草むらの中で青白い屋内用迷彩を着れば周囲から浮いてしまうし、どんなに服装を合わせても全力疾走していればすぐ目につく。 草原迷彩を来て顔を緑色に塗りホフクしていれば、敵はかなり近くを通っても気付かない(*13)。 スネークの服装とフェイスペイントの変更も新要素である。それぞれ数種類が用意されているほか、特定の場所に隠されていたり、ボスを麻酔弾や打撃でスタミナをゼロにして倒すスタミナキルにより入手できる特別なカムフラージュも存在する。インターネットを介したダウンロードサービスも行われていた(*14)。 真面目なものからネタまで、種類は多彩。また、特別カムフラージュのほとんどには何らかの特殊効果が付いている。一例を挙げると前面にソ連国旗が、背面に星条旗がプリントされた「コールドウォー」は、敵兵と向かい合うと敵が攻撃をためらうが、背後の敵兵からは猛攻撃を受ける服である。 変装用カムフラージュの一種として、白衣や軍服、前作『MGS2』の主人公「雷電(*15)」のフェイスマスクも登場する。変装用のため、フェイスマスク以外は着用すると銃器が使えなくなる点がある。 カムフラージュの変更はリアルタイムデモにしっかり反映される。適切な服を着て雰囲気を味わうもよし、「全身カエルプリントの服」「派手なメイクでプロレスラー気分」「半裸にゾンビフェイス」などのネタ衣装を楽しむもよし。 このシステムは後の作品にも受け継がれ、『MGS4』では最新テクノロジーによる「オクトカム」システムとして昇華されることとなった。『MGSPW』でも同等のシステムが採用されているが、フェイスペイントはない。 弾薬を無限にするスペシャルアイテムもユーモラス。従来では無限バンダナという縫い目に「∞」と書かれたバンダナであったが、今作では「顔一面に無限という文字を書き込む」フェイスペイントになっている。 治療「CURE」 大ダメージを受けて骨折したり火傷を負ったり、毒物を食べてしまったりヒルに吸いつかれたり…負傷を放っておくとライフゲージの最大量が減少したり、スタミナが徐々に減少していってしまう。 放っておいても自然回復できるが、それにはかなりの時間を要する。「キュアー」はこうした事態からの回復を行うモードである。 骨折には添え木と包帯、銃弾や矢は摘出してから消毒薬と包帯、風邪には風邪薬と、適切な治療を施すことで回復できる。治療アイテムは消耗品であるため、敵の倉庫から盗む、敵兵から奪取する、薬草を採取するなどして補給する必要がある(*16)。シリーズのお約束「現地調達」が更に強調されている。 重傷の治療、および自然回復をすることによってライフゲージの最大量を上げることができる。トラップなどを利用すれば手軽に強くなれる。 捕獲・食事「FOOD CAPTURE」 前述した通り、食料を食べなければスタミナが減少する。ここで新登場の「キャプチャー」システムの出番である。 今作ではマップのいたるところにいる野生動物を殺害・捕獲(捕獲できるのはウサギやヘビなどの小動物)したり、植物の採取が行える。こうして食料を採集し、食事してスタミナを回復するのだ。 前作までの動物への攻撃(*17)に意味を持たせ、ついつい足を止めて採取したくなるような作りになっている。 動物はとにかく多彩。ヘビや魚はもちろん、ヤギやワニ、ハトやワシ、クモ、サソリ、キノコ、毒草(!?)まで。 律儀な事にスネークは何か食べると毎回味の感想を語る。その際に彼を演じる大塚明夫氏の渋い声で「 うますぎるっ! 」「結構いけるな」「あんまり美味くないな…」「もっと食わせろ!」「毒じゃないか…っ!」などといちいち喋ってくれるのは笑えること間違いなし。 ただし、食べすぎると食あたりを起こすので注意。他にも、高いハシゴや水中などの不安定な場所で睡眠作用のあるキノコを食べるとそのまま即死してゲームオーバーになる。 集めた食料や小動物は装備品として身につけることができ、今まで通りに投げつけて敵兵の目を逸らす用途に使える。毒キノコをルート上に置いたり有毒生物をうまく敵に当てれば殺害できるほか、特定のボスに有効に働くことも。 食料は時間が経つと腐ってしまい、食べると食中毒になってしまう(*18)。生け捕りにした小動物や保存食は腐らない。 食料は種類によって回復量や腐りやすさに違いがある。例えば果物など植物なら腐りにくいし、肉や魚は総じて回復量が多いが腐りやすい。中には毒を持っていたりバッテリーが回復したりと特殊な効果があるものもある。 食料の詳細は無線で医療担当のパラメディックに聞くことでだいたいは把握できる。ただし間違ったことを言うこともある。 回復量の小さい食料でも何度も食べているとスネークが慣れて回復量が少し上がり、コメントも変化するようになる。 ネタ保存食として「即席ラーメン(*19)」なる食品が登場する。スネーク曰く「うますぎるっ!」とのこと。 また、大塚製薬とのコラボレーションとして「カロリーメイト(*20)」が登場。こちらもスネークからの評価は最上級。 シリーズおなじみのレーションも登場するが、こちらは「マズすぎる…」とのこと。 一応レーションは味は不味いが栄養があるためかスタミナ回復量は上々で、ラーメンとカロリーメイトは0%からでも完全回復する。 一見、煩雑になってしまったように思えるが上手くゲームを進めれば、これらの要素に頼ることなく短時間でクリアすることも可能。 シナリオ・演出 『MGS2』のシナリオが難解だった反動か、本作のシナリオは『007』などのスパイ映画へのオマージュともとれる、シンプルなアクション活劇路線となった。 誰でも話にのめり込む事が出来、それでいて決して軽くない物語。エンディングはシリーズ屈指の出来と名高い。 主軸はシリアスだが、随所に爽快なアクションシーンを盛り込み、本筋以外の部分で笑える小ネタを出すことで、気負わずダレずに楽しめる。 マップが多彩になった事もアクションの幅を広げ、シナリオ演出を盛り立てている。ジャングル、沼地、峡谷、山岳地域、花畑と、これまでの無機質・殺風景なイメージを覆すバリエーション豊かなマップが用意され、探索のモチベーションを高める。屋内マップもより広大となっている。 『MGS』シリーズではお馴染みの「現実とゲームの融合」という演出路線も健在。史実に則した部分は記録映像を再生し、ゲームの創作部分に入るとイラストやポリゴンに切り替える手法によって、現実からゲーム部分への移行を違和感なく行い、リアリティ溢れる作劇が行われている。 第二次大戦後半世紀にわたって世界を支配した「冷戦」という時代がよく反映されている点は見事。近代史の予習をしておくとより楽しめるだろう。 小島監督の作風でもある映画的演出はさらにエスカレート。カメラアングルにも磨きがかかる。 『007』を意識したオープニングムービー、西部劇さながらのスネークとオセロットの決闘、『大脱走』ばりのバイクチェイスなど、随所にオマージュが仕込まれている。 また、ザ・ボスの容姿のモデルは『さらば愛しき女よ』『未来惑星ザルドス』などに出演した英国人女優、シャーロット・ランプリングであることが語られている。 「シャゴホッド」やハインドを始めとして、1964年では明らかにオーバーテクノロジーな、もはやB級映画かと思うようなトンでも兵器が暴れまわるのも魅力の1つ。 小島秀夫氏の「ユーザーにゲームを骨の髄まで遊ばせる」という理念は本作でもしっかり根付いている。本作の小ネタの多さはシリーズ最大級。 無線会話のバリエーションは『MGS2』と比べても飛躍的に拡大。真面目なものから教養になるもの、お笑いやお色気、ネタやメタ演出と枚挙にいとまがない。スネークの行動や通信タイミングによって内容が変化するものも多く、一周で全てを見るのは不可能だろう。 武器庫・食糧庫の爆破や尋問、装備品や動植物の採集など、ゲーム中で行える行動も更に多彩になった。PS2本体の時計機能と連動した要素も。 キャラクターも個性的かつ、愛嬌のあるメンツが揃っている。 基本はソリッド同様真面目で優秀なエージェントだが彼と比べるとどこか人間的でコミカルなネイキッド、優秀な指揮官だが典型的な「英国紳士」であるゼロ少佐、腕は確かだが「ヤブ医者」のあだ名を持つB級映画マニアの専属医師パラメディック、「特別にスゴい専門家」の自称に違わず確かな知識や技術力を持つもデザインに異常な程のこだわりを持つ技術担当員シギントと、変人揃いの「FOX」。確固たる信念を持って「時代」の波に逆らおうとしていく彼らにはファン多し。 ザ・ボスやヴォルギン大佐といった敵側の人物描写も抜かりない。謎の女スパイEVAとスネークの交流も映画的ムードを盛り上げる。 シリーズのキーパーソンであるリボルバー・オセロットの若かりし姿(*21)と、お馴染みの名脇役・ジョニー佐々木の祖父も描かれる。彼らと2人のスネークの因縁の始まりは見逃せない名シーン。 過去を舞台にしているだけあって、味方キャラクターや一部の敵キャラクター(いないと物語が繋がらなくなる人物)を殺害してしまうと「タイムパラドックス」としてゲームオーバーになってしまう。この時「駄目だスネーク! 未来が変わってしまった!!」と、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を意識したナレーションが流れる(*22)。 これらの魅力的なキャラを演じる声優陣も、最早お馴染みとなったスネークの大塚明夫氏を始めとして銀河万丈氏・桑島法子氏・井上喜久子氏ら豪華な顔ぶれが揃う。 今作には登場しないロイ・キャンベルを演じる青野武氏も、出番は少ないが重要なポジションの役として出演している。 BGMも前作に増して良曲揃い。しかし、この作品辺りからサウンドトラック未収録の曲が多くなってきているのが難点。 前作までは、ボス戦のBGMは一部を除き共通の曲が使用されていたが、今作では各ボスに専用のBGMが用意された。西部劇を思わせるオセロット戦や緊張感溢れるザ・フューリー戦のBGMは、ゲームを盛り上げてくれること間違いなし。 危険フェイズのBGMも好評。屋内とジャングルでそれぞれ異なった曲が使用されており、前述のEVAを連れて脱出するシーンではまた別の曲が流れる。 おまけ要素 ガイ・サベージ 本編中のとある場面でとあることをしてフラグを立てるとプレイすることになるミニゲーム。謎の世界でスネーク(?)が二振りの剣を手に怪物を惨殺し続けるというホラーアクション。 知らぬ間にフラグを立てていることもあり、その場合メモリーカードのアイコンにある変化が…。残念ながら『MGS HD』及び3DS版では一連のイベントは削除されている。 ベーシックアクション 『MGS2』から搭載されたアクションムービー集。基本操作から応用テクニックまでを分かりやすく解説。 カメラモード 今作でも作中でマイクロカメラを入手でき、撮った写真をメモリーカードに保存しておける。 猿蛇合戦 ソニー・コンピュータエンタテインメントの『サルゲッチュ』とのコラボレーションミニゲーム。休暇中だったソリッド・スネークがキャンベル大佐に呼び出され、林間学校中のカケルとナツミに代わってピポザルを捕獲するミニゲーム。 本作本編のフィールドが流用され、サル捕獲用麻酔銃でピポザルを昏倒させて「ゲッチュ」していく。要するに本作のシステムを使ったサルゲッチュである。スネークが嬉々として「ゲッチュ」「やったぁ!」「お~わりぃ!!」などと叫ぶ姿はユーザーを唖然とさせた。クリア特典としてバナナ柄の迷彩と猿のお面というユニークな装備品が手に入る。これももちろんムービーに反映されるため、シリアスなシーンだろうが雰囲気を問答無用でぶち壊しにできる。 なお、その後の『サルゲッチュ3』においても『メサルギアソリッド』なるミニゲームが収録され、ソリッドとキャンベルがゲスト出演している。こちらでは逆に、『サルゲッチュ』のシステムを使った『MGS』風のステルスアクションゲームをプレイできる。 猿蛇合戦作中にて、『サルゲッチュ』のハカセがキャンベルのハイスクール時代の同期で、しかもオタコンとも友人であると言うトンデモ設定が語られた。『MGS』側でもその設定が踏襲されている。 こちらも、廉価版や『MGS HD』では削除されている。 MGA LINK 『メタルギアアシッド』とUSBケーブルリンクを行う事で、『スネークイーター』本編において1周目から難易度問わず「EZ GUN」2周目以降に「無限フェイスペイント」「ステルス迷彩」が使用可能となる。 賛否両論点 前作より使いにくくなったとはいえハンドガンの有用性は変わらず(弱体化も慣れれば慣れるほど気にならなくなる)、さらにCQCが便利であるため体術でも容易に敵を無力化できるようになっている。 「気付かれないように進む」というよりは「気付かれないように敵を排除しながら進む」というイメージがより強くなっている点は、ユーザー間で好みが分かれるところ。 CQCに関しては流石にプレイヤーに優位すぎると判断されたのか、後作にて若干の下方修正がなされた。 CQCの追加の他にも、火力の強化、自然治癒の導入などで敵に発見された際のリスクが減っている。 隠れながら進むのが難しくなったこともあり、下手に隠れるよりも強行突破した方が有効という場面がしばしばみられる。 初心者でもなりふり構わなければ先に進みやすくなった、とも言える。「ステルス」にこだわらなければ評価点とも言えるだろう。 LIFEの回復手段がほぼない。前作までならレーションで回復できたが、今作ではレーションなどの食料はスタミナ回復に回され「LIFE回復剤」でのみ回復できる仕様になった。 その場で待機していれば自然回復するが、時間を費やすため効率が悪く、ボス戦などではまず使えない。難易度も初心者からすれば高いものとなっており、ノーダメージでクリアできるほど甘くはない(特にボス戦/下記参照)。 にもかかわらず、LIFEの回復手段が1つ(数も少ない)というのは不満が大きく、前作プレイ済みのプレイヤーも痛い目に遭うこととなった。 高難易度では一部のアイテムが登場しなくなる。 難易度ノーマル以下では3種類の探知機が初期装備に加わっているが、高難易度ではこれらのアイテムは所持しておらず、ゲーム中で新たに入手することもできない。 前作では有用なアイテムは後半にならないと入手できないといった要素もあったが、本作ではそれも無いため、アイテムをコンプリートしたい人にはもどかしくなっている。 一部のボス戦は賛否両論。 ザ・フィアー ステルス迷彩で身を隠す敵と罠だらけの森の中での戦い。罠を回避しつつ透明の敵を探しながら戦うので、普通に戦うと非常に厄介なのだが相手が装備しているステルス迷彩の影響で、こちらが何もしなくても勝手にスタミナを減らしていくという特徴がある。 スタミナがある程度減るとステルス迷彩を解除しエリア内の動植物を自らキャプチャーしてスタミナを回復するが、こちらから先に所持している食料を投げたり、事前に動植物をアイテムに変えるとそちらを拾って食べてしまう。 腐っているものや毒キノコなども食べてしまう上、自ら吐き出してさらにスタミナを減らしてしまうので、全ボス中で最もスタミナキルがしやすい敵となっている。 透明の敵なので一種の救済措置とも取れるが、むしろこちらの方が正攻法と言って良い要素となっており、その影響か全ボスの中でも作りがかなり粗い。 通常はライフを減らすと矢を連射したり、特殊な矢を撃ってきたりと色々なパターンがあるのだがスタミナを減らすと無抵抗になり、余程のことでも無い限り、大半の人はスタミナキルを選ぶので、ほとんど攻撃を見ずに終わってしまう。 ジ・エンド 広大な密林地帯での戦いとなる。敵の位置を知ることが困難な状況の中スタミナを減らす狙撃攻撃を放ちスネークをホールドアップしてくることもある。スタミナが0になったりホールドアップされると牢獄送りにされてタイムロスになる。 難易度によっては光合成を行いスタミナも回復させてくる。今までのボスと違い力押しは通用しない強敵である。 初期位置は固定であるが、事前情報なしではそれこそ1時間以上の長期戦になる。幸い3マップを使った戦闘であるため、被弾や長時間の戦闘そのもので消耗したスタミナを回復するための生物には困らない。 スネーク自身も相当苦戦し、トラウマがあるのか続編の『MGS PW』でのギリースーツ兵の解説で「倒すのに1時間もかかった」「そいつは頭が光るのか?」「オウムと会話ができるのか?」と質問しカズを面食らわせている。 一応救済措置はある。序盤でのジ・エンドの初登場ムービー直後、車椅子で移動している間にSVDで頭部を狙撃して殺害する(*23)、ジ・エンドとの戦闘中にセーブしPS2の内蔵時計を8日以上経過させ、老衰死(*24)」させることで戦わずして勝利できる。 ただし上記いずれかの手段(狙撃、老衰死)倒した場合、ジ・エンドの持つアイテムを入手できなくなるペナルティが存在する。さらに狙撃で殺害した場合、ジ・エンドの代わりに山猫部隊の待ち伏せが行われるというペナルティが追加されてしまう。 ちなみにこの時内蔵時計を3日以上・7日以下進めた場合、逆にスネークが不意を打たれて牢獄送りになるという意外な展開に。一応戦闘中にセーブしようとするとパラメディックから「嫌な予感がする」旨のメッセージが入るため、一切の予告なく負けるということにはならない。 ザ・フューリー 暗い廃工場の中での戦い。強力な火炎放射器を持ち、辺り一面を火の海にするまさしく超火力の攻撃を仕掛けてくる。 火炎放射中は正面からの銃撃を無効にするうえ、まともに食らうと大ダメージ+火傷の重傷や体に火が残り継続ダメージ。避けたとしても残り火にダメージ判定があるのでうかつに動けなくなる。 ジ・エンドとは真逆のスタイルでこちらの力押しが通用しない強敵であり、特に難易度EX(や移植作でのE-EX)では熟練のプレイヤーでも簡単に負けうる。一部の装備品やカモフラージュで対策しない限りどんどん削られてしまう。 さらに無線でアドバイスを求めると「暗くて相手を視認しづらいので暗視ゴーグルを使え」などと言われるが、暗視ゴーグルで火を見ると視界が焼き付いてしまうためむしろ戦いにくくなるというありさま。赤外線ゴーグルを使った方が遥かにましである。 救済措置としては、ナイフによる近距離攻撃や銃撃を繰り返すことによって相手の耐火服が破れ、このときドラム缶等を爆発させると大ダメージが通りやすくなるということがあげられるだろうか。スタミナキルを狙わないのであれば試してみよう(*25)。 なお、迷彩服の中には「炎と爆発のダメージを半減させ、火傷を負わなくなる」効果を持つザ・フューリー戦で有効な迷彩服が存在するのだが、その入手方法がよりによって「ザ・フューリーをスタミナキルする」という本末転倒なもの。したがって1周目時点ではこの戦闘服は装備できず、救済措置にはなり得ない。 ヴォルギン 電撃攻撃と攻撃を跳ね返すバリアを持ち、電撃を回避して電力を消耗させてからCQCや銃撃での攻撃がセオリーなのだが…。 実は無印版ではスタングレネードでスタミナを減らせるので容易にスタミナキルが可能。またバリア自身も銃撃を繰り返すとなくなるので弾薬MAXのマシンガンやアサルトライフル、パトリオット(*26)の乱射で開始直後に蜂の巣にできてしまう(*27)。 流石に他の手段では苦戦する…と思いきやライコフのマスクを被ったり、アマガエルを見せる事で動揺し隙ができる、電撃攻撃はチャフとオロシャヒカリダケで無力化できる、自身が劣勢になるとオセロットに応援を頼み、それを無視されオセロットがスネークを応援したために激高したり、電力の補給(配電盤から充電)を行う際に隙だらけになるなど付け入る隙があまりにも多いために本作のボスの1人としては少々物足りない人物。 実際ムービーシーンでもザ・ボスに凄まれてビビったり、自分の周りが全員スパイである中ペラペラと極秘情報を話すというシーンも(これに関してはさすがに結果論ではあるが)。 ちなみに、それまでのボスとは異なり彼との戦い(とラスボス戦)には制限時間があるため、下手に長期戦になると強制的にゲームオーバーになってしまうリスクはある。とはいえ上述のようにライフキルだとゴリ押しが効くため、時間切れになりやすいのはスタミナキル狙いのときの話である。 その他、ボス全体の問題として難易度による変化も攻撃力上昇や一部パターンの長さの強弱といった程度の物で、あまり代わり映えがない。 前作では一部のギミックが使えなくなる、最高難易度限定の強力な攻撃パターンといった独自の要素が存在したが、本作では無いので難易度を変化して挑戦してもマンネリ気味で飽きやすくなる(*28)。 『メタルギア』シリーズでは過去作との辻褄合わせによる違和感・矛盾が発生するのが一種の恒例になってしまっているが、前作より過去を舞台にした本作では特にそれが大きい。ゲームの面白さに寄与しているとはいえ、流石に苦しい設定も多い。 1964年という時代に無理やりねじ込んだかのような設定が多い。「試作品」「東側技術」の一言で、当時は存在していなかった(現在でも実用化に至っていない)技術が登場する、「闇に葬られた」などの理由で登場人物に都合のよい過去が描かれるなど、「ゲームに都合よく史実を無視している」場面が非常に多い。 前作までは先進技術を利用するなどして説得力を持たせていたが、本作では最早開き直ったような感がある。 ややふざけ過ぎている無線内容やスネークのキャラクター付け ツチノコをキャプチャーした際に無線連絡を入れると一同(スネーク以外)が大喜びし、ゼロ少佐に至ってはそんな任務終わらせてさっさと戻って来い(意訳)などと言う。 この任務はスネークにとっては色々な意味で過酷な任務であり、抹殺対象のザ・ボスはゼロ少佐にとっても赤の他人ではない(*29)人物である。ツチノコの存在からして明確に「ネタ無線」であるとはいえ、いくらなんでもこの扱いは…。 最もツチノコ採取は任意で、普通にストーリーを進めるだけなら聞くことはない。オマケとして割り切るべきだろう。 スネークのキャラクターに関する設定やイメージについては、大前提として今作の主人公「ネイキッド・スネーク」と前作までの主人公であった「ソリッド・スネーク」がそもそも別人であるという事実を踏まえることが必要である。発売直後の頃にはこれを理解せずに苦言が呈されたことも。 『MGS』シリーズの常である、ケレン味溢れた演出と説教臭く長いムービー。今作ではそれがさらに目立っており、当然難色を示すユーザーも多い。 特にラスボスの説教臭い演説は、奇をてらったものではない王道の、悪く言えば使い古された内容である。別にはっきりと間違ったことを延々と垂れ流されるわけではないのだが、そのため「言っていることが余りにお約束すぎる」と批判する声もあった。 説教臭いという点自体は、そのシーンで描いているのがラスボスその人によるスネークへの文字通り命懸けの最後の説諭・インストラクションであるということも酌むべきではある。 問題点 強制無線や一部の場面を除いて、プレイヤーが任意で無線を利用する際には毎回10秒以上ものロード時間が発生する。 修正版のロットも存在するが、パッケージを一目見ての判別は難しい。サブシスタンスでは全て改善されている。 ジャングルを舞台にしたことで描画するオブジェクトが急増した影響か、フレームレートが60fpsだった『MGS2』から30fpsに低下している。グレネードを連続して使用する等を行うと処理落ちが発生する。 特にスモークグレネードで顕著な他、雨や霧のマップでも発生しやすい。こちらはサブシスタンスでも改善されていない。 ボス戦は一部を除いてハンドガンが必ず装備品に加わる仕様となっているが、装備品の上限がいっぱいの場合は既にある装備の1つと交換してバックパックに戻してしまう。 そのため、ボス戦で有用な装備と交換されてしまうとそれを一々装備し直さなければならなくなるので面倒となってしまっている。 重傷は種類こそ様々だが、そのペナルティは前述のようにライフゲージの最大量の減少のみであり、イマイチ印象が薄い所がある。 前作ではあった出血による血痕を敵に辿られる等の要素がないため、重傷のペナルティによる緊迫感が薄まってしまっている。 例えスネークが腕や足を骨折していようがピンピンしており、操作やアクションには一切影響がない点は流石に不自然に感じられる。 さらに言えば、負傷した際に使用する応急処置用のアイテムは、よほど面倒臭がってアイテム拾得を怠らない限りは普通に余る。 その上「完治には時間が掛かる」「治るまではアクション性能が低下する」等のデメリットもなく、応急処置を行うと即座に完治する。 要は重傷を負ってもアクション面に影響はなく、治療をすれば即完治し、治療用アイテムも(雑なプレイをしなければ)数に困らないという、殆ど意味を成していない要素になってしまっている。 重傷システムは『GZ』と『TPP』で再び採用され、「体力が最大まで回復しない(*30)」「アクション性能が低下」「視界の悪化」「サバイバルビュアーが無いので治療もリアルタイムで行う必要がある」と言う様なデメリットが追加され今作の問題点が解消されている。 蛇などに噛まれて発生する神経毒以外の病気系の重症も、発生する頻度が極めて少ないので印象が薄くなっている。よって、それに関連する治療薬も本作ではほとんど活躍する機会がない。 毒キノコなどを食べて発生する食中毒は初見で何の情報も持たず、無差別に野生の食糧を食べ続けたりでもしなければ、まず発生しない。 パラメディックからの通信でエリア内にある食糧について情報を得られてしまい、初心者でも余程ものぐさな人でなければ食糧入手後に情報を得るので、一度情報を得てしまえば以降はスルーされてしまうのが確実となる。 そもそも本作で登場する有毒の食糧は極めて少ない上、名前からしてドクガエルといったあからさまなものもあるので、意図的にでも無ければまず口にすることはない。(*31)(*32) 本作の食糧は生で食べているという設定で、現実では熱を通さない生のキノコを食べるのは毒がなくても極めて危険である。 生肉でも食中毒を起こす例はあり、スネークが火を起こす方法自体はあるので、普通の食糧でも生のまま食べていると稀に発生する要素でもあれば多少は印象が上がったかもしれない。 『MGS PW』のドラマCD「平和と和平のブルース」にて 寄生虫の付いたアロワナを平然と生食している シーン(*33)があるためスネークの胃袋は異常な程丈夫な設定だと考え割り切るのが良いのかもしれない。 腐った食べ物を食べて発生する腹痛も、食糧が腐っているか否かは食べる前にアイコンで確認ができるのでほぼ形骸化している。 腐っている食べ物は投げて外に出すとハエがたかっているのが分かるため、サバイバルビュアーでは腐敗を確認できないようにすれば、意図せず腐った食べ物を口にしてしまう可能性を増やせたかもしれないのが惜しい所である。 さらに食糧の腐敗はPS2内臓の時計に連動しているが、食糧を入手した日時より前に設定していると腐らないという致命的な抜け道があり、PS2の時計の設定を意図的に初期化するなどしていると、設定変更前に入手した食糧は絶対に腐らなくなってしまう。 ただし腐敗物・毒物は敵に食べさせて弱体化・殺害する事にも使えるためあえて分かりやすくしたとも考えられる。 一番発生しにくいのが、シリーズではお馴染みの風邪。クシャミをしてしまうというデメリットもあるのだが、本作では風邪が発生する条件が難しい。 スタミナがゼロかつ戦闘服を着ないまま数十分と長時間行動していなければ発生せず、基本的には服を着ているのがデフォルトな上、スタミナがゼロになっても食糧を少しでも食べれば回復できるので、こちらも意図的でなければまず発生することがない(*34)。 本作では水の中や雨の中などで活動する頻度が非常に多く、ストーリー上でもスネークが服を脱いで長時間行動する場面もあるため風邪になりやすい要素はとても多いのだが、活用ができていない。 服は着替えられるので、濡れた服を着たままでいると風邪を引くといった要素でもあれば不自然なく風邪になる可能性を高められたかもしれない。 スタミナ関連のバランスが悪い。 本作から初めて導入されたスタミナは、スタミナの消費・回復量、食糧が入手できる頻度、ストックできる数が釣り合っていない。 舞台がジャングルなのでキノコや小鳥など回復量の小さな食糧はとても多く登場するが、それ以上の回復量が大きい動植物も道中、同じくらいの頻度で登場する。 しかも、手元に所持できる数もかなり多めに設定されているため、手軽にスタミナを回復して最大値に近い状態を維持できるのでスタミナ不足で困るといったことがほとんど無く、やや緊迫感が薄い。 スタミナが全回復する保存食も敵をホールドアップしたり、食糧庫から簡単に手に入りやすく大量に所持したまま道中の野生の食糧確保をほぼ気にせずゲームを進められる点でもサバイバルらしい緊迫感を薄める要因になっている。 武器の収集と弾薬入手の仕様の相性が悪い。 前述したように多様な武器を扱うことができるが、弾薬の主な供給源である敵施設の武器庫の品揃えは運次第である。そのため、安易に多くの武器を入手すると使いたい武器に対応した弾薬が手に入りづらくなってしまう。 ゲームデザインの変更による難易度の上昇は前述の通りだが、一部にゲーム性と噛み合わない部分も生まれてしまった。 カムフラージュの選択・食事・治療は、いちいちサバイバルビュアーを開いて適切な行動を行う必要がある。雰囲気の演出としては上々だが、ゲームプレイ面ではテンポを大きく削ぐ厄介な要素になってしまった。 また、この治療や食事はボスとの戦闘中でも行えてしまうため「不自然」「緊張感を殺いでいる」と苦言を呈するユーザーも。 ただしこの点に突っ込む場合、以前の作品からして敵前で長々と無線通信を行っているがそれはどうなんだ、となるため気にしないのが一番。 広大な野外フィールドを舞台にし、屋内フィールドもより広大・立体的になっているのに、通常視点は従来と同じ俯瞰のまま。 前作まではソリトンレーダーの使用が前提だったため俯瞰視点でも問題はなく、またオフにしても十分俯瞰視点に納まっていた。 しかし本作では、レーダーがないにも拘わらず従来と同じ俯瞰視点のままなので、視界外の敵の確認が非常にしづらくなってしまった。 その上足音やカムフラの影響もあるため、従来以上に足を止めて主観視点に移らねばならず、前作で指摘された麻酔銃への依存も強まっている。 ユーザーからの要望に答える形で、サブシスタンスでは俯瞰カメラと360度カメラの切り替えが可能になり、ある程度の改善がなされた。 これには試作的な意味合いもあったが、以降の作品では360度カメラが正式に採用されている。なお、3DS版では逆に俯瞰視点がオミットされている。 総評 『MGS2』のシステムをベースにCQCなどの斬新な要素を加えてさらに完成度を高めたシステム、シリーズ屈指の燃える・笑える・泣けるストーリー、緻密で美麗な大自然のグラフィック、無線等をはじめとする数々の小ネタ要素、ネイキッド・スネークをはじめとする魅力的なキャラクターなど秀逸な演出によって彩られた本作は、PS2における最後の『メタルギア』として集大成にふさわしい仕上がりを持つ。 移植版が多数(『MGS HD』や3DS版)発売されたり、本作からメタルギアシリーズを知ったというユーザーが多く存在するなど、シリーズの中でも高い支持を集める作品となった。 メタルギアソリッド3 サブシスタンス 【めたるぎあそりっどすりー さぶしすたんす】 メディア 通常版 DVD-ROM 2枚初回生産版/ヘッドセット同梱版 DVD-ROM 3枚 開発元 コナミ(小島プロダクション)(*35) 発売日 2005年12月11日 定価 ヘッドセット同梱版 9,429円初回生産版/通常版 7,329円(いずれも税込) レーティング CERO 18歳以上対象 コンテンツアイコン 恋愛、セクシャル、暴力、犯罪 判定 良作 ※共通部分省略 サバイバルを超えた、極限の「生存(サブシスタンス)」 概要(サブシスタンス) ディスク2枚組の大ボリュームで送る、『MGS3』の完全版。 『メタルギアアシッド2』との連動も行える。 収録内容 DISC1 調整が加えられた『METAL GEAR SOLID 3 SNAKE EATER』本編 ゲーム開始時の質問に「MGS3が好きだ!」の解答が追加(*36)。 一部リアルタイムデモの変更。 設置武器である雑誌のデザイン、建造物内に貼ってあるグラビアアイドルのポスターが変わっている。 無線ロード問題の解決。 右スティックでスネークを中心にカメラを動かせる360度カメラモードの追加。R3ボタンによって従来の俯瞰カメラとの切り替えも可能。以降の作品では俯瞰カメラは廃止に。 ダウンロード迷彩も収録されている。 なお、これまでの「完全版」作品は全て英語音声が用いられていたが、今作は日本語のみとなっている。完全版を慣れ親しんだ日本語音声でプレイ出来る事を喜んだファンが多い一方、英語音声を好むユーザーからは切り替えが出来ない事を惜しむ声も。 デモシアターモード 『スネークイーター』本編の全ムービー(全バリエーション)収録。 DISC2 デュエルモード 任意のボスと再戦出来るボスバトルモード。 シークレットシアター 公式サイトで公開されていた、本編のリアルタイムデモを使用したネタムービー集。さらに2つの新規ムービーと2005年のE3で公開されたギャグPV『METAL GEAR RAIDEN SNAKE ERASER』も収録。 スタッフの悪ふざけや公募ネタまで、本編の感動を木っ端微塵にする抱腹絶倒間違いなしの爆笑作品が揃っている。 ミニゲーム「猿蛇合戦 完全版」 通常版の「猿蛇合戦」に追加ステージを加えたもの。 MSX2版『METAL GEAR』と『METAL GEAR2 SOLID SNAKE』の復刻版 サブシスタンス一番の目玉。テキストと人物設定に関して若干の変更が行われているが、ゲーム性は完全移植されている。 オンライン対戦ゲーム『METAL GEAR ONLINE(MGO)』 基本無料のオンラインゲーム。2005年12月から2006年12月までの一年間サービスが行われた。後年のPSP作品や『MGS4』でのオンラインモードの原型になっている。 初回版/ヘッドセット同梱版限定・DISC3 「観る」MGS3 『METAL GEAR SOLID 3 SNAKE EATER』本編を再編集し、新カットを加えた映像ソフト。収録時間は3時間半に及ぶ。ナレーションを務めるのはオタコンことハル・エメリッヒ役の田中秀幸氏が務めている。 廉価版について メタルギア 20th アニバーサリー メタルギア ソリッド コレクション(*37) 2007年7月26日/6,900円 PlayStation 2 the Best 2007年11月29日/2,800円 コナミ殿堂コレクション 2009年11月5日/1,800円 以上の3作は全てディスク2枚組で、1枚目には『SUBSISTENCE』仕様の本編、2枚目にはMSX2ニ作品の復刻盤が収録されている。 しかし、「猿蛇合戦」と「シークレットシアター」 はいずれも未収録。 「特典も欲しい!」というならば『SUBSISTENCE』を購入しよう。幸い、流通数は多い。 余談 本作のテーマソング「SNAKE EATER」の日本語版を歌っているのはあの和田アキ子氏である。こちらもゲームの舞台である1960年代を彷彿とさせる良曲である。 「猿蛇合戦」でスネークが「(このミッションは)サムやゲイブに任せたらどうだ?」と言い出すが、これはどちらもステルスアクションゲームの主人公の名前である。前者は『スプリンターセル』からで、後者は『サイフォンフィルター』から。 2021年5月に大手ニュースサイト『ねとらぼ調査隊』で行われた「メタルギアシリーズであなたが一番好きなのは?」というアンケートにおいて本作が1位に選ばれた。 その後の展開 ネイキッド・スネークの物語はこれで終わりではなく、『メタルギアソリッド ポータブル オプス』『メタルギアソリッド ピースウォーカー』『メタルギアソリッドV グラウンド・ゼロズ/ファントムペイン』(*38)へと続いている。 PS2用ソフト『メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティ』と『メタルギアソリッド3 スネークイーター』をHDリマスターした移植版である『メタルギアソリッド HD エディション』がPS3/360で発売されている。 また、リメイク作である『メタルギアソリッド スネークイーター 3D』が3DSでも発売された。 『MGSV』の発売にあわせ、『円環少女』『BEATLESS』で知られるライトノベル作家・長谷敏司氏によるノベライズ版が発売された。 2023年5月25日にシリーズ35周年記念作として本作のリメイク『METAL GEAR SOLID Δ(デルタ) SNAKE EATER』が発表された。対応機種はPS5/XSX/Win(Steam)で、現時点での発売日は未定。 また、2023年10月24日にSwitch/PS4/PS5/XSX/Winで発売された『メタルギアソリッド マスターコレクション Vol.1』にも本作のHD版が収録されている。
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ロイヤルブラッド 【ろいやるぶらっど】 ジャンル SLG 対応機種 ファミリーコンピュータ メディア 4MbitROMカートリッジ 発売・開発元 コーエー 発売日 1991年8月29日 定価 10,080円(税抜) プレイ人数 1~2人 判定 良作 ポイント 家庭用ユーザー向けに単純なシステムを採用したSLG 概要 ストーリー システム 評価点 賛否両論点 問題点 総評 その後の展開 概要 コーエーおなじみの歴史…ではなく架空の世界をモチーフにした国取りSLG。 舞台はケルト神話時代がモチーフで、魔術師やモンスターなどが混在する世界。 コーエーには珍しくファミコン版が初出であり、後にPCやメガドライブ、スーパーファミコンに移植された。 「コーエー25周年記念パックVol.2」にPC-98版が収録されているほか、「コーエー定番シリーズ」で単品でも発売されている。 ストーリー はるか遠い昔――。イシュメリアは、自然に恵まれ、妖精と人間とモンスターが平和に暮らす島国でした。 しかし、あるとき、邪悪な魔法使いザミエルが現れ、ドラゴンを魔術で呼び寄せると、その炎ですべてを焼き尽くそうとしたのです。 イシュメリアの神は、水竜パスハをつかわしました。パスハは、6人の魔術師たちと力をあわせてついにザミエルを倒します。 そして、ドラゴンを6人の魔術師とともに王の冠に封印しました。 7つの宝石がちりばめられたこの王冠は、ロイヤルブラッドと呼ばれ、王の命でのみ、その力を発揮しました。 歴代の王はその力によってイシュメリアを正しく統治したのです。平和は、しかし、永遠には続きません。 時の王エセルレッドが、王冠の巨大な力を使って、家臣の財産や美しい娘たちを奪い、叛逆者を処刑し、欲望のおもむくまま悪逆のかぎりを尽くしたのです。 王冠を放ってはおけぬ――見かねたイシュメリアの神は、父の暴政に心を痛める王女アヴェールのもとを訪れました。 苦しみにあえぐ民の声に美しい王女の胸は張り裂け、枕が涙で濡れぬ夜はありませんでした。 王が留守の明晩、王冠を盗みだして宝石を外しなさい、と神は命じました。 「赤い宝石はそのまま冠ごと持っていなさい。後でわたしが処分してしまうから……」 翌夜、王の寝室に忍び込んだアヴェールは、1つ、2つと王冠の宝石を外していきました。 外れた宝石は窓から飛び出し、闇の中に消えてゆきます。そして最後に赤い宝石だけが残ったとき……。 「何をしている、アヴェール!」振り返ると、そこには父エセルレッドが、恐ろしい顔をして立っていたのです。アヴェールは城の高い塔に閉じこめられてしまいました。 一方、6つの宝石たちは魔術師の姿にかえり、イシュメリア各地の貴族6人を訪れ、ある神託を告げました―― 自分たち宝石魔術師を王冠をひとつにまとめ、この島を制覇する者こそ、新しい王となり、とらわれの王女を救うことができる、と。 こうして6人の貴族が、王冠をめざして立ち上がったのです。 システム 自国の領土には領主を配置して統治させる。領主は「交代」コマンドでいつでも交代可能。 領主を配置せず当主が直轄で治めることもできるが、能力値が約半分として扱われるため、人材不足でもない限り領主を配置したほうが良い(*1)。 能力値は「政治力」「軍事力」「魅力」の3つしかなく非常に単純。女性の領主は魅力が高めで軍事力が低いことが多い(*2)。 年齢が低いと1月になると能力値が上昇する事がある。 各領地では3カ月に一度、ラッキーモンスターやイーヴルモンスターが出ることがある。 民政(輸送と取引除く)を行った回数が多いほど上位のラッキーモンスターが出やすくなり、逆に軍事行動が多いとイーヴルモンスターが出る。 民政(内政)コマンドは「開発」「施し」「輸送」「取引」がある。 「開発」には開墾と防災があり、実行には金10必要。このゲームは災害が起きやすいので防災は重要。 季節の変わり目にはほぼ毎回疫病が発生し(*3)、地方と季節によって地震、水害、大火事、大雪も発生する。さらに1月になると領地の土地パラメーターが6%下がる。 「施し」は民の統治度を上げるコマンドで、戦争が起きた国は統治度が下がる。これが低いと得られる収入が下がる。上げるには領主の魅力が必要。 「輸送」は隣接国だけでなく自国領のどこへでも輸送可能。また、他国に送るだけでなく他国から輸送を受けることもできる。 「取引」は作物の売買を行うコマンドで、ターンを消費しない。物価は「やすい」「ふつう」「たかい」の3種類しかない。 いわゆる米転がしであり、作物の相場はそれぞれ「0.5」「1.0」「2.0」となる。かなり豪快な変動だが、数か月おきにしか変動しない。 軍事コマンドは「戦争」「雇用」「移動」「特別」がある。 「戦争」は隣接国に攻め入るコマンド。兵数差が大きいと相手が戦わずに逃げて行くことがある。 攻撃側・守備側どちらにも本陣があり、敵部隊に侵入されると負け。退却や全滅しても負け。 攻め込んだ側が勝利すると、領主が攻め取った国に移動する。元の国は当主直轄領となる。 退却する場合は隣接地域に引き上げるか、兵士も作物も捨てて本拠地へ逃げ帰るかのどちらかを選べる。 「雇用」はいわゆる徴兵で、兵1につき金2で雇う事ができる。 「移動」は隣接国に兵士と第5部隊を移動させる。物資も移動可能。移動先に別の第5部隊がいる場合は移動できないことがある。 空白地への移動もこれで行う。兵0の移動でも占領が可能。 領主は移動しない。 「特別」は傭兵やモンスターを雇ったり解約するコマンド。地域によって契約できる相手は変わる。辺境でも意外に強い相手と契約できたりもする。 対外コマンドは「同盟」「交渉」「計略」「調達」がある。 「同盟」が行えるのは最大1勢力まで。他家と同盟する場合、元の同盟は破棄される。 「交渉」は他国家臣の引き抜きや降伏勧告を行うコマンド。領主の引き抜きに成功すると、その地方ごと自分の領地になる。魅力が極端に低い領主もいて、わりと成功しやすい。 当主の血縁者は絶対に引き抜けない。所属当主が変わった場合は血縁者フラグが消えて引き抜けるようになる。 引き抜ける条件は交渉を仕掛ける領主の魅力の方が高く、当主の能力の合計値が相手当主より高い事。 王家は他貴族よりも身分が上のため降伏勧告に応じず、同盟も組まない。 「計略」を行うと敵国の領地を荒らすことができる。 「調達」は他国から物資を奪ってくるコマンド。これをやると名声が下がる。よほど貧乏な国でない限り使う事はないだろう。 その他のコマンドとして「情報」「交代」「委任」「探索」がある。 「情報」は国の情報を見るコマンド。他国の第5部隊の情報を見ることはできない。 他のSLGでは忍者を送るなどの手間が必要だったが、本作では遠く離れた敵国であろうといつでも情報を把握することができる。 「交代」は自国の領地の一部を誰が統治するか決めるコマンド。本国でなければ実行不可で、当主自ら本国以外を直接治めると行動終了。 他国を攻め取る度に直轄地が出来、また、直轄地でのコマンドは当主の能力の半分の効果しかない。その為、家臣にも統治させるのが効率的だが、前述のラッキーモンスターによる当主の能力を重点的に上げるのにも使える。 「探索」は他の領地の第5部隊を見るコマンド。やる意味はあまりないが、たまにアイテムを発見して能力値が上がることがある。 相談役が存在。老人(シドー)、中年男性(ライアス)、女性(フィラ)、道化師(アンガス)の4人いて、ゲームスタート時に選ぶ。 自国のコマンド入力時にいつでも相談でき、アドバイスをしてくれる。 当然だが言うとおりにした方が良い結果になるとは限らない。 戦争では動員する兵士を第1部隊~第4部隊に分割する。割り切れなかった分は第1部隊になる。 第1部隊は騎馬兵で移動力が高い。 第2、第4部隊は歩兵で移動力は低いが、「柵」を作ることができる。作れるのは平地のみで、橋や本陣の上には作れない。 本陣を守るのに使ったり、敵の進撃を止めたりできる。ただし柵を飛び越えられるモンスターもいる。 第3部隊は弓兵で、2マス離れた位置から被害を受けることなく攻撃が可能。隣接されると弱い。 敵部隊との間に他の部隊や障害物があっても攻撃が可能。斜め方向には撃てない。 戦争終了後、敗北側の領主が捕らえられることがある。 身代金が支払われると釈放される。支払われない場合は、家臣にする、逃がす、追放(*4)のどれかを選べる。 逃がした場合は元の当主のところには戻らず、他の当主の家臣になるか、行方不明になる。 領土が全てなくなった場合は、敗北側の宝石魔術師が勝利側のものとなり、敗北側の家臣全員の処遇を決める。 他のゲームのように当主が強制斬首されるようなことはなく、捕らえて家臣にできたり、逃げて他国の家臣になったりする。 家臣はともかく宝石魔術師が増えるのは大きい。宝石魔術師が2個以上になったCPU勢力はかなりの強敵となる。 評価点 「第5部隊」の存在。普通のSLGでは兵力が多い方が有利だが、第5部隊は兵力差をひっくり返すほど影響力が大きい。 戦争時は兵力が分割される第1~第4部隊とは別に運用する独立した部隊である。 強力な第5部隊に攻めさせれば、味方兵力にあまり損害を出さずに勝利することも可能になる。 「宝石魔術師(王家の王冠ドラゴンも含む)」は各当主が所持している。強力だが、一度使うと3カ月の休養が必要となる。 これはCPU当主も同じであり、宝石魔術師が使えなくなる3ヶ月間はこちらから攻め込むチャンスである。 「傭兵」と「モンスター」は金で雇うことができる。 傭兵は季節の変わり目に再度契約金を払わされ、払えないと離反してしまう。 モンスターは離反することはないが、勝手に国を荒らすことがある(*5)。身の丈に合ったものを選ぶことが必要。 水竜「パスハ」はラッキーモンスターとして出現することがある。1回しか使えないが、王冠ドラゴンに匹敵する強さを持つ。ただし遠距離攻撃はできない。 既にパスハがいる地域には出ないが、移動させて重複させることは可能。それぞれは兄弟という設定。 『太閤立志伝』に先駆けて、戦争時の部隊に向きの概念を取り入れている。 横や後ろから攻撃すると与えるダメージが大きく、反撃で受けるダメージが少なくてすむ。 攻撃や柵を作ると自動的にその方向を向くが、「その場で向きを変える」という行動はできず、狭い地形に追い込められるとかなり不利。 このため柵コマンドで向きを調整するのは重要な要素である。 前述の相談役の存在。 『信長の野望』シリーズお馴染みの軍師にあたる存在だが、既存の武将が務めるのではなく、常駐している為、どの勢力でもコマンド選びに迷わずにすむ。 SLGに初めて触れるFCユーザーをはじめ、初心者には非常にありがたい。 BGMが秀逸。作曲者は新田真澄(現:伊藤真澄)氏。 ファミコン音源は同時に出せる音が限られるため、ずいぶん苦労したらしい。サウンドウェア版では音源に合わせたアレンジがなされ、彼女の歌声も入っている。 戦略時BGMは当主ごとではなく季節ごとに変わる。季節の変わり目には死神(疫病)とか災害とか色々と起こるので特に印象に残る。 戦争時BGMは季節や第5部隊によって変わり、全6種類もある。ドラゴンは敵側だけあって恐ろしげな曲、パスハは癒し系。 賛否両論点 全体的な難易度が低めで、難易度設定もない。 ファミコンユーザーはPCユーザーよりも年齢層が低いため、低めの難易度にしたのは当然ともいえる。 しかしPC版もほとんど仕様を変えずに移植されたため、コアなPCユーザーからは「簡単すぎる」という評価を受けてしまった。 難易度設定がない代わりに勢力による難易度分けがなされている。 戦争マップが従来のHEXからスクエアになっており、また、平地・橋以外の地形が飛行可能第5部隊以外進入不可になっている。 マップがスクエアなのはFCユーザーへの配慮から妥当であるとして、戦闘の有利不利が相手の向きに依存しており、これもFCユーザーへの配慮の一つと言える。 その一方でコアなPCユーザーからは「HEXの方が良かった」という意見も。 パスハは水竜のくせに水地形への移動ができない。 2人プレイが可能。 どのシナリオも主役級の勢力としてブランシェ家とライル家の2つが存在する。両家を選んで協力し合うことで、強大な王家と渡り合うことが容易になる。 同盟もできるが両勢力だけが残っても全土統一にならず、相手の降伏勧告をあえて受け入れることもできないため、最終的には全面対決せざるを得なくなってしまう。 仕様の隙を突くと簡単になるテクニックがある。 一度使った宝石魔術師が3ヶ月間再使用できない事を利用し、わずかな兵力で攻め込んで魔術師を出させてすぐに退却し、再び攻め込むと敵は魔術師を使えない。 ファミコン版では兵士1で攻め込んでも敵が宝石魔術師を使ってくれた。さすがに簡単すぎたのか、別ハード版では修正が入っている。 敵領地に隣接する地方に兵士が多く居る(自分の領地ではなく第三勢力でも可)と、その敵領地からは攻めて来ない。 この仕様により隣接地の兵士がゼロでも攻められないようにできる。逆に言うと、敵の兵力が多ければ無意味で、それを分散させるのも難しい。 特定のシナリオではスタート直後に魅力の低い人物が領主として配置されており、最初の月でいきなり寝返らせることが可能。 弱小当主を選んだ場合はこのテクニックを使うとだいぶ楽になる。 戦争時に柵を作ったり壊したりできる確率は兵士数に依存し、100以上なら確実に成功する。 各部隊の兵士数が100となる兵士数400を目途に徴兵・出兵すると効率的。 CPU勢力と同盟を結ぶと攻めて来なくなるが、同盟勢力以外に攻め込める国がなくなった途端に同盟破棄してくる。 どれほど戦力差がついていようともお構いなし。こちらから破棄する手間が省けるというものだが、逆にどこへも攻め込めない状態のまま押さえつけておくことができない。 自然災害が起こる地域は決まっている(説明書に記載)。起きない地域もあり、そこは防災度を上げる必要がない。 問題点 世界や人物関係に非常に細かい設定があるのだが、その描写がゲーム中でほとんどなされない。 特に当主との血縁関係は引き抜きに応じるか応じないかの重要な要素なのだが、名前を見ただけでは血縁者かどうかの判別ができない。個人のステータス画面を見れば確認する事はできるが面倒。 移植版ではゲームスタート時などに会話が入り、ある程度人物関係や世界の情勢がわかるようになった。 より深く世界観に入り込みたいなら、別売りのハンドブックを購入する必要がある。俗に言うコーエーの「完全版商法」の走りとも言えるか。 ハンドブックはゲームの出荷本数に比べて非常に少なく入手困難で、現在でもプレミアがついている。 エンディングが1種類しかない。 せっかくシナリオ4つ、選べる当主10種類という豪華さなのに、どれでプレイしても全て同じである。 そもそも王家に捕らわれている王女を助け出すのが目的なのに、なぜか王家を滅ぼしてもクリアにならない。ゲーム的な都合と言ってしまえばそれまでだが…。 王家を滅ぼした後、捕らわれの王女を放置したまま他の勢力を滅ぼしに行き、全土統一してようやく王女を助け出しに行く。 宝石を持たない勢力だけを残して他を滅亡させるとロイヤルブラッドが完成するが、それでもやはりクリアにならず全土統一までやらなければならない。 総評 本作発売までにコーエーの国取りSLGとしては『三國志』『蒼き狼と白き牝鹿』『信長の野望』『ランペルール』が出ていたが、どれもPC版の複雑なシステムと高い難易度をほぼそのまま引き継いでおり、ファミコンユーザーには敷居の高いゲームであった。 どちらかというとファミコンでは『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』といったファンタジー世界が有名であり、それに慣れていたファミコンユーザーに本作はすんなり受け入れられた。 単純で理解しやすいシステムも相まって、ファミコンユーザーに国盗りSLGというジャンルを浸透させた良作なのは間違いないだろう。 その後の展開 この作品は「イマジネーションゲーム」というシリーズの1作目として発売された。 純粋なSLGでは2作目に「ケルトの聖戦」、3作目に「ロイヤルブラッドII ~ディナール王国年代記~」が出ている。 どちらも世界観が似ているだけでストーリーのつながりは一切なく、システムも全然違うので正式な続編と言えるかどうかは微妙。 何よりどちらもPC版しか出ていない(しかも現行PCでの動作は保障されていない)ためマイナーゲームの域を出ず、シリーズのSLG作品は今のところこの3作しか出ていない。 RPGとしては『Zill O ll』や『オプーナ』といった作品が出てある意味で有名になったシリーズなのだが…。
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RAY CRISIS 【れいくらいしす】 ジャンル 2D縦スクロールシューティング 対応機種 アーケード(G-NETシステム) 販売・開発元 タイトー 稼働開始日 1998年 備考 後にWindowsとプレイステーションに移植 判定 良作 レイシリーズリンクRAY FORCE / RAY STORM / RAY CRISIS 未来世界、人々は全世界を結ぶニューロネットワークシステム"Con-Human"の管理の下に栄華を極めていた。 しかし、増え続ける人口をさばくための望みであった「外惑星への移民計画」は計画に適合する惑星が発見されなかったことで事実上凍結され、代わりに同時進行していた「衛星セシリアへの移民計画」が中心となった。 "Con-Human"は新たな人類存続の手段を問い続けることになるが、その方法が欠落しているというパラドックスは、徐々にその思考を歪んだものへと変化させていく。 それから20数年後。機械神経学者レスリー・マクガイアは、クローン人間を"Con-Human"に接続して「有機体と無機体の整合性理論」の実験を行っていた。 しかし、実験途中で突然"Con-Human"は接続を拒否し、クローンの意識体をネットワーク内に取り込む。 "Con-Human"は実験の過程で、人類存続の方法として人類と機械との「融合」に新たな可能性を見出し、クローンの意識と機械との「融合」から発生した擬似生命を守るべき種と判断、即ち「人類排除(人体と意識の分離)」という手段を選択したのである。 レスリーはニューロネットワークとの接続媒体「Wave Rider」を使用し、暴走を食い止めるために自らネットワークに侵入した。 彼は疑似画像化されたネットワークの世界でクローンの意識体を発見するも、その意識体は新しい生命種として、自己保存のために最後の砦たる"Con-Human"の非常用プログラムまでも侵食し始めていた。 果たして、この暴走を止められるだろうか? それとも…? 運命の分岐は、すぐそこまで来ている…。 もし運命が変えられるなら過ちを犯さずに済むのだろうか? その時が分かったとして正しい判断を下せるだろうか? 何度やり直したとしても、運命を変える事など不可能なのかもしれない… しかし、そこに生きた証だけは違うと信じたい。 概要 基本システム 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 移植版 プレイステーション版 Windows版 タイトークラシックス版 PS4/Switch/Steam版 概要 ~少女の行為はもう終わったのか~ タイトーのシューティングゲーム『レイシリーズ』の第三作目。シリーズ最終作であると同時に、第一作『レイフォース』の前日譚でもある。 『レイシリーズ』はタイトー音楽チーム・ZUNTATAのTAMAYOが手掛ける名曲の数々や、STG界に新風を齎した「ロックオンレーザー」、STG史の中でも際立つ悲しく美しいストーリー、ゲームの背景で「魅せる」手法などなどの、「斬新かつカッコいい演出やシステム」でシューター達を魅了してきた。 そして新たな要素を多数盛り込み、タイトーは新たな「RAY」をゲームセンターに送り出したのである。それこそがレイクライシスであった。 基本システム ~99%じゃ駄目だ、100%じゃなきゃ駄目なんだ~ プレイヤーは「Wave Rider(WR)」を操作し、「Con-Human」の非常停止システムへの接触を目的としてステージをクリアしていく。ステージは全5面で、最終ボスを倒した後に特定の条件を満たしていれば隠しボスが登場する。 基本システムは前作『レイストーム』がベースとなっており、ショット・ロックオンレーザー・ラウンドディバイダー(所謂ボンバー。前作のスペシャルアタックに該当)の3つの攻撃を駆使して戦い抜く。 ロックオンレーザーは多重ロックを重ねるほどに得点倍率が増加。また、単一の敵に最大までロックして発射すると、高威力・広範囲の爆風が発生するハイパーレーザーが発射される。 ラウンドディバイダーは前作と同じく1ゲージ制。ロックオンレーザーで敵を撃破するとゲージが溜まり、満タンになると一度だけ使用可能になる。 なお、前作にあったショットとロックオンレーザーが共用ボタン化+スペシャルアタックが1ボタン発動になる「Autoモード」は廃止された。 以下、本作独自の要素、変更点について列記する。 プレイ経過の保存 TAITO G-net基板はプレイヤーデータを記録出来る。現在主流のカード記録型ゲームの先駆け……と呼べるかもしれない。 プレイ時にプレイヤーネームとパスワードを記録し、以降のプレイではそれをゲーム開始時に入力する事でプレイヤーのデータを認識、ハイスコアや経験したマップパターンを記録しておくというもの。 後の『テトリス ザ・グランドマスター3 -テラー インスティンクト-』(TAITO Type X)にも同じ形式が採用されている。 3つの機体 前作の自機と似た性質のWR-01RとWR-02Rに加えて、新機体のWR-03が登場。いずれも「癖がなく使いやすい」「強力だが癖がある」「非常に使いやすいがスコア稼ぎをしようとすると苦行」と、一長一短の性質を持つ。 + 性能詳細 機体名 ショット ロックオンレーザー ハイパーレーザー ロックオン数 スコア倍率 補足 WR-01R ワイドショット(広角範囲攻撃) ホーミングレーザー(多段同時攻撃) 広範囲爆撃 5~8箇所 最大256倍 無し WR-02R ツインレーザー(前方残像攻撃) サンダーレーザー(順行追尾型攻撃) 広範囲爆発攻撃 8~16箇所 最大256倍 サンダーレーザーは追加ロックオン可能 WR-03 ホーミングミサイル(全方位誘導攻撃) フォトントーピード(連続光子魚雷攻撃) 未搭載 8~24箇所 最大255倍 隠し機体 機体名 備考 WR-01R スコア倍率が256倍になった・ショットがより拡散するようになった等、前作のR-GRAY1から大きな調整が入った。ロック数が少ないため高倍率を狙いやすいが、ロック→発射のタイムラグが長く、大編隊には押し潰されやすい。ハイパーレーザーも同様だが、前作よりも使い所が多くなっている。長所と短所を明確にされ、WR-02Rに負けず劣らず稼げる性能に調整されている。 WR-02R 性能的には前作のR-GRAY2とあまり変わっていない。ショットは青白い切れ目のない一点集中型のツインレーザー。効率よくダメージを与えられるが範囲が狭く使いにくい。サンダーレーザーは移動しつつ攻撃できて使いやすいが、ロック数が多いので高倍率を狙うにはそこそこ熟練が必要。ハイパーレーザーはロック数の多さ故に発動しにくいが、その威力は折り紙つき。前作と比べ攻撃範囲が向上している。WR-01Rと比べると使いにくさは否めないが、やはり流れるように効率よく攻撃できるというアドバンテージは大きい。 WR-03 本作で新規に追加された、極めて異彩を放つ性能の機体。ショットは全方位型のホーミングミサイルとなっており、遠距離から安全に攻撃が可能。レーザーである光子魚雷は、ボタンを押しっぱなしにすればカーソルを合わせるだけで発射する。ヒット数=スコア倍率(魚雷を当てる毎にスコア倍率が1倍ずつ上昇する)なため倍率上昇は非常に緩やか。最大の255倍を狙うのはミスが許されない、ハイパーレーザーもなく、稼ぐのは苦行。ただ長時間255倍をキープできる故に一番可能性がある機体でもあり、現在01R、02Rを抑えトップだったりする。一見ベストエンディングを見るためだけの機体に思えるが、アーケードでの解禁状況は相応に厳しい(*1)。 ステージ選択システム 導入部となる第1、ラスボス戦の第5ステージ以外は、以下の5ステージの中から3つがある程度ランダムに組み合わされてルートを形成する。 また当時のSTGとしては珍しく、継続プレイによってステージセレクト機能を解禁(*2)すれば、自分でルートを125通りに選択できる。同じステージを複数回選ぶことも可能だが、後の方に選択された面ほど難しくなる。 + ステージ詳細 ステージ名 領域名 ステージ内容 ボス INTELLIGENCE PART 知能領域 昼の都市 Pro-tor MEMORY PART 記憶領域 高空 Sem-frey EMOTION PART 感情領域 砂漠 Sem-slut CONSCIOUSNESS PART 意識領域 水中 Sem-loke CONSIDERATION PART 思考領域 夜の都市 Pro-tor 侵食率システム WaveRiderは常にCon-Humanからの侵食を受けている。これは画面右上の「侵食率ゲージ」で表現され、ゲーム中は常に(最終ステージを除き)増加し続ける。敵機が画面内に存在している状況では増加量が多くなり、敵機を逃がすと更に大きく増加する。反対に敵機を撃破することで低下し、ロックオンレーザーで纏めて破壊すると大きく減少できる。 100%になったその時点で、強制的にほぼ最高難度状態の表ラスボス戦に移行し、勝利してもバッドエンディングとなる。ただし、80%を超えるとゲージ減退率が高い敵が頻繁に出現するようになるため、意図的に狙わなければまず100%にはならない。 5面終了時の侵食率は、AC版では隠しボスの出現条件になっている。 侵食率が高いほど難易度は低くなるが、その場合侵食率100%のペナルティを常に覚悟せねばならない。 侵食率に応じてボス撃破時などの得点ボーナスも決定する。基本的には低いほどボーナス点は増えるが、90%以上に引きつけてもボーナスは高くなる。 ちなみに、データ蓄積の特典であるステージセレクトや隠し機体の解禁は隠しコマンドでそのプレイに限り一時解禁できる。当然ながらこのコマンドの存在は厳重に伏せられており、公開されたのは発売から相当経過してからだった。 評価点 ~生命の風が吹く場所~ プレイアビリティの改善 前作のロックオンレーザーは、敵機以外ではミサイルと一部のオブジェクトしかスコア倍率が掛からなかった。本作では、ミサイル・機雷・炸裂弾など一撃で破壊できるもの全てにスコア倍率が掛かる。わざと敵に機雷を出させたり、ボスのミサイル弾幕にハイパーレーザーを合わせてスコアを稼ぐ……といった稼ぎが可能になった。 更に、アイテムを出す赤い敵は素点が通常の敵の2倍になっており、よりロックオンの順番を考えた攻略を楽しめるようになっている。 ロックオンレーザー及びラウンドディバイダー(ボム)にも仕様変更が入り、より扱いやすくなった。 前作まで固定式だったレーザーのロックオンサイトは、自機が画面の一番手前にいる際にさらに下に移動し続けると画面手前へ引き寄せられるようになった。ハイパーレーザーは異なる高度の敵機を巻き込めるようになり、自機の攻撃範囲は格段に上昇した。 ラウンドディバイダーは不評だった前作の「前方爆撃攻撃」から「全方位攻撃」に変更され、更に敵弾を巻き込む事でより多くの得点を稼げるようになった。一瞬で何桁もの得点が加算される様は爽快。 ハイパーレーザー、ラウンドディバイダー共に、これで敵を倒した際には稼いだ得点の合計が画面左上に別途表示されるようになり、合計得点の確認が容易になっている。 アイテムキャリアーの導入 倒すとアイテムを3つ落とすアイテムキャリアーが、ステージ内に2~3機出現するように設定されているため、ミス時の立て直しが容易になっている。 キャリアーは本体の耐久力があえて高めになっており、WR-01Rだとハイパーレーザーを狙う事が、WR-02Rだと高倍率を狙うためのロックオン数を稼ぐ事が可能。これもロックオンレーザーの性能を引き立てている要因といえる。 強化された演出 更にダイナミックになったカメラワークとエフェクトは、前作『レイストーム』をも超える素晴らしい完成度。 ボスを取り囲むように体力ゲージを表すリングが表示されたり、敵を撃破した瞬間に敵弾が飛散したりと、細かな部分のギミックも向上している。 本作は2面に選ばれたステージ種類によって、ボス撃破直後以外で最終面までひとつなぎにアレンジされた曲が流れる。 楽曲そのものは前作までと比べるとやや癖があるが、世界観やストーリーに非常にマッチしており、いずれも評価は高い。『ラベンダーの咲く庭』・『生命の風が吹く場所』・『司教は言った「それは奇跡じゃない」』・『童話の消えた森(Complete Version)』など、名曲を挙げればキリがない。 とくに「生命の~」はゲームミュージックでの到達点の一つとも言われる。4面目でのボス戦(特に「Pro-tor」)へのシンクロ具合は鳥肌モノで、魅せプレイの際によく「1コーラス(?)聴かせて欲しい」のリクエストがある程。 泣きメロでもないが、楽曲配信のレビューで「(4面ボス戦は)泣きそうになる」なんてのもある。 『レイフォース』の売りの一つであったシームレス演出が復活した。『フォース』と『ストーム』のそれぞれを高次元にまとめた、演出系STGの1つの完成形と言ってもいいだろう。 BGMは4曲ともボス撃破時の無音に合わせて3分割されているが、演出として違和感なく機能している。 ファンサービス 一部のBGMやボスが『レイフォース』のそれに酷似しており、ストーリーの繋がりを感じさせると共に懐かしさを感じさせる仕様となっている。 特にラスト表ボスの"dis-Human"は、外観・SE・攻撃パターンと『フォース』のラスボスを踏襲した箇所が多い。 『レイストーム』の敵も一部が登場しており、『ストーム』を意識した背景も多い。 隠しボスを倒すと見る事が出来るベストエンディングでは後半で『フォース』を知っていると感動できる展開が用意されている。 シリーズを意識した本作の演出は、シリーズ過去作をやりこんだプレイヤーほど強く実感させられることだろう。 賛否両論点 ~聖母マリアよ、二人を何故別々に?~ 複雑なストーリー 前作までは『窮地に陥った地球人類が、最新鋭戦闘機に命運を託す』という王道の内容だった。本作のあらすじを要約すると「暴走したコンピューターを食い止めるため、電脳空間に飛び込む」ものになっており、そしてそこまでの背景は前作同様複雑。中でも本作の設定はゲームプレイはおろか、設定資料集を見ても理解が難しいものとなっている。 『レイフォース』に繋がる以上は仕方がないことだが、エンディングはどれもほとんど変わりのないマルチバッドエンド。 実験的すぎるBGM 評価点でもあるが、癖の強いBGMは発売当初「ついて行けない」という意見も多かった。当時の批判意見の一つに、「BGMは同じ音が延々流れ続けるだけ」というものがあったが、その指摘は的外れというわけではない。主に槍玉に挙げられるのが「ラベンダーの咲く庭」のメロディと「女の子にはセンチメンタルな感情はない」の金属音。「女の子に~」は、3面目道中のパーカッションも同様に指摘される事がある。 メインの四曲ともブレイクビーツ、ドラムンベース、ミニマルテクノ色を前面に押し出しており、長時間同じフレーズが繰り返され続けるクラブミュージック調となっている。サントラを買って聞き込んでみると実はもの凄いスルメ曲であることが分かるのだが、ゲーセンでちょっと聞いたくらいで良い評価を下すのはそもそも無理な話である。 比較的理解しやすい曲は表ラスボスとエンディングくらいか。 「生命の~」と「女の子には~」のBGMがラストには最高潮になるのだがそこはまだ4面ボスであり、表ラスボスdis-human戦では無い。裏ボスもいるので難しいのだが、最高潮の所はラスボスが良かったの声も、AC版ダライアスバーストの全ステージぶっ通しBGMが出た時に比べられた事もある。 初回プレイで出やすい(*3)「ラベンダー~」を最初に聴くと、これまでのレイの楽曲から離れすぎて戸惑い、また3面以降も同じ様なメロディが続く為にシームレスシンクロというよりも環境音楽と捉えてしまうプレイヤーも多かった。 問題点 ~自分で撰んだ拷問~ 実験作として 多くの実験的要素は、シリーズ通してのファンに受け入れられたとは言いがたかった。これが『クライシス』を前二作より下に位置付ける一因でもある。 (厳密にはゲーム内ランクとは別値だが)侵食率システムはランクをも変化させるため、攻略パターン構築を非常に難しくしている。これにステージセレクトのランダム要素も合わさり、シューター達はパターン構築に手間取ると共に、パターンをがっちり固めていく方向性だった前二作との違いに戸惑った。 ステージ数が前作から減少、更にそのうち2つはボスが同じということで「面数の少なさでゲームの印象が薄い」「インカム重視」などとの批判が上がった。 『フォース』は全7、『ストーム』は全8ステージ。『クライシス』は「全」7(隠しボスをカウントすれば8)種類のステージがあるが1プレイで遊べるのは5ステージである。しかも、そのうちの1面目はほぼイントロ状態(*4)。5面目はラスボス対決と感覚的には全3面。 ただし、フォースの時点で猛攻が続くのに7ステージ(2エクステンドのみ)、ストームに至ってはエクステンドが無いのに8ステージだった為、難易度的には丁度良いかもしれない。(*5) 当時のタイトーの役職者の一声の影響力が大きすぎて、直営店だけでなくゲーム開発にも「1プレイ(最長想定で)3分にしろ」等、難題を課す状態。その結果が『Gダライアス Ver.2』であり、『レイクライシス』である。難易度ではないが、『Gダライアス Ver.1』が1プレイ200円だったのもその所為。 システム面の強化やステージの密度の高さを見れば分かる通り、本作はシリーズ中最もスコア稼ぎを重視したゲーム性になっておりそれが好評なのだが、やはりコストパフォーマンスの縮小を惜しむ声は多かったようだ。「理解はできるが納得はできない」といったところか。 データ保存システムはそこそこ好評だったが、記憶領域が64人分と意外に少なく、超えた場合は古いデータから削除されてしまう問題があった。 その他 3DSTG共通の問題として、敵弾の視認がやや難しい。本作ではグラフィックやエフェクトが向上したせいで、『背景やエフェクトに紛れた敵弾(敵機)に当たる』という現象が慣れるまで多発しやすい。 『レイストーム』と同じくハーフトップビューの作品であるため、やはり独特の操作性が難易度を上げている節がある。 総評 ~天使の爪痕~ ゲームに影響を及ぼすバグもなければ、STGとして致命的な点がある訳でもない。演出・グラフィック・システムなど大半の面では前作を大きく越えている。 それゆえ、単体で見れば『クライシス』は間違いなく名作と言えよう。しかし『レイ』の冠を背負うには、少しパンチが足りなかった(あるいは、パンチが別ベクトルに過剰だったとも言える)。 タイトーが用意した実験的要素が失敗に終わり、ファンにあまり受け入れられなかった。これが本作に「前作以下」という評価を与えてしまった最大の原因だろう。 だが、タイトーは、スタッフはよく頑張った。名作の冠を背負う事がどれだけ大変か、ゲーム業界を知る人間なら分かる筈だ。 数々の実験的要素も、納得はされなかったものの、批難はされなかった。「新しい事に挑戦しようとしたタイトーの姿勢」が評価されたためであろう。~(*6) 余談 ~童話の消えた森~ 面構成について 1面目は同社のシューティングの『マスターオブウエポン』と同様の短い導入部分、その後シャッフル面を3つ繋げて2~4面、その後表ボス「Dis-human」戦だが、Dis-humanは「Self part(自我領域)」でその前のエラー画面がFunction Part、つまり1面目と同じ。 繋ぎにしか見えないが、構成的にはラウンド扱いで「最終ステージ」。その最終ステージが「エラー」となって「最終決戦」に移行、Dis-humanが現れるというメタ的演出である。裏ボスのインフィニティがいるが、あくまで最終決戦はDis-humanの担当となる。 タイトーG-NETの弊害 レイクライシスだけの事ではないが、ソフトウェア供給に使われている「G-NETカード(*7)」が「書き換え可能」「安価で新作を供給」を売りにしていた為に、発売されて暫く過ぎた頃、新作に入れ替える目的でかなりの数が回収されて書き換えられてしまった。 カードを随時供給ではなく書き換えする事で安価に新作導入出来る事は効率は良いのだが、おかげで大半のレイクライシスがこの世から消えてしまった。 何に書き換えられたかは不明だが、『サイヴァリア』や『式神の城』等の名作シューティングに生まれ変わったのならまだしも、巡り巡って『ナイトレイド』になったりしたのなら… なお、このG-NET基板は、大々的に発表されたにもかかわらず、リリースされた作品の大半がパズルゲームで市場では尻すぼみ気味だった。ドリームキャストベースのNAOMI基板が世に出ようとしていた時期であるのに、PS1互換の上位にとどめたシステム基板だったことも一因と思われる。(*8) レイクライシスの着メロ 当時、タイトーのケータイサイトにて様々なゲームの着メロが配信されたが、今作の着メロも作られている。他のゲームならともかく、今作は1曲平均15分もある実験的すぎる楽曲を着メロにする為にメロディを細かく分割、それぞれ別商品として販売された。 例えば「生命の風が~」の場合、1面道中、2面道中、2面ボス、3面道中…と分割されている。 「生命の風~」はまだ良いが「女の子に~」の3面道中等とても着メロになり得ないパートまでも作られ(*9)、それはもう苦労の後が見える。これを集めて一つにし、「着メロアレンジ」を作るファンも現れた。(*10) ケータイサイト閉鎖に伴い配信は終了している。 ZUNTATA版ストーリー タイトーが前日譚として設定した公式のストーリーとは別に、TAMAYOがサウンドトラックに掲載したいわば『ZUNTATA版ストーリー』がある。 + TAMAYOの思い描くレイクライシス 主な登場人物は「宇宙空間における生態系の変化」を研究する科学者レスリー・マクガイアと、その娘ドナ。レスリーは自分と同じ科学者の妻を外宇宙探査の事故で亡くしており、彼女が唯一レスリーに残したのが、人工授精で宇宙船内で生まれたドナである。 しかしドナはある時から、まるで亡くした妻を思い出させるような奇妙な行動を取り始める。精神の病を疑ったレスリーはドナをある大学病院のスーパーコンピューター「WAID」を使った精密検査にかけることにした。 しかしその三時間後、WAIDは突如世界のネットワークに侵食を開始。彼女はWAIDに取り込まれ意識を失ってしまう。 だがそれは事故などではなかった。ドナが自身の持つ「電脳世界へのダイブ」能力を用い、意図的にハッキングを仕掛けたのだ。彼女の目的、真実の片鱗を知り、ドナの目的をおぼろげながら推理したレスリーは、同じくダイブ能力を持つ電脳警察の青年の力を借り、ドナを電脳世界から奪還することを決意する……。 この背景には、宇宙船の事故でただ一人生き残り、ドナを出産したレスリーの妻の思惑があるのだが、その思惑は正直電波を若干帯びていると言われることも。機会や興味があればぜひサントラを入手して読んでみて欲しい。 移植版 プレイステーション版 発売・開発元 タイトー 発売日 2000年4月20日 価格 5,800円 備考 『The ダブルシューティング』収録版 2001年10月25日/1,500円ゲームアーカイブス 2008年07月09日/600円 判定 良作 AC版稼働から約2年後に家庭用移植版が発売された。が、ほぼベタ移植として好評だった『~ストーム』とは異なり、多くの変更が行われている。 G-NETシステムの基板スペック自体がPS1の上位互換であるため、完全移植は物理的に不可能であり、多少の劣化は致し方ないと言える。(*11) 当初は外注移植を考えていたが、これまで過去にタイトーのAC作品の家庭用移植を担当してもらった外注会社全てに断られたという理由からやむなくタイトー自社での移植となった(*12)。 AC版からの変更点 2人プレイ不可・ステージ間にローディングが挿入されBGMの中断が増えた・ボスのHPゲージといった一部エフェクトの削除など、演出面では劣化を強いられることになった点が多い。ロード画面は「次の領域への接続」と表現している。 各エンディングも内容自体はアーケード版と同じだが、細かい演出面で異なる部分が多い。 敵機の配置やゲーム性など、演出以外の部分はほぼ忠実と言っていい。 追加要素 ACでの隠し要素「WR-03」がデフォルト解禁。それに代わる新たな隠し機体(*13)として、『レイストーム』の主役機であった「R-GRAY1」「R-GRAY2」が追加。Wave Riderとの差別化がされており、ファンからの受けは上々。 R-GRAY1のハイパーレーザーは薄緑色の広範囲爆発型。持続時間は短いが着弾までのタイムラグが大幅に軽減されており使いやすい。 R-GRAY2のハイパーレーザーはブラックホール。威力は非常に高いが、WRのものと比べると範囲がちょっと狭い。 R-GRAY系列のスペシャルアタックは前作と同じ前方爆撃。範囲は狭いが威力は桁違いに高くなっており、しかも真ボスからの反撃を受けないというメリットがある。 ロックオンサイトを画面下に寄せることができないためやや使いづらいが、WRよりも移動速度が早く調整されている。ショット・レーザーの性能はWRと同じ。 前作の家庭用と同様、アレンジモードとしてスペシャルモードを搭載。こちらも本編とは違った面白さが好評。 本モードではステージセレクトなどが存在せず、収録された全8ステージ(*14)を順番に攻略するという、AC版の不満点を解消した構成になった。 侵食率が100%になっても最終ステージにいきなり飛ばされる事はないが、100%になっている間はスコアが1秒あたり6万点減少するペナルティが課せられる。 自機はショット・レーザー共に常にフルパワーアップ状態。アイテムは侵食率減少と1UPエクステンドの2種類で、同じ種類をとり続けることでスコアアップ。特定条件を満たすとスコアが2倍になるアイテムが出現する事もある。アイテムキャリアーや敵機の他に、ボス撃破時にも多数のアイテムが出現するようになっている。 コンティニューは不可、途中で全滅した場合は記録なし。前作家庭用の13機モードを発展・難度緩和させたかのようなゲーム性になっており、ノーミスで稼ぐか、残機に余裕をもたせるかという攻略の幅広さが実に面白い。一見初心者向けになったように見えるが、7-8ボスは相変わらず熾烈。VERY HARD設定も視野に入れた調整がされている(*15)。 スペシャルモード専用の新規BGM『.BLUE -地球に棲む日-(*16)』『安置 -Antithese-』も評価が高い。 その他 前作家庭用のようにステージ別の難易度設定はできなくなったが、残機は最大9機まで設定可能。コンシューマーのプレイヤー層に配慮したのか、AC版では厳しかった真ボス出現条件も大幅に緩くなっている(*17)。 ポケットステーションで遊べる「POCKET RAY」が付属(*18)。低解像度ながらも、レイフォースの雰囲気を再現している。さらに、クリア後のデモではあのエンディングも… クリア特典として、本編でスペシャルゲージが自然増加するオプションが解禁される。 一人プレイ専用になったためか、自機のカラーチェンジが可能になっている。アーケード版の赤、青に加えて緑(*19)、黄色の4種類。 サウンドテストが搭載されている。高クオリティのZUNTATAサウンドがいつでも聴けるのは地味ながら嬉しい配慮。中にはBGMテストだけで聞ける、レイシリーズファンへのサービス的サウンドも収録されている。この曲は後にタイトークラシックス版でもタイトルBGMとして収録された。 前作と抱き合わせた廉価版『SIMPLE1500シリーズ Vol.75 The ダブルシューティング』も発売された。 ただしこちらでは容量の都合上「命の風が吹く場所」と「女の子にはセンチメンタルなんて感情はない」の2曲がカットされており、人によっては「ゴミ」と称される『~ストーム』の移植版よりも評価が低い。 Windows版 2001年10月5日にサイバーフロントの廉価版シリーズ「PCゲームベストシリーズ」の第17弾として発売された。内容は640×480の表示に対応していることやHDDインストール必須のためローディングの待ち時間が(スペックにもよるが)短いことを除けばPS版のベタ移植。 Windows版はPOCKET RAYの要素が存在しないことから、スペシャルゲージが自然増加/3倍速で増加するオプションは最初から搭載済み。 その後2003年にはメディアカイトから、2005年にはソースネクストからも廉価版が発売された(*20)。 タイトークラシックス版 2017年8月9日配信開始。対応ハードはiOS・AppleTV/Android。 初の完全移植が謳われ、アーケード版で特徴的だったシームレスなゲーム進行がほぼ完全に再現されている。 しかし配信開始から暫くの間、「BGMが不自然に途切れる」等の不具合が発生し、批判が相次いだ。(*21)その後BGM等音響面でのアップデートが行われ、BGMを含めた演出面はアーケード版とほぼ遜色ない完成度となった。 ゲームモードは「アーケードモード」と「リミックスモード」の2つを搭載。 アーケードモードはプレイヤーネーム登録によるスコア等の記録要素も含めPS版に移植されなかった要素を再現している。ただしレバー動作まで再現しているため自機の移動速度が固定になっており(*22)、従来の感覚を持ったままプレイすることになる。前2作と同様アレンジBGMが追加され、今作では「ラベンダーの咲く庭」(*23)のアレンジバージョンを収録。アレンジ担当は現在のZUNTATAメンバーでもあった下田祐氏(*24)。 リミックスモードは全てのエリアを通しでプレイするモード。BGMはPS版スペシャルモードのものを起用しているが、アイテムやルールはアーケードモードと同じのまま。自機の移動速度は可変式となっており(*25)、操作性は良好だが、長丁場により高ランクの攻勢に晒され続けることになるため難易度が非常に高い。 また、いずれのモードでも3号機「WR-03」が最初から使用可能だが、真ボス出現条件などの条件はアーケード版に準じており、R-GRAY系列機やスペシャルモードなどといったPS版の要素が存在しない。 タイトル画面では、PS版のサウンドテストでのみ聴くことの出来たあの曲が流れる。 PS版のシークタイムが無くなった為か、スペシャルモードの楽曲「.Blue」が数カ所「飛び」が発生している。ボス戦や面接続のちょうどプレステ版でローディングが入る箇所に発生している。.Blueがローディング前提で作曲されていたのがよく分かる。 原作ではなくPS版からのベタ移植の為に最初からシームレスは不可前提で作られたからか、曲自体もひと繋ぎのぶっ続けというよりも.Blueの構成は「本来シークタイムの所で上手く繋げたメドレー」という形になっているがこれはこれで良曲というのは流石。ただし、レイクライシスのストーリーと音楽の意図的なベースラインから醸し出される「妖しさ」「偽りの青空」の印象はかなり独特な世界観。 他のレイシリーズと違い、「プレイ内容を保存する」事で解禁する要素があるにもかかわらず、今作は機種変更で引き継ぎが出来ない。 買取式のアプリでは多々ある事ではあるが、親会社のプレイ状況保存必須のドラゴンクエスト等は引き継ぎ可能な実装であった。 Android版のみ2023年1月10日を以て配信終了(*26)。 Android版はAndroid 9以降で処理落ちが頻発する問題(*27)を抱えていたが、修正が実施されることはなかった(*28)。 PS4/Switch/Steam版 2023年3月9日発売のオムニバスソフト『レイズ アーケード クロノロジー』内の1作として収録。同年9月26日にSteam版が配信開始。 オリジナル版の解像度をそのまま再現したモードと、ポリゴンモデルを高解像度化した『レイクライシスHD』の2バージョンが収録されている。 シームレス進行は勿論、従来の移植版ではオミットされていた2人同時プレイまで再現されている。 BGMはオリジナルとアレンジの2バージョンから選択可能となっており、アレンジでは1~4面のBGMがPS版の「.Blue」、5面が「安置 -Antithese-」になり、その他の各BGMは一部(*29)を除き、アレンジアルバム「rayons de l Air」のものが採用されている。 余談だが、本記事見出しに付記された「少女の行為は~」などのフレーズは、全て本作で使用されたBGM名である。
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魔界塔士Sa・Ga 【まかいとうしさが】 ジャンル ロールプレイングゲーム 高解像度で見る裏を見る 対応機種 ゲームボーイ メディア 1MbitROMカートリッジ 発売・開発元 スクウェア 発売日 1989年12月18日 定価 3,500円 備考 北米版タイトル『THE FINAL FANTASY LEGEND』 判定 良作 ポイント GB初RPGにしてスクウェア初のミリオンヒットそうだいなストーリーのゲームです!(自称)これも いきもののサガか…ラスボス一撃死を含むバグすらも魅力に サガシリーズ 概要 特徴及び評価点 基本的なゲームシステム 斬新なシステム 殺伐とした舞台背景・衝撃的なシナリオ 音楽 賛否両論点 問題点 総評 余談 その後の展開 概要 ゲームボーイ初のRPG。後に20年の歴史を誇ることになったサガシリーズの祖となる作品で、斬新なシステムが多い。 開発段階での仮称は『ファイナルファンタジー外伝』であり、「エクスカリバー」「フレア」など、武器や防具、魔法やアイテム、モンスターの名前や能力などにFFシリーズと共通のものが見られる。 それがサブタイトルになって発売された『聖剣伝説 ~ファイナルファンタジー外伝~』とはある意味対照的であると言える。 特徴及び評価点 基本的なゲームシステム 4人編成でパーティを組み、複数の世界をつなぐ「塔」の頂上にあるという楽園を目指すことがストーリーの目的となる。 塔の特定の階層から冒険の舞台となる世界に繋がっている。一つの世界が大陸一つ分と思ってもらえば良い。その世界をクリアすると塔の更なる階層に進むための鍵が手に入る。メインストーリーが展開される世界は4つだが、それ以外にも任意で行くマップ一つ分程度の小世界が幾つも存在し、同じく塔から繋がっている。 どこでもセーブ可能 携帯ゲーム機での配慮のためかダンジョン内やフィールド上や町の中でもデータのセーブができる。 ドラゴンクエストシリーズのような敵を正面から見たような視点の戦闘画面。 戦闘はターンごとに、まずパーティー全体での「たたかう」「にげる」を選び、「たたかう」ではその後各自の行動として予め装備した武器やアイテム、習得している能力から選択する形。 後述するように、ほとんどのコマンドには使用回数制限がある。 宿屋に泊まっても回復しない状態異常が4つある。 該当するのはHP0で戦闘中一切行動できなくなる「死亡(しぼう)」、HPとは無関係に一切行動できなくなる「石化(いし)」、命中率が低下する「盲目(もうもく)」、防御力が半減する「呪い(のろい)」。うち前2つは味方パーティー全員がどちらかの状態になると全滅でゲームオーバーになりタイトル画面に戻され、全滅前にセーブしたデータからやり直しとなるため、放置すると厄介。 回復にはそれぞれ特定のアイテムが必要。「死亡(しぼう)」は「いきかえり」、「石化(いし)」は「金の針(きんのはり)」、「盲目(もうもく)」は「目薬(めぐすり)」、「呪い(のろい)」は「十字架(じゅうじか)」が回復アイテムとなるが、「死亡(しぼう)」は復活の館でお金を払うことで、他3つは全回復アイテムの「エリクサー」でも回復できる。他に「死亡(しぼう)」「石化(いし)」以外はモンスター能力の「治療(ちりょう)」、「死亡(しぼう)」はモンスター能力の「レイズ」でも回復可能。 斬新なシステム まずは成長システム。このゲームには他のRPGによくある「経験値」や「レベル」の概念がない。キャラクターの種別によって成長方法が異なる。 人間は店で売っているアイテム「力の素」「素早さの素」「HP○○○」を使うことでのみ成長できる。魔力は基本的に上がらないため魔法はうまく使えない。 強くなるのにお金がかかるが、逆に言えばお金があれば簡単に強くなれる。「力の素」「素早さの素」は価格は一定のため、獲得資金の低い序盤では育てにくいが終盤になると簡単にカンストさせられる。能力値に依存しないグループ攻撃武器もいくつかあるためそれで終盤まで乗り切ることも可能である。 HP増強アイテムに関しては「HP200」「HP400」「HP600」の3段階に分けられており、価格や手に入る階層も段階的に上がるようになっている。上げやすいため最初のうちは他種族よりもHPを高めにしやすい。しかし、使用者のHPがアイテムの数値に到達するまでは5~20ポイント成長するが、数値を上回った場合は1ポイントずつしか成長させられないため、基本的には人間の最大HPは600程度で打ち止めとなる。もちろんそこから大量の「HP200」で1ポイントずつ上げて無理矢理999にできないこともない。またHP600は5000ケロもするので、1ずつ上げる手間を面倒に思わないなら最大HPが400を超えたらHP200(1個100ケロ)をガバ買いして投与したほうがコスパが圧倒的に良い。幸いと言うべきかHP600を買える場所ではちょっと足を伸ばせばHP200が売っているため、そのために時間をかけて大戻りする必要はない。 アイテム・装備品を8つ持つことができるが、逆にアイテムや武器を使わなければ何もできず、防具なしでは防御力も耐性も無い。 エスパーは突然変異で能力の成長や特殊能力の習得が発生する。 敵の強さは関係ないため、戦い続ければ序盤でも最強クラスの能力にすることも可能。成長率は低いが「ぼうぎょ」も成長することがある。 アイテム・装備品は4つしか持てない。その一方で魔法の本などのエスパー専用アイテムも存在するので装備の取捨選択に悩みがち。 特殊能力には使用型のものと、耐性や先制攻撃に関わる常在型のものがある(モンスターも同様)。 アドベンチャーズギルドで入れた場合階層によって最初から持っている特殊能力が変わる。 モンスターは敵を倒したあとに出てくる肉を食べることで別のモンスターに変化する(*1)。 食い合わせとモンスターレベルで次に変化するモンスターが決まり、強くなることもあれば弱くなることもある。HPや能力の使用回数は変身すると回復する。博打性もある一方、食い合わせを理解した上でモンスターを中心にして進めれば非常にスムーズに攻略可能。 うまくすればスタート直後に準最強クラスのモンスターまで変化することも可能。 アイテム・装備品は一切持つことができない。 非レベル制は、本作のディレクターである河津秋敏氏がゲームデザインを務めた『ファイナルファンタジーII』とも共通する成長システムである。 回数制の採用。武器やアイテム、エスパーやモンスターの能力には使用回数がある。 能力は宿に泊まれば使用回数が回復する。武器やアイテムの使用回数は回復方法がほとんどなく、回数がゼロになると消えてしまうため、予備を用意したり新しいものを買ったりしないといけない。 終盤になると、武器やアイテムの使用回数を回復する「けんじゃのいし」というアイテムが買えるようになる。高価だが、終盤の武器に比べれば安い。 一部、回数がなく無制限に使えるものもある。 武器属性が相手に特効でクリティカルすると敵を即死させる。アンデッド特効のサンブレードでアンデッド化した四天王2たちが一瞬で溶ける…。 死亡した主人公と仲間はお金を払って生き返らせてもらうのだが、「ハート」の残数分(初期数は3個)しか復活できない(ハートは店で売っていて補充可能、しかし高価)。『ロマンシング サ・ガ2』から採用される「LP」の前身ともいえる。 余談だが、これらのシステムは続編『2』ではほぼ踏襲されたものの、さらなる続編『3』では経験値とレベル制が導入され、上記のシステムがほとんどなくなるか別物となっており、遊びやすくなった一方でシリーズファンからはかなり不評であった(もちろん1、2のシステムは複雑でわかりにくいという声もあったが)。 後述するネタ要素が先行しがちの作品であるが、短時間で遊べるようにするための成長システムやどこでもセーブできるシステム、シナリオの適度なボリュームとテンポの良さ等、携帯ゲーム機ならではのRPGの形を初作ながら完成させていたという点は評価できる。 殺伐とした舞台背景・衝撃的なシナリオ サガシリーズを物語る、殺伐とした要素もこの作品から始まった。また、こうした殺伐とした舞台の雰囲気に合わせシナリオ(イベント)も斬新で印象に残るものが多い。 たとえば最初の大陸世界での重要なアイテム「キングの鎧」「キングの剣」「キングの盾」のうち、「キングの鎧」は王の悩み事である村の娘を盗賊から救うことで平和的に入手できるが、「キングの剣」は剣の王を倒して、「キングの盾」は盾の王を暗殺した大臣を倒して、文字通り「殺してでもうばいとる」。 仲間を入れ替えたいときはアドベンチャーズギルドで新しく雇うのだが、生きている仲間は「おれはいやだぜ」と言って、外すことができない。ただし死んでいる場合は死人に口なしなので、そのまま新人と入れ替えられる。 ハートと復活にかかるお金(*2)を考えると、ハートを切らしてしまったら、入れ替えたほうが安上がりであることが多い。とはいえハートの値段は一定のため、稼ぎの増える終盤には相対的に安くなる。 特に、肉で金や時間をかけずに成長できるモンスターについては顕著に使い捨てられやすい。ただし、最高位のモンスターは二度と仲間にできないので高価なハートを惜しまずに復活させてやる必要がある。 また、シナリオが進むとギルドのメンバーも強化されるため、あまり育っていない仲間を意図的に殺して入れ替える場合もある。後の『ロマンシング サ・ガ2』の「謀殺(暗殺、ルドン送りなどとも呼ばれる)」の原点ともいえる。 もちろん、思い入れがあれば多少効率が悪かろうが同じキャラを使い続けることは可能。編成の自由度は高い。 そして台詞回し「てめえの ようなやつが 1ばん むかつくんだよ!」(前述の大臣を倒した直後)、「なんの ようだ!」(お店の店員)、「しりたがりやは わかじにするぞ」(空中世界で白虎の親衛隊になって、白虎からジャンヌの話を聞いたあと)、「○○は しんだ」(戦闘シーン)などが殺伐とした世界を演出している。 都市世界でも倒れている人を見て言う台詞が「しんでるぜ」これだけ。 一方で河津秋敏氏が絡んだ作品特有の珍妙な迷セリフも健在である。 小世界で発生するサブイベントにはシュールかつ印象的なものが多い。 19階~21階のイベントは、表現力に乏しいハードだからこそできたイベントともいわれる。 また、空中世界のミレイユは時々「スクウェア三大悪女」に数えられる。白虎に捕まっていたと思いきや…。(*3) 世界観そのものも斬新。最初こそ一般的な中世ファンタジー風の様相だが、塔を登るにつれて竜宮城やら、雲の王国やら、現代風の街やらが登場する。上層に進むにつれて、退廃的な雰囲気が濃くなっていくのも特徴。ただし「魔界」は無い……まあ、このカオスな構造そのものが魔界的というイメージタイトルなのだろう。 装備品もまた斬新。剣や斧のような中世ファンタジーでおなじみのものはもちろん、パンチやキックといった技、デリンジャーやサブマシンガンといった銃火器、ビームライフル、ライトセーバー(*4)などのSF武器。はては波動砲(*5)や核爆弾まで装備できる。まさになんでもありである。 防具も鎧、盾、兜といったファンタジー系恒例の物だけでなく現実世界から「アライのメット(モデルはもちろん頑丈さで名高いアライヘルメット)」が高い防御力を引っさげて登場している(*6)。 極め付けは、塔の頂上・楽園で待つ者である。 + ネタバレ。関連動画もあり。 その待ちうける者「かみ(神)」が語る真実とは「平和な世界に飽きたため、世界を乱す者(=アシュラ)を生み出し、さらにそのアシュラにも飽きたため、今度は人間達に楽園の話を広め、彼らを観察していた」のだという。要は「神様が作った壮大なゲームの中で踊らされていただけ」ということである。 この真相が明かされるやりとりはいまだにネタにされており、ゲーム史に残る伝説となっている。 そしていよいよ「かみ」との決戦を迎える。ラスボスだけあって戦闘能力は強大なのだが、なんと店で普通に売っている「チェーンソー」で一撃必殺が可能だったりする(*7)。チェーンソーは一撃で相手を倒す即死系の武器で、本来は「相手の防御が低いと成功する」仕様になるはずだったのだが、バグで「相手の防御が高いと成功する」ようになってしまった。さらに、本作の敵はチェーンソーに対する耐性を持たないため、防御が極端に高い「かみ」は、チェーンソーで簡単にバラバラにできてしまうのである。 バグのためにこんなありさまとなってしまったのだが、このことが逆に「かみ」のインパクトを絶大なものにしてしまった。「かみは バラバラになった」というメッセージ、直後のエンディングでの一言目「やっちまったぜ…」とともに、ゲームファンに散々ネタにされている(*8)。 結果的にバグが作品の画竜点睛になったという稀有な例といえるだろう。ある意味ではサガシリーズの今後を暗示していたともいえるかもしれない。 チェーンソーの攻略法のみ目立っているが、正攻法で倒したときのみ見られるメッセージ「かみは しんだ」もかなりインパクトがある(*9)。GB版ではチェーンソー使用時にはこの文は表示されないのである(移植版では表示される)。どちらをとってもなかなか趣がある。 + 関連動画 音楽 音楽はFFシリーズの植松伸夫氏が担当した。 「涙を拭いて(*10)」「魔界塔士」「怒闘」が特に名曲としてあげられる。 BGMの切り替えタイミング等による演出が秀逸で、本作を印象深い作品にした要素の一つ。 曲数は15曲と多くはないが、当時の基準としてはじゅうぶん以上であり、ゲームプレイ中に不足を感じることは少ない。 携帯機でありながら、FFシリーズよりも先んじて「通常戦闘・中ボス・ラスボス」でそれぞれ1曲ずつ用意しており、そのどれもが名曲である。 賛否両論点 本作を語るうえで外せないものとして「バグ」の存在がある。 + 一例 メニューの「のうりょく」の欄でAボタンを一度押してからキャンセルすると、たいていバグが発生する。 フリーズすることもあるが、人間をモンスターに変えることも可能。また、場合によっては超級のバグも…。 特定の名前の主人公がいる時に、ある手順でならびかえを行った後に「ちからのもと」などをBボタンを押して使うと、パラメータがハングまたはループして、いきなり最強になれる。 これの応用で、アイテム変化や使用回数無限化もできたり、エスパーやモンスターに「素」を使って強化したりもできる。 扉などに入ると同時にメニューを開いてセーブ&リロードすると、まったく異なる場所に移動できるところがある。 このワープ技を解明、利用してタイムアタックをするプレイヤーもいた。 都市世界に登場する「そうちょう」は壮絶な特攻死を遂げるが、フラグ設定ミスのせいで、このイベントを何度も起こせる。 この際に本作で最有用といえる防具が手に入ることもあり、そうちょうはプレイヤーによって何度も甦らせられては特攻死を遂げていき「不死身のそうちょう」としてネタにされるのであった。 ジャンヌの死も総長と連動しているため、何度も起こせる。意味がまったくないのであまりネタにはならないが、名場面が一気に迷場面になってしまうポテンシャルを秘めている。 チェーンソー(のこぎり)の神殺し仕様も、上述のとおりバグである。「やっちまったぜ…」 チェーンソーのバグは後期版ROMやリメイクでもそのまま残されている。河津氏のコメントによると、好評だったので残したとのこと。ちなみに「どんな攻撃も通用しないバリアをはっている」という設定のボス(都市世界の「すざく」)が存在し、特定場所で通常の敵のごとくエンカウントするのをプレイヤーはひたすら逃げるのだが、そのバリアもチェーンソー(のこぎり)で一撃である。そして死んだハズなのにエンカウントしてくる。もちろんこちらのバグもラスボスチェーンソー(のこぎり)バグ同様、リメイクで残された。 これだけバランス崩壊級のバグがあると普通は批判されてもおかしくないところだが、本作の殺伐かつ混沌とした世界観と、なんでもありのフリーダムなバグがマッチしていたこと、バグ自体も理解すれば有用なものが多いことなどから問題視されることもなく、バグが本作最大の魅力とまでいわれるようになってしまった。「プレイヤーに有利なバグは容認される」ことの典型例といえるだろう。 なお、上記に挙げたバグは主に初期版ROMのものであり、後にバグの一部が修正された後期版ROMがリリースされたため、異なる2つのバージョンが存在する。 簡単な見分け方として、ステータス画面で「ちから」と表示されているものが初期版、「こうげき」と表示されているものが後期版である(「ちからのもと」の名称はどちらも変わらず)。 後期版でも一部残っているバグはあるものの、上記に挙げたようなゲームに多大な影響の出るバグは概ね修正済。これによりゲームを崩壊させるようなぶっ飛んだ遊び方はできなくなった反面、フリーズバグ等も消滅しているため安心して遊ぶことができる。 問題点 エスパーの成長がランダムで、ある能力だけが強くなりすぎることがあったり、なかなか成長しなかったりとバランスが悪い。 特殊能力にしても「スーパーパワー」で(一時的とはいえ)力が一気に99になるといったように極端なものがある。 能力の成長、特殊能力の習得とも、メッセージがいっさい表示されない。失いたくない特殊能力がある場合はこまめにセーブし、ステータス画面をチェックする必要がある。 リメイク版ではそれらのメッセージが出るようになった。 通常の雑魚モンスターの肉の食い合わせの中に、ドラゴン系になるものが含まれていない。 6体いるドラゴン系に変身するには、戦闘機会の限られるボスモンスターの肉を食うしかない。うち1体はアドベンチャーズギルドで仲間にできるが3体は四天王・青龍の肉でしか変身できない。WSC版の「モンスター図鑑」を埋めるためには複数回のプレイが必須である。 WSC版は「モンスター図鑑」のためか敵モンスターのレベルを調整して仲間にできる系統は全員仲間にできるようになったが、ドラゴン系に関しては却って問題点が浮き彫りになってしまうことになった。 ドラゴン系は最初のうちは強いので「特別な肉でなければ変身できない」というのは意味のあることではある。ただし終盤には優位さはなくなる。 容量の都合で仕方が無いのだが、主人公や仲間たちは、種族・性別に関係なく、全員が同じ口調である。それもかなり乱暴な言葉づかいが多い。女性キャラが男口調だったり、モンスターがべらんめえ口調でヨイショするなど、キャラのイメージにまったくそぐわない台詞が多々。 GB版では仲間を加えずに進めると、仲間のセリフが出る場面でフリーズしてしまう。このため一人旅はできない。 WSC版ではフリーズしなくなったので一人旅も可能。 アイテム欄が8個しかない。一応、各キャラ装備中の装備品は別欄で扱われるが…。 捨てることは可能だが、重要アイテムでさえも簡単に捨ててしまえる。再取得不可能なものを捨てたら詰みである。 最強魔法アイテム「フレアの書」購入の便が悪い。 10階の空中世界の隠れ町(グライダーでしか行くことができない)にしか売っておらず、しかもその世界を攻略中に50000ケロは高額すぎてまず買えたものではないし、買えたとしてもその時点では完全にオーバースペックすぎて不要。 空中世界をクリアして「涙を拭いて」がかかっている間は隠れ町には入ることができず、塔に入るとグライダーが消えてしまうので二度と買えなくなったと誤解したプレイヤーもいた。 実際にはクリア後一度塔に入って出て(「涙を拭いて」状態を解除して)もう一度酒場の町に行くと再度グライダーを貰いなおすことができ、それを使って移動することで買える。が、気付きにくい点であるし、知っていてもラストダンジョンへの道を開いた後だと10階に行くためにはテレポートやドアが必要で、さらに隠れ町は塔からの距離も多少あるので行くこと自体に手間がかかる。 ラストダンジョンの最後あたりからは徒歩で戻れなくなり、テレポート用の能力かアイテムがないと二度と戻れなくなる。当然ラスボスを倒せる能力 かチェーンソー がないと詰む。 どこでもセーブ可能(ファイナルファンタジーと違ってダンジョン内のどこでも可能)というシステムのおかげで他にも詰むポイントはある。 それは「デスマシーン」戦である(*11)。こいつと戦う部屋は一度入ると外に出られないため「戦闘前のセーブ」が仇になって詰むことがある。 能力の「テレポート」かテレポートアイテムがあれば外に出られるが、この時点ではアイテムのほうは手に入らず(初めて入手できるのはもっともっと後)で、エスパーが「テレポート」を覚える確率は極めて低い。 「テレポート」が使えるほど高位のモンスターが味方にいれば、デスマシーンに勝てないことはない。 「涙を拭いて」を聴ける機会が一度しかない。 本作では珍しく心に染み入るような悲しげなメロディーでゲーム史でも屈指の名曲なだけに惜しい。 続編では、これが流れる機会が増え、1ケロでBGMを変えられるジュークボックスまで設置された。 総評 「ゲームボーイにはRPGはそぐわない」と考えられていた時代に、あえてその制約の中で工夫を凝らし、前述の概念を覆した意欲作である。 少ない容量の中で…いや、少ない容量だからこそ実現できたこのゲームの革新性がRPG及び携帯ゲーム機に与えた影響ははかりしれず、ビデオゲームの歴史的に重要な作品であるといえる。 勧善懲悪を排した殺伐としたストーリーにしても、大味ながら短時間攻略に適したゲームシステムにしても、現在でもじゅうぶんに通用する作品である。 その魅力にとりつかれ、現在でもタイムアタックに挑戦するプレイヤーは多い。 余談 北米版のタイトルは『THE FINAL FANTASY LEGEND』であり、ファイナルファンタジーシリーズに属する作品として発売されている。 そのためか、後に携帯アプリで配信された『ファイナルファンタジーレジェンズ 光と闇の戦士』は、海外版のタイトルが『FINAL FANTASY DIMENSIONS』と異なるものになっている。 古い携帯機の最初のRPGゆえ、容量の都合上作品に出て来るグラフィックのパターンが少なく、笑えるシチュエーションがある。兵士と同じ鎧騎士姿の王様(ゴーレムもこのグラフィック流用)が村一番の美人と称する相手がスライムや目玉と同じグラフィックであったり、死にかけの王様がもはや骸骨の姿だったりとかなり笑える。 ただ、本作の世界にはたとえ街中であろうと狼男やゴブリン(鬼)や悪魔や龍(やキマイラやドラゴン)などと同じグラフィックのキャラが普通に街の人として存在しているため、こんなグラフィックでもわりと違和感なく見られる。 本作の世界観を象徴するかのごとく様々な種族が一つの世界に混在していることを表す点はまさに「サガらしさ」を表現していると言える。後の作品『サガ フロンティア』にも受け継がれた。 「半熟英雄シリーズ」や『ライブ・ア・ライブ』のディレクターを務めた時田貴司氏も、この作品に「たかしくん」として登場している。そのイベントは、湖の穴にゴミが詰まって小世界が水没しかけ、その下の小世界(1階下でタコハチ6人が住んでいる)が水不足に陥る、という内容だが、それは当時、時田氏が社内で流しのゴミを詰まらせた実話がもとになっている。 因みにその下の小世界に行かなくても、この世界のゴミを取り除くことができるので、先に下の世界を見ていないと「人間がタコハチに変身した」という錯覚に陥る。 本作は、(旧)スクウェア初のミリオン達成作品である。 BGMのひとつ「涙を拭いて」は、アレンジされるなどして「Sa・Ga2 秘宝伝説」「ロマンシング サ・ガ」「ロマンシング サ・ガ2」「ロマンシング サガ -ミンストレルソング-」でも使用されており、サガシリーズ定番曲のひとつとなっている。 本作で登場する四獣は後のサガシリーズに様々な形で登場する。皆勤賞ではないにしても彼らもサガを支えているキャラクターになっている。 タイトルについて、「これも いきもののサガか…」というセリフなど、「SA・GA」が「サーガ(物語・神話)」と「性(さが)」のダブルミーニングで付けられたと思われがちだが… 河津氏いわく「セリフの方をタイトルに掛けて書いたもので、サ・ガ=性(さが)ではありません。またsagaというのは、アイスランドの歴史や神話を題材にした口承文学のことで、○○サーガというような感じで、ゲームでもよく使われます。ですが、サ・ガ=saga(サーガ)ではありません。」 実際は、ファイナルファンタジーのような長いタイトルではなく短いタイトルでアメコミの擬音「ZAAAP」や「CRAAAASH」みたいなのが良いと「ドガ」や「ズガ」などのタイトル案の1つが「サガ」だったとのこと。 また当時の秋葉原で売られているアングラソフトには漢字四文字なタイトルが多く、そういうアングラ感を狙って魔界塔士と付けたとのこと。 説明書によれば復活アイテム「いきかえり」はハートを消費すると書かれているが、実際は消費しない。 さすがに消耗品なのに15000ケロと超高値に加えて10000ケロのハートまで取られるのはやりすぎだろう(*12)。 しかしWSC版ではハートを消費するようになったのでどうやら設定ミスだった模様。ちなみにモンスター能力「レイズ」での復活も、GB版ではハートを消費しないがWSC版では消費するようになった。 説明書に記載されているパーティの編成は「タイロン(人間男)」「ルツ(エスパーマン)」「アリサ(エスパーギャル)」「ミャウ(モンスター)」となっており、これは『ファンタシースター』のパーティメンバーと同一である。 本作とファンタシースターではSF要素とファンタジー要素が混在した世界観という共通点もある。 開発初期の案の1つに、主人公たちが悪の場合に神が敵になるという物があり、この案からラスボスが神になった。 ゲームブック版「冒険者たちのレクイエム」も双葉社から発売された。 仲間になる新撰組(モンスター。挿絵も存在するがその姿は必見)、最後の方はパンチやキックで敵のボスクラスを倒していく主人公、妙に多い一風変わったゲームオーバーのパラグラフなど、ゲームブックならではの「サガらしさ」にあふれた一冊である。 難易度はめっぽう高め。基本仲間は使い捨てで「仲間○人失う」であっさりと死ぬのに、仲間の生存者もHPに勘定されるため、死人が多すぎると思わぬ苦戦を強いられることも(とくに都市世界が顕著)。 オリジナル版では目玉モンスターの最上位が「ビホールダー」だったのが、リメイク版では「デスアイ」になっているので、本来の名前でプレーできるのはオリジナル版のみである。(*13) 因みに『ファイナルファンタジー(初代)』でも呼称が若干違う「ビホルダー」が同じ問題から「イビルアイ」、「デスビホルダー」が「デスアイ」に変えられている(こちらはグラフィックも別物に)が本作では元々前者の異名同種「イーブルアイ」がいるため「ビホールダー」が「デスアイ」となった。 FFでは「デスアイ」(元の「デスビホルダー」)はアンデッドだったが、本作では変名した成り行きで下位種と名前が被ったためそうなっただけで、中身自体は変わっていないためFFではアンデッドなのに、本作では普通のモンスターの一種というちょっと紛らわしいことになっている(つまり「念仏の書」は効かないまま)。 その後の展開 2002年にワンダースワンカラー専用ソフトとして移植された。 GB後期版をベースにしたカラーリメイク+GBオリジナルモードも搭載しており、原作の良さそのままのリメイクとして好評。詳細は『魔界塔士Sa・Ga (WSC)』を参照。 その後、2007年に上記WSC版を元に携帯電話アプリとしても移植された。 本作は初期GB三部作で唯一ニンテンドーDSではリメイクされていない。 というより、『魔界塔士』のリメイクは上記のWSC版/携帯版で完了という認識だったらしい。2011年のDS版『サガ3時空の覇者 Shadow or Light』発売後の「4Gamer.net」のインタビューにおいて、河津氏は「これでひととおりのリメイクはできたと思います。」と発言していた。 が、後に河津氏は2013年12月に本人のTwitterで「魔界塔士の移植and/orリメイクは計画はしてるんですが、なかなか実行に移せてません。申し訳ない。」とも発言している。 2020年12月にその理由について同じくTwitterで答えており、「魔界塔士はそのままリメイクでは短すぎるんで、内容をかなり盛らないといけないんですよね。その辺がリメイクが進まない理由です。」とのこと。 ソーシャルゲーム『エンペラーズ サガ』にて本作のイベントが開催された。内容は「全23階層の塔を登り、最上階の『かみ』を倒す」という、本作に準じた内容であった。 続く2017年4月6日、ブラウザゲーム『インペリアル サガ』においても本作イベント『次元を貫く無限の塔!魔界塔士の冒険!』が開催された。本作より「にんげんおとこ」「にんげんおんな」が実装され、GB音源によるBGM、登場人物の口の悪さ、そしてボスキャラの衝撃の能力と演出など、原作を知る人ならニヤリとさせる要素が満載であった。 更に2020年9月より、佐賀30周年ということでソーシャルゲーム『ロマサガRS』において専用のイベントが2つ(ダンジョン攻略と制圧戦)も実装され、かみがプレイアブル化した。 なお説明文には「想定外の弱点を抱えている」と書かれている辺り、実によく分かっている。 2020年12月15日にNintendo Switchで『1』~『3』(更に日本版と海外版で計6本)のカップリングソフト『Sa・Ga COLLECTION』が発売。2021年9月22日にはiOS/Android、同年10月22日にはSteam(Windows)でも発売。 オリジナルのGB版を再現した移植となっている。開発はRacjinだが、サウンドの再生速度はそのままで倍速プレーできるなど、M2による『聖剣伝説コレクション』とはまた違った趣がある。 なお、同作に収録されている本作は「こうげき」の後期版準拠のため、大半のバグは修正されている。 他にも「原子力発電所」が「超科学発電所」、「ブルトニウム」が「ハデスニウム」になるなど表記がいくつか改変されている。 同じ原発関連の原子力マークはチェック漏れか特に問題ないと判断されたのかさだかではないが、そのままだったりする。
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AXシリーズリンク 発売年 タイトル 概要 判定 1982年 AX-1 アラビアン・ラプソディ パズルアクションの『アラビアン・ラプソディ』『プロックくずし』『サイモン』ゲーム『トロン』そっくりな『ハイスピード・バリケード』の4ゲームを収録。 1982年2月 AX-2 宇宙輸送船ノストロモ エイリアンをテーマにしたACT『宇宙輸送船ノストロモ』『スティールエイリアン』『デュアルエイリアン』『イン・ザ・ウッズ』の4ゲームを収録。 なし 1982年3月 AX-3 マイクロオセロ スロットとポーカーの融合『スロット・ポーカー』『マイクロオセロ』『インターファイト』インベーダー風STG『コズミックレボ』の4ゲームを収録。 1982年 AX-4 ブラックホール 平安京エイリアン風ACT『ブラックホール』『カーレース』『アメリカンフットボール』古典ゲーム『シャット・ザ・ボックス』の4ゲームを収録。 1982年 AX-5 オリオン/クエスト 3DSTG『オリオン』と、3D迷路『クエスト』の2ゲームを収録。良作揃いのゲーム集。 なし 1982年8月 AX-6 パワード・ナイト ロボットSTG『パワード・ナイト』『マスター・マインド』『ヘッド・オン』インベーダー風STG『スペース・エネミー』の4ゲームを収録。 なし 1983年4月 AX-7 ポリス ギャング ルナランダー風STG『ギャラクシーファイト』『ポリス&ギャング』『ザ・アストロディアン』スペースウォー風STG『ゴッド・ハリケーン』の4ゲームを収録。 1984年 AX-8 ギャラクシーミッション 重力をテーマにしたACT『ギャラクシーミッション』のみ収録。世界観説明のためのマニュアルが充実していた。 1985年 AX-9 3Dフライトシミュレータ 『3Dフライトシミュレータ』『ブルースカイ』『バウンダーロボ』の3ゲームを収録。 1985年 AX-10 アウトロー 本作だけデモプログラムがない。早撃ちSTG『アウトロー』『セブンバイブル』『ポップハンド』『ドンキーコングJR.』風ACT『りすにんぐ』の4ゲームを収録。価格も上がった。 シリーズ概要 PC-6001を対象とした、ゲーム集シリーズ。全10作。 ゲームの他にデモプログラムも収録されていた。 発売まもないPC-6001のローンチタイトルとなった。 PC-6001本体に『AX』シリーズをオマケに付ける販促キャンペーンがあり、『AX-1』が2万本、『AX-2』が1万本の発注がNECからあった。 当時としてはパッケージに手が込んでいるのも、本シリーズの特徴。 序盤のシリーズはBASIC言語で作製されており、グラフィックもあまり使われていない。 また、プログラムがマニュアルに記載されているため、プログラム教材としての意味合いもあった。 ただし『AX-4』よりゲーム集色が濃くなり、『AX-5』以降では純粋なゲーム集となる。 イラストレーター岩崎政志氏によるパッケージイラストも、見栄えのする出来。 ストーリーが充実しており、ゲーム内容に対しマニュアルのページ数が多かった。 パッケージがブックスタイルなのは、書籍扱いで販売していたため。 そのため書店のマイコン関連の書籍の本棚に置かれているケースもあった。 当時は珍しくなかったが、開発をほとんど個人に発注していた。 東大マイコンクラブから推薦されたメンバーで構成され、開発ルームとして南青山の借家が用意。食費もアスキー持ちで宅配弁当が食べ放題だった。 アスキーがMSXに注力することを決定したことにより『AX-10』でシリーズは終了した。
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海外作品の依頼タイトルはこちらへ。ソートはカテゴリ別に五十音順で。 タイトルと共にコメントなどで推薦理由も添えておくと良いと思います。 注 あくまで依頼用ページなのでここからのリンクはご遠慮ください。 wiki統合にかかる執筆依頼整理の下準備として、依頼の見出しに「希望分類」を併記する書式をテストしています。 クソゲー 海外「クソゲー」の執筆依頼は、ゲームカタログ執筆依頼へ移しました。 クソゲー扱いされやすいゲーム 海外「旧ガッカリゲー(廃止) / 黒歴史ゲー」の執筆依頼は、ゲームカタログ執筆依頼へ移しました。
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「判定不一致修正依頼」にて判定と記事内容の不一致が指摘されています。対応できる方はご協力をお願いします。 依頼内容は評価点(特にテニス部分)の拡充です。 マリオテニスGB 【まりおてにすじーびー】 ジャンル テニスRPG 対応機種 ゲームボーイカラー専用 発売元 任天堂 開発元 キャメロット 発売日 2000年11月1日 定価 3,800円(税別) プレイ人数 1~2人 レーティング CERO A (全年齢対象) 配信 バーチャルコンソール【3DS】2013年6月26日/617円(税込) 備考 マリオテニス64との連動要素あり 判定 良作 ポイント ファンには嬉しいアレンジBGMプレイヤーの腕が問われるキャラ育成長すぎる試合時間隠し装備の解禁条件と性能に難ありラスボスがマリオ(とピーチ) マリオシリーズ・関連作品リンク 概要 特徴 評価点 問題点 総評 続編 余談 概要 『マリオゴルフGB』とほぼ同様に『マリオテニス64』と対になる形で発売されたゲームボーイカラー専用ソフト。 テニスの名門校「ロイヤルテニスアカデミー」の宿舎に住み込み、シングルスでは一人で、ダブルスでは先輩かつ同僚のパートナーとともに校内の実力者相手に勝ち進み、ストーリー後半で開催される大会「アイランドオープン」での優勝を目指すというストーリー。 他にもプレイヤーキャラを含めた好きなキャラの組み合わせで試合を行うエキシビション、マリオキャラを使ったミニゲーム、テニス用語を収録した用語辞典などがある。 特徴 『マリオゴルフGB』と同様に育成の要素があり、主人公とパートナーは男子ペアと女子ペアの2組から選べる。また、真のエンディングを見た後は性別の異なるパートナーを選ぶこともできる。 主人公とパートナーは最初は弱いが、試合やトレーニング、エキシビション、64GBパックによる連動機能で持ち帰った経験値をためることで成長していく。 成長するパラメータは大きく分けて4つあり、レベルが1上がるごとに1項目のパラメータを成長させることができるが、代償として別のパラメータが下がってしまうことがある。 たとえレベルを99まで上げたとしても全てのパラメータを最大まで上げることはできず、どれかの能力を捨てて他の能力を極めるか、完全無欠とまでは行かずともバランス型に育てるかなどにより、プレイヤーの個性が表れてくる。 + パラメータの詳細 スピン 色のついたショットのスピンのかかり具合に関わるパラメータ。 トップスピン トップスピン(橙色のショット)のかかり具合が大きくなる。 スライススピン スライススピン(青色のショット)のかかり具合が大きくなる。 コントロール 狙った位置にボールを打つ能力に関わるパラメータ。 アングル ボールを打ち分けられる角度が広くなる。 プレース コートの隅を狙って打ちやすくなる。 パワー 文字通りショットの強さや球速に関わるパラメータ。 サーブ サーブの強さや球速が上がる。また、ストローク・ボレーを問わずあらゆるスマッシュの強さにも影響する。 ストローク ワンバウンドしたボールを打った時の強さや球速が上がる。ただし、スマッシュの強さには影響しない。 ボレー ノーバウンドのボールを打った時の強さや球速が上がる。ただし、スマッシュの強さには影響しない。 スピード コート内を移動する能力に関わるパラメータ。 スピード 移動する時の最高速度が上がる。 ダッシュ 最高速度に達するまでの加速が速くなる。 きびんさ 移動中に向きを変える時の切り返し(振り返り)が速くなる。 ブレーキ 移動状態から停止するまでの時間が短くなる。 パラメータとは別に装備品としてラケットとシューズを交換するシステムもある。装備品は基本的にストーリーの進行具合で順次解禁されていくが、中には特殊な条件を満たすと手に入る装備品もある。 + 装備品の詳細(一部装備の解禁条件はネタバレ防止のため白塗り) ラケット ノーマルラケット 初期装備。当然ステータスに変化はなし。 ラージラケット シングルスでシニアクラスになると手に入る。コントロールが良くなる代わりにサーブとストローク、スピンが弱くなる。 スモールラケット シングルスで選抜クラスになると手に入る。ラージラケットとほぼ正反対の性能で、コントロールが悪くなる代わりにサーブとストローク、スピンが強くなる。 鉄のラケット シングルスでレギュラーになると手に入る。パワーの全能力が下がるが獲得経験値が1.5倍になる特殊効果がある。鉄のシューズと組み合わせると2倍になる。 銀のラケット ボレーが大きく強化されコントロールも少し良くなるがサーブとストロークが弱くなる。入手条件は「 鉄のラケットを装備した状態でトレーニングコート北東の湖に行き、10秒間に100回以上素振り(Aボタン連打)をする 」 金のラケット サーブとストロークが強くなるがボレーとアングルが少し下がる。入手条件は「 鉄のラケットを装備した状態でトレーニングコート北東の湖に行き、10秒間に150回以上素振り(Aボタン連打)をする 」 ドライブラケット トップスピンがかなり強くなるがサーブとストロークが弱くなる。入手条件は「 シングルスで選抜クラスになった後にスピンのレベルがパワーのレベルを5以上上回る 」 このうち銀のラケットと金のラケットは片方しか入手できない。これが後述する問題点の一つとなっている。 シューズ ノーマルシューズ 初期装備。当然ステータスに変化はなし。 ライトシューズ シングルスで選抜クラスになると手に入る。スピードとダッシュが速くなるがきびんさとブレーキが低下する。 鉄のシューズ シングルスでレギュラーになると手に入る。下がる能力がスピードの全能力であること以外は鉄のラケットと同じ。 キャラクターは序盤はモブキャラの色違いの使い回しが目立つが、全国大会に相当するアイランドオープン以降の対戦相手はほとんどが固有のグラフィックを持つキャラとなり、当然能力や頭の良さも強くなっていく。 + ストーリーに登場するモブ以外のキャラの紹介 アカデミー代表選手 ケビン 選抜クラスランク1位にしてアカデミー最強クラスの選手。アイランドオープンでもシード枠として出場するが、残念ながら彼と試合する機会は一度もない。 エミリー 選抜クラスランク2位兼シニアクラスコーチ。ダブルスではケビンとペアを組んでいる。ケビン同様シード枠として出場するスピードタイプのキャラ。 マーク 選抜クラスランク3位のレギュラー選手。ダブルスではモブとペアを組んでおり、彼らを倒すことでダブルスでのレギュラーとなれる。アイランドオープンは展開上シングルスでしか出場しないが、シード枠に選ばれている。 ユニオン代表選手 ユウコ テクニックタイプのキャラ。ダブルスではヨシオとペアを組み、シングルス・ダブルスともに1回戦で戦うことになるアイランドオープン最初の壁。 ヨシオ オールラウンドタイプのキャラ。ダブルスでしか戦う機会はない。 エンパイア代表選手 スパイク アイランドオープン優勝の最有力候補とうたわれている、オールラウンドタイプのキャラ。自身がシード枠であるがゆえに天狗になっており、ノーシード選手を見下している。ドロップショットが変化球になる特殊能力を持っている。 エルダー 変わった形のサングラスをかけたスピードタイプのキャラ。シングルスでは戦う機会はないがダブルスではスパイクとのペアで戦うことになる。 エリス、エッジ エンパイア代表選手だが、どちらとも戦う機会は一度もない。実質モブである。 ファクトリー代表選手 コステロA ロブショットの球速が速い特殊能力を持つ、トリッキータイプのキャラ。ノーシードながら強豪選手を倒して勝ち上がっていくダークホース的ポジション。 コステロB コステロAの双子の弟であり、見た目通りのパワータイプのキャラ。ダブルスで兄とペアを組んで主人公ペアと戦うことになる。 フランク ファクトリー代表選手だが、エリス、エッジと同様に戦う機会は一度もない。グラフィックはエッジの色違い。 アイランドオープン開催まで進めてもマリオの「マ」の字すら出てこないが、優勝することでようやく伝説のテニスプレイヤーであるマリオ(ダブルス編ではピーチとのタッグ)と戦えるようになり、勝利することで物語は幕を閉じることとなる。 それでも物足りない人のために、マリオとピーチと再試合する際に「つよい」「さいきょう」「MAX」の3段階から強さを選べるというやり込み要素もある。ただし、あくまでやり込みで実績が残ったりはしない。 ストーリーモードの箸休めとしてトレーニングセンターでのトレーニングも用意されており、成績に応じて経験値が手に入るほか、モブからの評価も変わるのでやる価値はある。 テニスマシン マシンから発射されるボールを一定回数打ち返すトレーニング。レベルが上がるとマシンが動いたり変化球を発射してきたりする。 壁打ちテニス 壁に向かってボールを打ち返し、一定回数打ち返せばクリア。レベルが上がるとボールの反射方向が変わるパネルが登場し、いかにアウトにならずに打ち返せるかという判断力が求められる。 余談だが、レベル4をクリアするとモブから化け物とおののかれたり、続編で「レギュラークラスでもクリアするのは厳しいだろう」と言われるほどの難易度である。 マリオキャラを操作して遊ぶミニゲームは最初はルイージ・ベビィマリオ・ドンキーコングの3人しか遊べないが、マリオとピーチはストーリーモードで勝利、ヨッシー・ワリオ・ワルイージ・クッパの4人は『マリオテニス64』と一度でも連動することで解禁される。 キャラごとに個別のミニゲームが用意されており、下位のレベルをクリアすることで難易度の上がった上位のレベルが遊べるようになる。 レベルは1から3まであり、クッパ以外のレベル3ミニゲームはスコアアタックとなっている。 + マリオミニゲームと解説の一覧 初期状態でプレイ可能 ルイージの「シューティングスター」 テニスマシンから発射されるボールを打ち返し、相手側コートに浮かんでいるスターにボールを当てる。スマッシュで当てたり連続でスターに当てるとより多くの得点がもらえる。レシーブに失敗するとゲームオーバー。 ベビィマリオの「ターゲットショット」 テニスマシンから発射されるボールを指定されたエリアに狙って打ち返す。指定されたショットでエリアに落とせればより多くの得点がもらえる。指定されたエリアに落とせなかったらゲームオーバー。 ドンキーコングの「バナナまとあて」(初期) 壁打ちテニスと同じ要領で横に移動するバナナのパネルにボールを当てる。1本バナナは1点、3本バナナは3点。レベルが上がると壁にボールの反射方向が変化するパネルが設置される。アウトになるなどして壁打ちが途切れるとゲームオーバー。 ストーリーモードでマリオに勝利するとプレイ可能 マリオの「テレサショット」 ルイージとラリーをしてネットの上に浮かんでいるテレサにボールを当てる。連続でボールを当てるとより多くの得点がもらえるが、ルイージは一切手加減せず、ラリーが途切れるとゲームオーバー。 ピーチの「パーフェクトショット」 壁打ちテニスと同じ要領で壁に描かれた「!」パネルにボールを当てて21枚全てをスターパネルにするとクリア。レベルが上がるとボールの反射方向が変わる矢印パネルが反時計回りに動きながら妨害してくる。壁打ちが途切れるとゲームオーバー。 壁打ちだけでも通常のテニスと異なるラリーが求められるのにほぼ壁全面にパネルが張られ、しかもレベルが上がると妨害パネルまで現れるなど、マリオミニゲームの中でも格段に難易度の高いミニゲームである。 一度スターパネルになったパネルはレベル3のリセットを除いて「!」パネルに戻ることはないので、某ブロック崩しのようなセルフ賽の河原にはならないが、それでもアウトやレシーブ失敗のリスクを背負いながらプレイするのはかなり神経を使う。 しかもこのミニゲームのレベル3で記録更新達成が解禁条件のコートが64版にある。もしそのコートを自力で解禁できたなら自慢してもいいレベルである。 『マリオテニス64』との連動後にプレイ可能 ヨッシーの「フルーツまとあて」 要領はドンキーコングの「バナナまとあて」とほぼ同じで、バナナは1点、リンゴは3点、メロンは5点であることと目標スコアが高めな点、パネルが反時計回りに動く点などが異なる。 ワリオの「トレジャーボックス」 ワルイージが打ってくるボールを指定されたエリアに落とすか、コートに現れる宝物にボールを当てると得点がもらえる。得点はメダル1枚、メダル3枚、宝の袋、宝箱の順に高くなっている。連続で宝物にボールを当てるとより多くの得点がもらえる。エリア外にボールを落とすとゲームオーバーだが、宝物に当たった場合はセーフとなる。 ワルイージの「ライバルはルイージ」 ルイージが打ってくるボールを「L」マークに当てると得点がもらえる。スマッシュで当てたり一度のレシーブで多く当てると(最大6枚抜き)より多くの得点がもらえる。レシーブに失敗するとゲームオーバー。 クッパの「1たい2マッチ」 クッパを操作してワリオとワルイージのペアとダブルスのルールで文字通り「1人VS2人」で試合をする。ルールは6ゲームで1セット、レベル1は1セットマッチ、レベル2は3セットマッチ、レベル3は5セットマッチとなっている。 試合時間が長い仕様は相変わらずで、鈍足のクッパ単騎でハンデ戦と、こちらも難易度は高め。しかもこのミニゲームのレベル3をクリアすることが解禁条件のコートが64版にあるというのもなかなか嫌らしい。 一応ハンデ戦であること以外は普通のテニスなので最終的に勝てれば途中結果は問わないのが救いか。 評価点 ファンには嬉しい『マリオテニス64』のBGMのゲームボーイ音源アレンジ ゲームポイント・セットポイント・タイブレークといった緊迫した場面で『マリオテニス64』と同じ場面のBGMが流れる。 どれもゲームボーイの音源に合わせてアレンジされているが、雰囲気はほぼ同じと言って差し支えない。 しかし、BGMによるファンサービスはこれだけではない。アイランドオープンでの試合では『マリオテニス64』のトーナメント戦と同じBGMをアレンジしたものが流れるのである。 しかも3曲ともフレーズのカットは一切行われていない。問題点でも触れるが聴けるタイミングは限られているため、一度は試合を中断して聴き入ることをオススメする。 もちろん選抜クラスまでの試合BGMなどのオリジナルのBGMもあるが、そちらもなかなかの良曲である。 エキシビションでの隠しコートでの試合時には64版の隠しコートのBGMをアレンジしたBGMが流れる。こちらはマリオミニゲームの一部でも使われている。 残念なことに一部の試合BGMは聞けるタイミングが限られており、サウンドテストがないことが惜しまれている。 トレーニングコートでの練習がプレイヤーの腕前に直結する ジュニアクラス程度では基礎的なテクニックくらいしか教えてもらえないが、選抜クラスになる頃にはかなり高度なテクニックも教えてもらえる。 具体的にはサーブの際にスピンをかけてコートの外側に向かって曲がるように打つ、ドロップショットからボレーに繋げる、など。 これで役に立つのはやはり周回プレイや対人戦だろう。ジュニアクラスの選手ぐらいなら軽くひねれる。 64GBパックによる連動機能 育てたプレイヤーキャラが『マリオテニス64』で使え、本作では戦えないマリオキャラとも戦える。 それだけではなく、連動することによって双方で隠しキャラや隠しコートが解禁されるため、楽しみが増えてとてもお得である。 ちなみに育て上げたプレイヤーキャラの能力はある程度バランス調整されて64側に送られるため、プレイヤーキャラだけで無双することはできないが、それでも互角に戦えるだけの調整になっている。 逆に全く育てていない場合はまともな試合にならない。個人差にもよるがアイランドオープン開催まで進めたくらいで平凡程度である。 その他 64版と比較してナイスサーブが非常に打ちやすく設定されている。 トスの高さが一定以上であれば最高点でなくてもナイスサーブになる。序盤はナイスサーブをクロスに連発しているだけでサービスエースを量産できる。 問題点 後ろのベースラインで戦うストロークプレイよりネット際で戦うネットプレイが余りにも強すぎる 先にストーリーでの話しになるが、最下級のジュニアクラスからいきなり6ゲーム3セットマッチを要求してくる。『マリオテニス64』ではトーナメント決勝戦でも2ゲーム3セットマッチだった。 現実の女子シングルス世界大会でも6ゲーム3セットマッチで、1セットに30分~1時間はかかるとされ、上手いプレイヤー同士ならさらに長引き、4~5時間かかることもある。 しかも、シニアクラス以下の相手はパワータイプ以外のほぼ全員がサーブでフォルトを頻発するため余計に試合のテンポが悪い。 更にアイランドオープン以降は最長の6ゲーム5セットマッチ。現実世界のテレビ局を悩ませるほどの試合時間を携帯ゲーム機に要求されるのである。 試合に負けても経験値は手に入るものの、また長時間の試合をやり直す羽目になる。このため本来ならこの点は試合時間がやたらと長いという問題点として留まるところなのだが、本作はコートが横幅が狭くキャラが大きいという特徴がある。そのため、後ろに下がってベースライン上で戦うとシニアクラス以上ではストロークでほぼ点が取れなくなるのである。 そのため、ネット際まで近づいて戦い、左右に揺さぶった後、ドロップショットで急角度を付けて打つネットプレイ戦法が非常に強い。終盤のアイランドオープンどころかラスボスで戦うマリオ達にも有効。6ゲーム5セットマッチであっても目安で大体15分前後で終えられる優秀さのため、クリアを目指すならネットプレイ一択となる。 また、育成ではパワーの補正が低いため、パワー差があっても太刀打ちしやすい。コントロールやスピードを上げつつスピンを適度に上げるだけでも通用することや、コート等の仕様が絡み合ったことによる一因。 幸いにも途中セーブが可能。保存されるのは互いの取得セット数・ゲーム数のみで、再開時はセーブしたゲームのラブオール(0-0)からとなる。 ただし「セーブして中断」以外(本体の電池切れなど)で試合を中断してしまった場合はセーブデータが失われてしまうため、最初からやり直しになる。 なお、再開時に0-0に戻る仕様を利用して、相手にゲームやセットを取られそうな時にセーブ→再開で0-0から仕切り直すことも可能。 やはり長すぎたのか、続編の『アドバンス』ではストーリーモード中は最長で2ゲーム5セットマッチまでとなっている。その代わり別のベクトルで新たな問題が出てきたが、詳細は当該ページで。 同時に育成の仕様を把握しないと痛い目を見る強化方法 育成ではスピード以外の能力に掛かる補正が低く、特にパラメーターのパワーとスピンは緩いためゲームボーイ版で遊ぶならスピード、コントロールを軸に上げていき、スピンを上げていくだけでも戦えるのだが、64版と連動させて64版で戦わせる場合、能力値がはっきりと現れるためにゲームボーイ版の育成方法では全く通用しない問題点が浮かぶ。スピンが低ければボールが飛びすぎてアウトになり、パワーが低ければ競り合いに弱くなるばかりかスマッシュが死に技と化し、コントロールが低いとボールに角度をつけて打てず、スピードが低ければ非常にノロマになると、どれも致命的なものになる。64版に移行して育成したキャラを使う時はこの補正の違いに気を付けて行う必要がある。 選抜クラスのあっけなさ 選抜クラスはランク4位のモブ(ダブルスは2位のモブとマーク選手のペア)に勝っただけでレギュラー入り、ランク上げする間もなくアイランドオープン開催、とやたら短い。 そしてアイランドオープンが終わればいつの間にかランク1位になっている。ケビン選手との絡みがそこそこあっただけに彼と戦えないのは残念である。 続編の『アドバンス』ではしっかりレギュラー(=選抜クラス1位)になってからアイランドオープンに臨めるが、ケビン選手はコーチ専門となっており結局戦えない。 一部隠し装備の入手条件と性能 ドライブラケットと銀のラケット・金のラケットは性能・入手条件共に微妙である。 ラケット全入手によるコンプリート特典などは無く、これらが無くてもクリアは十分に可能なのが救いか。 + ドライブラケットについて。ネタバレ注意 ドライブラケットの入手条件は「シングルスで選抜クラスになってからスピンのレベルがパワーのレベルを5以上上回る」なのだが、この条件は全くのノーヒントである。 そもそもスピンのパラメータ自体上げても実感がわきにくく、パワーより強化するべき、というほどのパラメータでもない。 また、レベルの高さとパラメータの割り振り次第では入手が不可能になる。 肝心のラケットの性能はトップスピンだけが上がってサーブとストロークが下がる仕様。 せめてスライススピンも上がれば価値はあったかもしれないが、これだけではちぐはぐな性能と言わざるを得ない。 + 銀のラケット・金のラケットについて。ネタバレ注意 銀のラケットは「10秒間に100回以上Aボタンを連打できれば入手」とまだ簡単な方なのだが、金のラケットは10秒間に150回以上(=秒間15連射以上)もAボタンを連打しないといけない。1回でも足りなければ銀のラケットを渡されてイベント終了…と無慈悲である。 かの有名な高橋名人ですら全盛期で秒間16連射できるかできないかと考えると、いかに困難かよくわかるだろう。 実はBボタンとの同時連打で連打数を底上げできるため、どうしても金のラケットがほしい場合は試してみるのもよいだろう。 「苦労して入手したからには余程高性能なのだろう」と思いきや、総合的な補正は他のラケットより突出しているわけでもない。 パラメータ・装備品関連 スピン・パワー・コントロール・スピードの下位にある11種類のパラメータを個別に育てることができない。 ストロークを犠牲にボレーを強化するといった育成は困難。装備品により若干のフォローは可能だが、種類も少ないので限度はある。 きびんさ・ブレーキを改善するシューズが存在しない。 特にきびんさはある程度高くないとハイレベルの相手に勝つことは難しい。 素で伸ばそうにも、アレックス・ニーナともにスピードやダッシュと比べてこの2つは伸びが悪い。ライトシューズの正反対の性能のシューズがあればよかったのだが。 アレックス・ニーナともにリーチは短めだが、パラメータや装備品で伸ばすことができない。 パートナーのハリーとケイトは長身のためリーチが長いが、その一方で装備品を使用できない。 その他 エキシビションでCPUにオリジナルキャラを選ぶと強さを選択できない。「さいきょう」に当たる強さで固定。 また、モブキャラは色違いで登場するうちの1種類しか選べない。 ジュニアクラスとシニアクラスのチャンプ(ランク1位)は勝つと二度と会うことができなくなる。喧嘩別れしたわけではないにもかかわらずである。 総評 『マリオテニス64』の操作感覚はほぼそのままに、育成要素を加えて遊ぶ楽しみと育てる楽しみを両立しておりテニスゲームとしては十分な出来栄え。 BGMもストーリーの展開に合わせて盛り上げてくれること間違いなしだが、一試合にかかる時間が結構長くなるのが玉に瑕。遊ぶ際は本体の電池残量にご注意を。 続編 続編として『マリオテニスGC』、時系列上の続編として『マリオテニスアドバンス』が発売されている。 後者はこの作品で操作できるキャラがコーチ等としては登場するものの、プレイヤーが操作できないのが残念である。 余談 実はケビン選手のデータは没データとして残っている。 シングルスとダブルスの進行状況は独立しているので、シングルスでアイランドオープン開催中の間にダブルスに切り替えたりすると、アイランドオープンに出場中の選手とアカデミーで試合をするといったシュールな状況になったりする。 『マリオテニス64』に育てたキャラのデータを送って使えるという連動要素の兼ね合いもあってか、チート対策がかなり厳重に施されており、不正なデータを認識するとファイルごと消されるというペナルティが仕込まれている。 バーチャルコンソール版は他の一般的なVCと同様に、通信機能や『マリオテニス64』との連動要素が削除されている。 3DS本体の電池の持ちが3~6時間程度なので、試合中は不測の事態に備えて「まるごと保存」機能で定期的に保存しておくか、それを良しとしない場合は充電しながらのプレイをお勧めする。 2024年3月12日に『ゲームボーイ Nintendo Switch Online』で配信された。
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このページはVer.1.2.0(2020年3月5日更新)を基準にしています。 オンライン配信によるゲーム内容更新が行われているため、必ずしも本記事の内容が最新の内容に対応しているとは限りません。アップデートによる評価等の追記は1ヶ月経過してからお願いします。 ダライアス コズミックコレクション 【だらいあす こずみっくこれくしょん】 ジャンル シューティング (Switch・通常版) 対応機種 Nintendo SwitchPlayStation 4 発売元 タイトー 開発元 M2 発売日 2019年2月28日(特装版/通常パッケージ版)2019年9月5日(通常DL版/CE版) 発売日 2019年2月28日(Switch・特装版/通常パッケージ版)2019年9月5日(Switch・通常DL版/CE版)2020年3月5日(PS4版・AE版/CE版) 価格(税抜) 5,200円(Switch・通常版)16,800円(Switch・特装版)5,200円(PS4・AE版/DL専売)6,500円(Switch/PS4・CE版/DL専売) プレイ人数 1~2人 レーティング CERO A 判定(パッケージ版ver1.0.0) なし 判定(ver1.1.0以降) 良作 改善 ポイント 2Dダライアスの完全移植アーカイブス全体的にファンサービス強めのラインナップ初期verは『外伝』に問題点が散見されたが、アプデでほぼ解消『スーパーダライアス』『ダライアスII(3画面版)』は収録されず ダライアスシリーズ 概要 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 概要 長年タイトーの顔であったダライアスシリーズ。初代やIIのように多画面筐体であること自体が移植難であったり、外伝のように移植しても何かと問題点のある移植であったが、2Dダライアスをまとめるという名目でついに完全移植への挑戦が行われた。 Gダライアスとダライアスバーストシリーズはポリゴンを利用した2.5Dダライアスという事で、今回の収録対象からは外れている。 略称はダライアスCCが使われている。 今回移植対象になったのは以下の通り。 ダライアス(OLD・New・Extra) ダライアスII SAGAIA(ver1・ver2) ダライアス外伝 特装版、DL版のコンシューマーエディション(CE)版の追加ソフトは以下の通り。 ダライアスツイン(SFC) ダライアスツイン(SNES) ダライアスフォース(SFC) SAGAIA(SMS) ダライアスII(MD) ダライアスアルファ(PCE) 2020年3月5日のVer.1.2.0へのアップデートおよびPS4版での特装版、DL版のコンシューマーエディション(CE)版への追加ソフトは以下の通り。 SAGAIA(GENESIS)(*1) SUPER NOVA(SNES)(*2) ダライアスプラス(PCE) これに加え、アマゾンプライムデー限定版にはゲームボーイ版『サーガイア』のダウンロードコードが付属していた。こちらはダライアスCCのDLCではなく、単品のダウンロード版という扱いとなっており、ダライアスCCのROMをSwitch本体に入れていなくとも起動可能。 開発はシリーズのアーカイブということで「発掘された資料やインタビュー記事を載せた本を付けたい」ということで特装版から開発が始まり、当時の客層はROMを求めている人が多い事からROM版のみの発売が決定した。その後特装版だけでは値段がかかりすぎる事や、ACだけプレイしていた人は家庭用部分は要らないと思う人がいるという判断で、ACのみの通常版が制作された。後にダウンロード版が欲しいという声や、通常版を買ったけど特装版の部分が欲しいという声に応え、通常版とCE版に分ける形でダウンロード販売が行われている。 評価点 移植のクオリティ M2のお家芸である『SEGA AGESシリーズ』や『M2 Shot Triggersシリーズ』で使われている「自作エミュレーターを用いて、可能な限りオリジナルのプログラムを走らせる」移植により、今までより違和感の少ない移植を実現している。 アーケード版3本については一からエミュレーターを制作。SFCの2タイトル(とGB版サーガイア)については『聖剣伝説コレクション』や『ロックマンX アニバーサリー コレクション』。SMSとMDは『SEGA AGESシリーズ』での開発実績が生かされている。 微妙なフレームレートの違いを吸収するため、特定のフレームで「前のフレームと同じフレームを出力」して、ゲームスピードを合わせ込むという事も行っている(*3)。 『M2 Shot Triggers』シリーズの「M2ガジェット」に類似の画面表示が多数実装されている。特に残りアーム枚数や銀アイテムのスコア合計値を表示する機能は歓迎をもって迎えられた。オプション画面等のUIも、既に同シリーズで実績のあるUIを使用しているため、自社パブではないので名乗っていないだけの姉妹作とも言える(*4)。もちろんアーケードと同様の環境で遊びたいプレイヤー向けにガジェット表示をOFFにすることも可能。 『ダライアス』のアーム枚数に25枚の制限が存在するという事実は本作の発売によって32年越しに明らかになったことである。 ver.1.2.0でボスおよびパーツの耐久力(*5)やヤズカ出現および撃ち返しの発生・ボスの強制形態変化や自爆までの残り時間、内部ランクの表示が追加され、より突き詰めた攻略がやりやすくなった。『外伝』では一部の中ボスが持つ特殊攻撃のコマンドも表示される。また、ガジェット表示とは異なるがポーズ画面にゾーン分岐一覧およびゾーン別のアイテム数一覧が表示されるようになっている。難易度によってアイテム数が変わる作品でもちゃんと反映される。 『SAGAIA(AC)』の移植 今回IIに合わせて初移植が実現。IIとは異なる海外版があるというのは知られていたが、ROMが2種類あるというのは知られておらず、ver2の方はゲーム内の説明でも「市場にはほとんど出回っていない」と断言される程。 ちなみに基板自体はダライアスIIと共通で、ROMの差し替えによって変更されているというのが今回の解析によって明らかになっている。 共通点として、ステージ分岐が2ステージごとに行われ7ステージ制・全16ゾーン・最終面4種となっている。ボスの配置も変更されており、特筆すべきはキラーヒジアが単独ボスとなりラスボスに昇格していること。これに伴い最終面4種は全て固有のボスが配置されるようになった。 ver.1はオリジナル版のステージを配置を入れ替えて流用しつつステージを短め(*6)・ボスの耐久を低めに・雑魚の攻撃を激しく、といった形に再調整したバージョン。ボスはそこまで弄られていないが、一部のボスで行動のインターバルが短めに調整されたほか、ラスボスに昇格したキラーヒジアは大幅に攻撃が強化されている。Aゾーンのボスがスティールスピンとなり、代わりにハイパースティングがリストラされている。ちなみに、このバージョンではどうやっても全装備を最強にする事が不可能となっている。(*7) 一方、実質今作にて初公開となったver.2はほぼ全ての面の構成が完全新規となり、既存のボスも見た目こそ同じながら行動パターンが大きく変化しているものが存在するなどほぼ別ゲーと言っていい仕上がりであり、大いにプレイヤーを驚かせた。Aゾーンのボスはハイパースティングに戻り、入れ替わるようにスティールスピンが居なくなっている。 「HD振動」対応(ver1.1.0にて実装) 『ダライアス』『ダライアスII』『SAGAIA(AC)』でJoy-ConおよびProコントローラーに搭載されているHD振動機能を利用して実機でのボディソニック振動を再現している。 いずれも現在ではアーケード版純正筐体は極めて僅少(*8)。形こそ違えどアーケード実機の要素を体感可能になったのは評価点として挙げられるだろう。 フルエミュレーションによって実現された便利機能 エミュレーターというのを活かし、ボム、ショット、ボム+ショットのボタンを5連から30連の間(*9)で可変シンクロ連射として設定可能。アプデにより『外伝』に「通常30連」に加え「表30連、裏30連」というスコアラー以外は気にしない連射設定(*10)が追加されているほど。 連射設定としてはいささか遅い5連は、連射速度よりショットを途切れさせないことが重要な『ダライアス』で遅い連射が欲しい、という開発陣の要望により実装されたものである。 ver.1.2.0にてさり気なく「コンティニューのカウントダウン中やネームエントリー時には連射が自動でOFFになる」という細かい変更が入っている。 他にもクイックセーブ/ロードで特定の部分だけ練習したり、DL可能なリプレイで上級者のプレイの研究等、フルエミュレーションが生かされている。 ver.1.2.0にてユーザーの要望が多かったトレーニングモードが追加され、より手軽に練習が可能になっただけでなく、パワーアップ状態や内部ランクを自由に設定可能となっており、通常のプレイでは不可能な「フルパワー状態で序盤のボスをフルボッコする」「反対に内部ランクが上限の状態の序盤に挑む」などのお遊びも可能となっている。また、発売時点ではタイトルごとに6個ずつだったクイックセーブが12個に拡張されている。 ver.1.2.0ではその他にもダウンロードした他プレイヤーのリプレイの途中から自分が介入するという事も可能となっている。 優れたオンラインランキング機能 発売時点で「難易度・残機などの基本設定がデフォルトかつノーコンティニュー」の場合の「ARCADE」、「デフォルト以外の設定かコンティニュー使用」の場合の「ALL-MIX」の両方のランキングが用意された。 更にver.1.1.0にてランキングがゾーン別に行われるように変更。『ダライアス』の被りゾーンである上Z・下Vも別ゾーン扱いで集計されており、より各ゾーンでのスコアアタックに熱中出来るように改善された。全ゾーン統一ランキングも引き続き存在している。 これ、および一部の不具合修正に伴いアプデ前のランキングはリセットされてしまったが、リセット直前のランキングについてはタイトーゲーム公式Twitterの投稿にて閲覧できる。 ver.1.2.0にてARCADEランキングに最終ゾーンクリア限定の部門が追加された。(*11) 『ダライアスアルファ』の移植 抽選で特定の購入者に配布され、現在の落札価格が3万円以上、当選者への手紙まで付いた完品であれば30万以上の値が付くほどのプレミア価格を誇る幻のバージョンが29年越しの移植を果たした。 気軽にボスとの練習が出来るのは大きい。 タイトー社内にもROMは保存されておらず、たまたま入荷していた中古ショップ「Beep」から貸し出しを受けて制作された。同様にSMS版SAGAIAも、M2側がアメリカで買ってきた私物が使われている。 ver.1.2.0にて進行状況表示のガジェットが追加された他、オンラインランキングに対応となり、通常モード・4分モードの他に新たに追加された残機無制限で全16体撃破までの時間を競うタイムアタックモードが対象となっている。 同じくver.1.2.0にてベース作である『ダライアスプラス』が追加収録された。 スーパーグラフィックスでの動作を再現したモードのON/OFFが切り替え可能となっている。 賛否両論点 基本的にすべて生移植という点。 AC作品でのボスラッシュモードやアレンジモードの類は一切収録されていない。新規ゲームモードは前述の通りAC作品のトレーニングモードや『アルファ』の全ボスタイムアタックが発売から1年経ってから追加された程度。 AC作品はいずれもCE作品と比べて難易度は高い。『外伝』は癖のあるゲームバランスを理解する必要がある、『II(SAGAIA含む)』に至っては当wikiで不安定判定であるほどの異常な高難度作品のため、当時を知らない・知っていても手が出なかったプレイヤーにはかなり厳しい。難易度設定はあるが、焼け石に水である。 AC3作に比べ、CE版の移植がベタ過ぎる。 AC版にはガジェットが追加されているのに対し、CE版は基本的に移植しただけでSFC版2作の隠しコマンドが生移植では入力が困難なために変更されたり(*12)、発売から1年経ったver.1.2.0にて前述の『アルファ』の進行状況表示や各作品のボスラッシュモードのオンラインランキングが追加された程度。 そのオンラインランキングも一部作品での永久パターン対策すら取られていない。 問題点 『ダライアスII』3画面verの未収録 基板が『ダライアス』とも『ダライアスII』とも異なり、『ニンジャウォーリアーズ』の物をベースにしている事が解析初期に発覚。解析の時間が取れないために早々と未収録が決定した。 一応M2側としては「時間があれば対応したい」と発言はしているが、SEGAAGESのインタビューで毎回のように修羅場になっている現状を見るになかなか難しいとは思われる。 リプレイの早送りが異常に遅い。 これについてはM2開発の他社作品にもある問題ではあるのだが。サウンドの再生状態までの再現や巻き戻し機能といったものの処理が高度なものである為と見られる。 + ver1.1.0アップデート(2019年9月5日実施)で解消済みの問題点 初期verは『外伝』に移植ミスが散見された 開発元が「解析が一番難しかった」と語るほどであり、実際基板で処理落ちしない場面でも処理落ちが多発したり、一部演出が移植されていないなど移植ミスが散見されていた。 『外伝』は完全な移植に恵まれない作品故に期待していたプレイヤーも多く、発売直後はかなり物議を醸したが、発売後まもなく「アップデートで対処予定」であることが発表された。 ver1.1.0にて最初のソースコードを破棄し、エミュレーションエンジンをほぼ作り直したというあまり例を見ないアップデートで解消された。これにより、ようやく名実ともに『ダライアス外伝』初の完全移植となったと言えるだろう。小手先の修正で済ませなかったために、ほぼ半年待たされる事にはなったが…。 『ダライアス』でボスの特定パーツに攻撃が弾かれてダメージが通らなかったときの音が鳴らない不具合があった。 『ダライアスII』に特定状況下でコンティニューすることで強制リセットが掛かり、異常なスコアが記録される基板由来のバグがあった。 コンティニューが必須な関係上影響は「ALL-MIX」ランキングのみに留まったが、上位には5,000万点超えという通常プレイでは絶対に不可能なスコアが並んでいた。この不具合がアプデ時にランキングリセットを行うことになった理由の1つであると明言されている。 + ver1.2.0アップデート(2020年3月5日実施)で解消済みの問題点 キー設定 Joy-Conおすそ分けプレイに配慮してか、キー設定はABXY+LRの6ボタンまでしか対応していなかった。ZRとZLはオプション呼び出しボタンで固定されていたが、本アップデートでZRかZLどちらかに機能を振ることが可能になった。 PCEからの移植が『ダライアスアルファ』のみだったこと PCEのエミュレーションエンジンがPCE単体(*13)のエミュレーションにしか対応していなかったことでスーパーとIIがまず対象外になり、プラスとアルファの二択に。 当時はセーブ領域の関係でどちらか片方のみしか収録出来ないという制約が生じたため、貴重品ということでアルファが選択された。 そもそもダライアスCCの開発が始まった段階のPCEエミュレーターは「なんとなくそういう仕事があるだろう」的なノリで、趣味的に試作していた段階だったというから驚きである。 総評 小さな問題こそ存在するが、現代でも愛される横STGシリーズの名作『ダライアス』をほぼ完璧な形で移植したという事実は称賛に値する。 特に既に一桁まで稼働店舗が落ち込んでいる『ダライアス』、2画面版も3画面版もそれぞれ2店舗しか稼働していない『ダライアスII』(しかも本作収録の2画面版では、片方の店舗では非純正筐体稼働。)、そして日本での稼働が無い『SAGAIA』は実機でプレイするのが極めて難しいのもあり、本作で当時の興奮を体験できることだろう。 発売後のアフターサービスも非常に充実しており、発売から1年を経てほぼ完全形と言って差し支えない完成度となった。 『ダライアス』初期シリーズを語るにあたっては外せない一本となったと言えよう。 余談 タイトーは2010年をもってスクウェア・エニックスに吸収される形で家庭用ゲーム事業から撤退していたが、本作をもって実に9年越しとなる家庭用ゲーム事業への再参入を果たした。 家庭用部門撤退~再参入までの間のタイトルはスクウェア・エニックスの発売か、他企業がパブリッシングを担当する形で発売が実現していた。ダライアスシリーズにおいては『ダライアスバースト クロニクルセイバーズ』が他企業のパブリッシングにより発売にこぎ着けたことで知られる。 家庭用再参入タイトルということもあり納期が非常に厳しかったことが明らかにされており(参考)、上記の通り初期verの問題点にところどころ表面化してしまっていた。発売後の充実したアフターサービスはこの裏返しと言うことでもあるのだろう。 現在タイトーの開発部門はプロデューサーなどの管理職とサウンドチーム「ZUNTATA」しかいない状態であり、本作の開発はM2が中心となって進められた。とはいえ断じて投げっぱなしではなく、両社の熱意の結晶というべきものに仕上がっている。 2019年12月のM2 Shot Triggers弩感謝祭にて、PS4への移植が発表された。通常版がAE(アーケードエディション)と、CE版に合わせた名前にされた。 この時に新規タイトルとして『ダライアスプラス』、リージョン違い版として『ダライアスフォース』の海外版である『SUPER NOVA』と海外GENESIS版『ダライアスII』である『SAGAIA』の収録が発表された。今回も『スーパーダライアス』は収録されなかったが、仮にスーパーを移植しようとすると、CD-ROM2対応のために外伝に引き続きのエミュレーターフルアップデートが必要になってしまい、同時にαとプラスの再検証まで入ってしまうので工数的に難しくなってしまうのは想像に難くない(*14)。 更に併せてSwitch向けにこの3タイトルをver1.2.0へのアップデートで収録することまで発表された。有料DLCや別ソフトにまとめるのではなく、アップデートで済ませてしまう辺り商売っ気を感じさせない大盤振る舞いである。 これに加えAC版各タイトルにトレーニングモードが追加、ガジェット表示関連も大幅に増強された。 つまり基本的に両機種は同一内容となる予定であるが、トロフィへの対応有無と、リプレイの最大保存個数が異なり、Switch版はPS4版より保存数が少なくなる。これは前述のセーブデータ領域の問題によるものと思われる。 更に通常版/AEのPC(Steam)移植版である『ダライアス コズミックコレクション アーケード』が2021年11月18日に発売された。 Steam版独自機能としてマルチディスプレイと疑似ボディソニックとなるサブウーファー対応が追加され、よりアーケード版実機筐体に近い環境でプレイすることが可能に。ウルトラワイドモニターやスケーリングも対応している。画面一つずつ個別に反転する機能があるため、4 3モニター3台とハーフミラーを2枚用意すると初代筐体の再現が可能。同様にスケーリングと反転を組み合わせ、ダライアスバーストアナザークロニクルの筐体に普通のPCを接続、モニター周りはDBACの物を使用するという形でダライアスII2画面筐体の再現も可能。そもそもDBAC筐体の入手の難易度が高いという弱点はあるが。 本作の販売方法はかなり物議を醸した。 まずDL版の販売遅れや、DL版も分売方式で両方買ったときの割高感が挙げられる。DL版が発売されないことが発表されたのは発売の直前であり(2019年2月28日公開の任天堂公式のトピックス記事で初めて知った人も多かった様子)、DL販売も一般的となった昨今の情勢でDL版を用意しない理由が全く不明であったことからかなり物議を醸した。後述のサーガイア(GB)がDL配信であることからもDL版は存在するだろうという予想は多く、まさかのパッケージ版限定であったことや後述の発送遅延騒動で発売前後は界隈がかなり荒れることとなった。 問い合わせにてDL版の販売予定が無い旨は回答されていたが、これを筆頭に「聞かれなければ答えない」というパブリッシャーとしての姿勢も問題視された。 更なる問題はGB版『サーガイア』をアマゾンプライムデー限定としたことだろう。アマプラ限定だけで完全版が手に入ればまだ許容範囲だったと思われるが、各ストアごとに限定特典の内容が違ったため、全てを入手するには4箇所で特装版を買う必要があった。 通常版は各ゲームショップや家電量販店でも販売されたが、特装版に関してはこれらストアのみの販売となった。これについても公式サイト上での告知は一切されなかった。 プライムデー自体が(30日無料体験があるとは言え)アマゾン有料会員限定であったこともそうだが、この時点でゲーム内容に関する詳細は収録タイトルと特典以外全く公開されておらず、その状況下で僅か2日間のプライムデーに購入を迫るのは非難されて然るべき展開であった。 また、このプライムデー限定版以外にアマゾンに卸した物についてはかなりの混乱が発生し、人によっては1ヶ月以上の発送遅延が発生した(*15)。プライムデー限定版ではなく、普通の特装版に『サーガイア』のDLコードが付いてきたという報告もある。 納期の件のようにタイトーのパブリッシング復帰作として実績が求められたであろう事情や、このご時世に(移植とはいえ)大規模な2DSTGを発売する為なら仕方がないと理解を示す者もいる反面、ユーザーを馬鹿にしている、金づる扱いしていると不信感を表す人も少なくなかった。 以上、当wikiのルールに則り「問題点」ではなく「余談」として記したが、一般には本作最大の問題点として広く認知されており、本作の評判に大きな疵をつける結果となってしまった。逆に言えば、本作を激しく非難する声があったとしても、それはほとんどの場合はこの商法に対する批判・嫌悪から来るものであり、本作の内容がクソゲーであることを意味しないことをご理解いただきたい。 現在は上述のように発売後のアフターサービスが非常に充実していたことから作品自体についての批判は概ね沈静化しているが、後に発表されたタイトー販売作品でも以下のようにAmazon限定のダウンロードソフトを特典として付属させたゲームを多数販売しており、その度に批判を浴びている。 販売時期 タイトル 限定ダウンロードソフト 備考 2018年プライムデー ダライアス コズミックコレクション サーガイア 通常版と特装版で収録ソフトが異なる 2019年プライムデー スペースインベーダー インヴィンシブルコレクション スペースインベーダー90 2019年サイバーマンデー バブルボブル 4 フレンズ ファイナルバブルボブル 2020年プライムデー ダライアス コズミックリベレーション ダライアス EXTRA Ver.※メガドライブミニ収録版『ダライアス』を調整した作品 2021年プライムデー タイトーマイルストーン なし(プライムデー限定スペシャルCD付属版が販売された) 2022年プライムデー レイズ アーケード クロノロジー R-GEAR※1面のみ実装された発売中止タイトル 2023年プライムデー タイトーLDゲームコレクション 宇宙戦艦ヤマト アーケードゲームエディション※『LDゲームコレクション』収録の『宇宙戦艦ヤマト HDリマスター』とは異なる 特装版限定特典ソフトとして『タイトーLDゲームコレクション サウンドアプリ』『タイムギャル リバース』のDLコード付属 なお、GB版サーガイアについては本編DL版配信後も長らくアフターケアは行われなかったが、2022年10月6日に一般販売された。 『SDガンダム Gジェネレーション GENESIS』の特典『スーパーガチャポンワールド SDガンダムX』や『SAMURAI SPIRITS (2019)』の特典『サムライスピリッツ!2』のように、ゲームの購入特典として配信された非売品ソフトがその後一般販売される例は少なくはないが、いずれも「後日一般販売される可能性がある」という旨の注意書きがされている(参照:SDガンダムXについて4gamerの記事、サムスピについてファミ通の記事)。一方で本作の場合はそのような注意書きはネット記事や販売ページ、ダウンロードコード記載の紙にも一切されておらず(参考画像)、限定商品であるかのように誤認させる景品表示法違反にあたるのではないかという指摘もされている。 2023年10月5日には『ダライアス コズミックリベレーション』のAmazonプライムデー限定特典であったメガドライブ版『ダライアス EXTRA Ver.』が、2024年6月13日には『スペースインベーダー インヴィンシブルコレクション』のAmazonプライムデー限定特典であったメガドライブ版『スペースインベーダー90』が一般販売されたが、いずれもゲームボーイ版『サーガイア』同様後日一般販売される可能性を表記していない。 その後タイトーは『パズルボブル エブリバブル!』の早期購入特典で、スーパーファミコン版『パズルボブル』とSNES版『Bust a move』が限定ダウンロードソフトとして付属することを発表した。こちらはAmazonプライムデー限定ではなく通常の早期購入特典であり、今後一般販売する可能性も表記しているが、これまでの販売方法もあってユーザーからの歓迎する声は少ない。 また、海外で発売された『ダライアス コズミックリベレーション』のパッケージ版は、国内版でも収録されている『Gダライアス』『ダライアスバースト アナザークロニクルEX+』に加えてゲームボーイ版サーガイアも収録された。 既にハムスターの『アーケードアーカイブス』にて展開されていた作品を敢えて別展開としたことで、そちらとの比較で厳しい評を下されることもあった。 あちらがモニターの継ぎ目や色合いの個別設定、5.1chサラウンドへの対応など筐体環境の再現が充実していたのに対し、本作はM2ガジェットの都合でインストラクションカードの位置が画面左に寄っていたり、モニター設定もランダム選出のみになるなど、環境再現では遠く及ばないものとなってしまっている。 Switchにおけるダライアス初移植であった事から風当たりも強かった。特に同年7月にダライアスの筐体を使用した作品『ニンジャウォーリアーズ』のSwitchアケアカ版が配信され、こちらもPS4と変わらぬ環境オプションやHDではないものの振動によるボディソニック再現を成し遂げた事も痛手になった。 無論納期の問題による所が大きいのだが、ノウハウがあるとは言えM2ガジェットへの力の入れようから「情報過多」「ゲームを攻略する事の方が優先されてしまっている」と、両者の方向性の違いが露呈してしまった。ただし、アーケードアーカイブス版は単純に60fps駆動なのでゲームスピードが違って厳密な練習が出来ないという問題があり、単純な移植度は本作の方が高い。 本作の発売記念として、2019年1月11日~2月28日に、タイトーステーション溝の口店併設のゲームバー『MEGARAGE』にて、シリーズ全作が一堂に会するというイベントが行われた。設置内容は『ダライアス』『ダライアスII(3画面)』『SAGAIA(途中ver1→2入れ替え)』『ダライアス外伝』『Gダライアス』『ダライアスバーストアナザークロニクルEX』で、本作収録以外のタイトルもプレイ可能になっていた。 PS4版配信開始日 Switch版ver1.2.0アップデート実施日に本作の続編『ダライアス コズミックリベレーション』(*16)の開発開始が発表された。対応ハードはSwitchとPS4。 発売予定日は当初は「今冬」だったが、後に2021年2月25日に決定。 「3Dのダライアス2作を軸にする」というコンセプトで『GダライアスHD』と『ダライアスバースト アナザークロニクルEX+』が収録されている。(*17)
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/2356.html
仮面ライダー クライマックスヒーローズW 【かめんらいだー くらいまっくすひーろーずだぶる】 ジャンル ヒーローアクション 対応機種 Wii 発売元 バンダイナムコゲームス 開発元 エイティング 発売日 2009年12月3日 定価 5,980円(税別) プレイ人数 1~2人 レーティング CERO A(全年齢対象) 判定 なし ポイント クソゲーすれすれの出来ガッカリの上塗り新キャラがやっつけ変わり映えしない続投組難易度が地獄新要素あるのに劣化移植な気分 仮面ライダー対戦格闘シリーズリンク 概要 登場キャラクター 改善点 問題点 キャラクター関係 ゲームモード 総評 余談 俺たちは / 僕たちは、二人で一人の仮面ライダーさ 概要 同年8月に発売されたPS2用ソフト『仮面ライダー クライマックスヒーローズ』の次作(実質的な移植版)で、新モードと新キャラクターを追加したもの。 ただし、当時の現行ライダーであった仮面ライダーWをメインにしているため前作に存在したストーリーモードの「ディケイドモード」は削除された。 前作はキャラとフォームが数・選定基準共にファンの首を傾げさせるものであり、キャラゲーとしても格闘ゲームとしても中途半端な出来であったため、「完全版」となることを期待されたのだが…。 登場キャラクター 前作の対戦モードで使用できたキャラは全員続投しており、前作に登場はしていたが、対戦では使えなかった面々もプレイアブル化している。太文字はオリジナルキャスト、 赤文字 は今作が初登場のキャラクター。 登場作品 キャラクター 登場形態 仮面ライダークウガ 仮面ライダークウガ マイティ・ドラゴン・ペガサス・タイタン・アメイジングマイティ 仮面ライダーアギト 仮面ライダーアギト グランド・トリニティ・バーニング 仮面ライダーG3-X 仮面ライダー龍騎 仮面ライダー龍騎 通常形態・サバイブ 仮面ライダー王蛇(*1) ゲルニュート EPISODE FINAL 仮面ライダーリュウガ 仮面ライダー555 仮面ライダーファイズ 通常形態・アクセル 仮面ライダーカイザ オートバジン バトルモードのみ 仮面ライダー剣 仮面ライダーブレイド 通常形態・キング 仮面ライダー響鬼 仮面ライダー響鬼 通常形態・響鬼 紅 仮面ライダーカブト 仮面ライダーカブト ライダーフォームのみ 仮面ライダーガタック ライダーフォームのみ 仮面ライダーキックホッパー 仮面ライダーパンチホッパー 仮面ライダーダークカブト ライダーフォームのみ ワームサナギ体(緑) 仮面ライダー電王 仮面ライダー電王 ソード・ロッド・アックス・ガン・ライナー 仮面ライダーゼロノス アルタイル・ベガ・ゼロ クライマックス刑事 仮面ライダーネガ電王 ネガフォームのみ 仮面ライダーキバ 仮面ライダーキバ キバ・エンペラー 仮面ライダーイクサ(*2) セーブ・バースト 仮面ライダーディケイド 仮面ライダーディケイド 通常形態・カメンライド(クウガ~キバまで)・コンプリート 仮面ライダーディエンド 通常形態のみ 仮面ライダーW 仮面ライダーW (*3) マグマ・ドーパント ティーレックス・ドーパント ゲームオリジナル 仮面ライダーダークディケイド 通常形態・カメンライド(クウガ~キバまで)・コンプリート 改善点 一部効果音の追加、修正(電王のフォームチェンジ音など)。 バトルモードが、前作に無かったフリーバトルモード化した。 一方でアーケートバトルがなくなったのでサバイバル以外では1戦しか戦えなくなってしまった。 かんたんモードは好評で次作以降にも取り入れられた。 ハードのスペックが上昇したからなのか、グラフィックの細かい部分が綺麗になっている。 キックホッパーとパンチホッパー(地獄兄弟)の追加は、当時はデータカードダス『ガンバライド』での参戦(*4)がまだであったため喜ばれた。 メインライダーのWのみはポリゴンモデルが手直され、『ガンバライド』とは別物と言ってもいいほど綺麗になり、劇中のものに近くなった。 現時点では、超必殺技発動時でもステージのグラフィックが全く変わらない最後のクラヒ。 次作の『オーズ』からは携帯機とのマルチになった影響か、超必殺技を使う時に背景が謎の異空間になってしまう。 最新作の『超』では改善されているが、超必殺技発動時のみ一部オブジェクトを削除・簡略化した低容量バージョンの背景に差し替えるなど無理やり誤魔化している感はある。 問題点 キャラクター関係 前作からの続投組は、基本的に前作と同一の性能。フォームも同じ。 ディエンドのチートぶりも相変わらず。 やりづらくはなったがスライディングハメは健在。 ディケイド・ディエンドの効果音や、キバの必殺技ボイスのミスも修正されていない。それ以外にも微妙に間違っているものが若干ある。 一部のキャラは攻撃力が大幅に削られ、必殺技ですら通常技程度になっているなど、意味不明な調整をされている。 特に響鬼はどう連打しても音撃が8までしかヒットしないというあんまりな事になっている。 それでいてディエンドの異常な強さ、デンライナーの異常な便利さ等、改善すべきところが全く改善されていない。 前作の対戦で使用できなかった6キャラは、ガタックとダークカブトにクロックアップが実装されただけで、それ以外は本当にただ対戦で使えるようになっただけ。 特にオートバジンは、スーパーアーマー能力はあるものの、攻撃はパンチ技2種類だけ。バスターホイールでの射撃もできない。 ダークライダー3体は相変わらず超必殺技がない「元ライダーの劣化コピー」。モデル流用で出せそうなドラグブラッカーやネガデンライナーもアシストで出ない。 ただし、ドラグブラッカーはリュウガのドラゴンライダーキックには出てくるという謎仕様。おまけにモーションが龍騎の完全流用なせいでドラゴンライダーキックが龍騎とまったく同一の動き。本来は空中に浮遊しそこからキックを放つ技であるため、リュウガファンからは特に批判された。 ほぼ水増しレベルとはいえカブトキャラが露骨に優遇されている。 基本的に本作は1作品で多くて3体しか出ないが、カブト関連はカブト、ガタック、キックホッパー、パンチホッパー、ダークカブト、サナギ体と合計6体も出ている。 しかも他のテキトーなキャラバリキャラはフォームチェンジは無いのに、カブト関連だけは共通・流用で手間が少ないとはいえサナギ体以外全員クロックアップ実装と半端ではない優遇度合い。 Wに関しては、基本的なハーフチェンジは全てできるためフォーム数が充実している。さらに、他のキャラに対して圧倒的にアドバンテージがあるため異様に強くなっており、他にも通常技だけで体力1ゲージを軽く削れたりもする。 しかし当時の現行ライダーであるので、メイン層である子供のことを考えると強くしなければならなかったのだろう。前作メインライダーのディケイドも『オーズ』で修正が入るまではなかなかスキの少ないライダーだった。 一方、『剣』と『響鬼』からは相変わらず主役ライダー1体しか出ていない。しかも響鬼は上記の通り前作からかなり弱体化している。 ホッパー2体は、オリジナルキャストである徳山秀典氏と内山眞人氏がそれぞれ声を当てている。ただしモードセレクト時のボイスは、前作のイマジン達の様な凝った言い回しはなく、ただ「○○モード」と言うだけ。 『カブト』のキャラ達のクロックアップ時、リモコンからゼクター音声ではなくライダー自身の声が流れる。クロックオーバー音声は当然聞けない。 怪人キャラが新登場するという点は、公式ブログでも強調されていたが、結局前宣伝に出た4体のみだった。 現行番組に登場したドーパント2体と、平成1期としては珍しい戦闘員的存在のサナギ体はともかく、なぜか『龍騎』劇中で特別活躍したわけでも無かったゲルニュートがいる。おそらく、本作と同じ月に北米で発売されたWii版『KAMEN RIDER DRAGON KNIGHT』のポリゴンモデル流用で手間が少ないためと、発売年の春映画『鬼ヶ島の戦艦』で戦闘員的存在で出たのが理由と思われる。 カイザや地獄兄弟の新規参戦は喜ばれたが、難易度の調整不足、パスワードの無茶さで子供には到底出せないものになっている。 『オーズ』では作業ながらも2体の隠しキャラ中なんとか1体は出せるようになってはいる。 ゲームモード 前作のディケイドモードに代わって用意された「クライマックスモード」だが、ディケイドモードと違ってストーリー性は一切ない。 ただザコ怪人(サナギ体とゲルニュートの2種類のみ)を倒してボスに挑むだけ。前作以上の作業感がある。ボスはドーパント2体のどちらかになるが、ライフゲージが6重もある。 これはアシストライダーシステムを使うこと前提のようだ。Wのミッションを難なくクリアするためには他のライダーのルートをクリアしてアシストライダーシステムで呼び出せるようにしなければならない。が、他のライダーのルートでもライフゲージが6重の怪人が登場するので作業な上に苦痛である。 しかも、その気になればスライディングでハメ殺せるため、実質このアシストライダーシステムは完全に死にシステムである。 「時間内に怪人を倒せ!」というミッションは怪人を倒すたびに時間が加算されていく。そこまではよいが、ミッションによっては怪人を倒し続けるといつまで経っても終わらないほど時間が大きく加算されてしまう。そのため、ミッションを終えるときはわざと敵を倒さないなど工夫しなければならない。 また、ホッパー2体にちなんでか「地獄モード」というものがあるがまさに地獄で明らかに子供には無理な難易度である。例として「サナギ体で地獄兄弟を倒せ」など。 上記のように今作は何故か難易度が異常に高く、明らかに子供が簡単に出来るものではない。 しかもキャラのCPUレベルもありえないほど高くなっており、ノーマルで前作のハード以上の強さ。 戦い方もかなり酷く、フォームチェンジ中はゲージが使い放題なので、スライディング等の軽い攻撃を当てた時でさえやたらスペシャルアタック及びガードを使う。ゲージがたまっていればスペシャルアタックはまず使うと言ってよいほど。 同キャラ対戦はできない。この仕様自体は『アギト』以降毎回そうなっているが、本作にはとんでもない副産物が存在していた。 新規使用可能キャラ 前作からの使用可能キャラ ガタック クウガ G3-X アギト リュウガ 龍騎 カイザ ファイズ オートバジン ブレイド サナギ体 響鬼 ダークカブト カブト ネガ電王 電王 ゲルニュート キバ マグマ・ドーパント ディエンド キックホッパー ゼロノス パンチホッパー イクサ ティーレックス・ドーパント ダークディケイド 左側のキャラ(つまりW以外の新規使用可能キャラ全員)はそれぞれ右側キャラのコンパチ的な扱いになっており、左右の組み合わせでは対戦させることができない。即ち「龍騎VSリュウガ」「ファイズVSカイザ」「カブトVSダークカブト」「電王VSネガ電王」といった原作での因縁の対決、「クウガVSガタック」のクワガタをモチーフとしたライダー対決、「アギトVSG3-X」のアギトキャラ同士の対決が再現できない。 付け加えておくと「クウガVSガタック」以外の組み合わせは全員対戦前の掛け合いが存在している。 さらに新キャラが、W以外全てあんまりすぎる出来なので一部からは「バージョンアップなのに劣化移植作を掴まされた気分だ」とも言われている。 総評 移植版とはいっても前作のコピペというわけではなく、追加要素もあり前作からのバランス調整(らしき変更)も行われている。 しかし、追加キャラクターはW以外どうにもやっつけ感が目立ち、強キャラにバランス調整が入らないなど全く調整になっていない。 例えるなら「3歩進んだと思ったら今度は斜め後ろに2歩下がった」ような微妙な出来になってしまっており、ファンからの評価は前作同様厳しいものとなってしまった。 余談 特典のガンバライドカードは表と裏のバーコードが違う仕様で、ディケイド コンプリートとW サイクロンジョーカーが1枚のカードで別々にスキャン可能。 本来東映スタッフがキバの後Wを作ろうとしていた所にバンダイからの過去作販促のアーカイブと戦隊玩具の兼ね合いで開始時期をずらせ、オリキャス集合映画もやれと言われ色々な企画ができた後にガンバライドの販促もすることになり本来ガンバライドのオリライダーとして制作していたディケイドの番組を企画することになった。そのため無茶苦茶な納期と放送開始前から開発し更に本作と無印を同時開発するというスケジュールとなっており、実際、当時の開発ブログにてサタケイドが同時開発を仄めかす文を投稿していた。 この同時開発が両作品のクオリティに影響を及ぼした可能性もあるが、真相は不明。 スタッフロールに記載された制作会社はバンダイナムコゲームスとエイティングの社名しか無いが、実際の開発はタムソフトに丸投げしたのではないかという疑惑がある。 詳細は無印の項目の余談を参照。